都内(住宅密集地)で薪を焚く際の配慮

住宅密集地で薪ストーブを導入して、近隣住民との間で、煙や煤や臭いで問題を抱えているケースも少なからずあるようだ。様々なケースがあって一概に論じることはできないけど、以下の掲示板では、薪ストーブ賛成派と反対派の間で激しい火花が散っている。現時点で発言数が1400以上あって全部読むのは大変だが、参考にしてみて欲しい。
薪ストーブは流行ですか?@マンション掲示板

密閉した炉内で高温で薪を効率良く燃焼させる薪ストーブや薪釜は比較的問題が起きにくいけど、それでも焚きつけ時や薪の追加投入時にはそれなりに煙や臭いが出るので常にゼロではない。巨大な焚き火と同等の暖炉は派手に火の粉が煙突から上がるケースもある。お店の写真で周辺を良く観察すると建物の周囲は、マンション、アパート、オフィスなどが密集して立ち並んでいる。こういう場所で薪のピザ釜や暖炉で薪を何の対策もしないで焚いていたら、大きな問題となってしまうことは容易に想像がつく。

普通、薪ストーブ、ピザ釜、暖炉とくれば建物からその象徴のように煙突が突き出していて、煙が出ている光景が思い浮かぶだろう。しかし、このお店には外観から煙突は全く確認できない。ピザ釜の排煙ルートを観察すると目立たないように他の厨房設備の排気ダクトと同じ経路で屋上に向かって曲がっていて、通常見られるような自然排気になっていないことが判る。(角ダクトの手前のステンレスのスパイラルダクトが薪釜の排煙ダクト)

お店の人にさりげなく訊いたら、やはり特別な設備を導入しているらしい。実際にバックヤード(屋上)に行って設備そのもの見せてもらえば良かったのだが、忙しそうに準備に追われているスタッフにそこまで要求することもできず、店内を見せてもらっただけでも御の字だから「秘密兵器」があるという情報だけ引き出せただけでも大きな収穫だ。暖炉に関しては設備による排気抵抗が出ると、十分に煙が排煙されずに店内が煙っぽくなってしまうので、ファンによる強制排気設備も付加したとのことだ。

そこで後日調べてみたら以下のような業務用の設備があることが判った。
すす捕装置
脱臭装置

窓を開けると隣の家の窓で窓づたいに隣の家に入れてしまうとか、隣の家のおかずが匂いで判ってしまうとかいう状況の住宅密集地もある。また、煙突のトップの高さより上に他の住民の生活エリアがあるような地域もあるだろう。そういう場所で薪ストーブを導入して苦情を出さないためには、上記のような装置を付加する必要があるだろう。

しかし、そこまでして、住宅密集地で薪ストーブや暖炉を導入するのもどうかと思う。薪ストーブと排煙クリーナーの装置で200万円から300万円コースになるので、そのお金があれば、郊外に土地を購入して、隠れ家を建てて、薪ストーブを設置することも十分可能だ。週末や休みの時に、別荘に行き何の気兼ねもなく薪ストーブライフを送るのも一つの選択肢だと思う。
我が家の近くの別荘地の販売状況

住宅密集地でも「煙突トップより上に他の家庭の生活エリアがない」「煙突から半径10メートル以内に隣家の敷地がない」などの条件を満たした上で、さらに上手に焚けば上記装置を付加しなくてもトラブルにならないでやることも可能かもしれないが、ケースバイケースであろう。

「都内や住宅密集地で、近隣住民にいかなる場合も迷惑をかけないような煙の出ない薪ストーブを導入したいから粉塵除去や脱臭装置をつけたい」という場合には、一般的な薪ストーブ屋さんでは直接対応してくれないと思う。また仮に対応してくれたとしても、下請けに出すだけだろうし、自社でやるとしたら煙突部材を含めて輸入してる商品を海外流通価格の二倍程度で国内販売しているので、かなり割高になってしまう。冷静になって考えてみれば、国内でも焼肉屋さん、レストランなどの厨房機器が国産部材で設計施工されているわけだ。流通量も薪ストーブとは比較にならないくらいだから量産化によるコスト削減も進んでいる。以前にも紹介したが、以下のような煙突に流用可能な部材が入手可能だ。断熱化されている製品もある。粉塵や臭気除去の特殊な装置を付加するしないは別にして、薪ストーブの煙突工事は「厨房機器の工事屋」さんに依頼するのが最も合理的な選択なのは間違えない。
丸ダクト類(スパイラルダクト)



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かわはら薪ストーブは全国

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