住宅密集地で、薪ストーブの煙がモクモクでの苦情トラブルの解決

住宅密集地に新築で薪ストーブを設置して煙をモクモク発生させてしまって、隣の家から苦情をもらってしまったという相談を受けた。
話を聞くと、新築でハウスメーカーに薪ストーブ設置も含めて依頼してしまったそうだ。
薪ストーブについてノウハウのないハウスメーカーが設計したプランで、そのまま薪ストーブ設置業者に丸投げしてしまっていてる。このような問題が起きても誰も責任を取らない(取れない)ことになる。ハウスメーカーは基本的に家を建てるところまでが責任だし、設置業者はハウスメーカーが元請けなので施主さんとの関わりはない。元請けからの「このように設置して」という注文のままに施工するだけだ。いくらログハウスのハウスメーカーで薪ストーブのある家をたくさん建てていると言っても、薪ストーブは「おまけ」「飾り」くらいにしか考えてないのが現実で「入居後に薪ストーブのことで施主さんが困らないように」という配慮までは期待できない。
田舎で多少煙をモクモク出しても誰も文句を言わないようなところであれば失敗も許されるけど、住宅密集地での失敗は、薪ストーブの使用に関して致命的なダメージとなることもある。煙の苦情が隣近所から発生したら、使い続けることが難しくなるからだ。
結局施主さんは、正しい使い方を教えてもらうこともなく、フォローやレクチャーもなく、自己流で1週間、煙モクモク大量発生させてしまって、ついに隣の家から苦情をもらってしまったそうだ。室内が霧のように数メートル先が見えない位に真っ白、外に出ても燻ぶった臭いが感じられるというような、最悪の状態を繰り返してしまったみたいだ。
本来であれば家の建築とは別に分離発注で、薪ストーブと煙突の設置は、専門店である私に依頼してくれれば、最初のスタートでつまづかないように、ハウスメーカーへの設置プランの提案からはじまり、初使用時のレクチャーまで、それなりの配慮をしただろう。ユーザーと直結していて、長いおつきあいになるわけだから、ユーザー目線に立って快適な薪ストーブライフが送れるように徹底的にフォローする。
まず、この現場を確認すると煙突の位置が低すぎる。排煙が隣の家の屋根を直撃している。排煙は必ずしも上に行くとは限らない。風の影響で真横にも流れるし、気流の影響で下方向にも流れるケースもある。このように隣の家の窓から室内に入って「臭い」と感じるレベルは問題だろう。
本来であればこのような周辺環境であれば屋根の上にチムニーを立ち上げて、隣の家の屋根より高いところまで、煙突トップをもってくるべきだった。私ならそういうプランを提案しただろう。
さらに良く見るとフラッシングのサイズと屋根の立ち上げの寸法がちぐはぐで、ハウスメーカーと煙突設置業者の打ち合わせ不足が感じられる。
とりあえず、この部分に関して現状で、今後できることは、煙突長さをあと1メートル長くしてステーで固定することだろう。理想的にはチムニーを高く立ち上げて煙突トップをあと2メートルくらい上げたいところだけど・・・。
次に焚き方の問題をレクチャーした。これまで使っていた購入したという薪を見せてもらうと、太ももサイズの極太、しかも、シットリ潤いの手触り。女性の肌であれば、潤いを感じる手触りが良いけど、薪に関してはパリパリの乾燥状態が大切だ。またサイズも腕くらいのものでないと、まともには燃えてくれない。持参した2年乾燥の極上薪と比べてもらって、手触り、重量感、叩いた時の音など比較してもらって理解できたと思う。
購入した極太薪は腕くらいの太さまであと3分割くらいに割って、雨の当たらない日当たりと風通しの良い薪棚で乾かせば来シーズンには使えるだろう。
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煙の少ない上から着火方式で立ち上げた
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しっかり温度が上げてから二次燃焼モードに切り替える
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ドブレ640CBの場合、この位置で300℃くらいまで上げる
(念のため放射温度計でバイメタル温度計の精度も確認した)
その後、苦情が出た隣の家への同行説明、謝罪などのフォローもして、正しい使い方をすればこのくらいの状況ということを理解してもらって「とりあえず今後様子を見て使う」という状態まで進めることができた。
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コメント

  1. 山口透 より:

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     簡単に考えて、薪ストーブ自己設置してモクモクやった昔を思いだします。うちは、一発で苦情頂きましたが。
     しかし、こちらの方も私も、川原さん探し当てただけでも幸運だったのかもしれません。
     炉壁、炉台、ストーブはまともで良かったです。
     最近心配なのは、FBなどで、しばしば、炉壁を壁に密着、或いは直接貼り付けている事例を繰り返し見ることです。数年後火事になったら、苦情ではすみませんね。

  2. hayashi より:

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    いなかに住んでいるものとしては住宅地で薪ストーブがあるのに驚きました。こちらのブログなど読んでにおいや煙を出さない燃やし方をいなかでもしなければと思いました。
    そういえば街中にも銭湯はありますね。苦情が出ないようにどのようにされているのだろうとふと思いました。

  3. かわはら より:

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    山口透さま:
    FBで見かける危険だったり、残念な施工例は、けっこう多いですよね。
    指摘するか放置するか微妙なところです。
    多分これらは氷山の一角なのだと思います。

  4. かわはら より:

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    hayashiさま:
    銭湯の煙突は周辺の家より、はるかに高いところまで立ち上げているので、苦情が出にくいのだと思います。
    一般住宅の薪ストーブの煙突はそれなりの配慮が必要だと思います。
    煙や臭いを出さない焚き方は「完全燃焼」に近い効率の良さにもつながりますので、田舎でも心がけると良いと思います。

  5. お木楽男 より:

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    BE??の家みたいですけど・・・?

  6. かわはら より:

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    お木楽男さま:
    具体的なメーカー名は営業妨害になるとまずいので、公表しません。
    誰でも知っているようなところですが・・・。