薪ストーブの外気導入に関しては、誤解している人がけっこう多い。
外気導入なしでOK?
特に古い隙間風の入ってくるような中古物件とかログハウスに住んでいる人に、こういうことを信じてる人が多い。
要するに、「あちこち、どこからでも空気が入ってくるから、特に薪ストーブに対して空気を供給しなくても酸欠にはならないでしょう?」という考えだ。
薪ストーブが燃焼して煙が屋外に抜けていくということは、その分だけ薪ストーブが燃焼のための空気を吸い込んでいる。
積極的に外気導入をしないと、建物の気密の弱いところから薪ストーブに向かっての冷たい隙間風の流れが発生して、けっこう冷気を体感して不愉快な思いをするようになる。
この隙間風がどこから入ってくるかは自分でコントロールできないのだ。
薪ストーブの極力近くで、なおかつ低い位置に外気導入を設定すれば、そこから薪ストーブへ向かっての最短の風の流れで済むので、不愉快な思いをしないで済む。
したがって気密の弱い、隙間風の多い家ほど、外気導入をつけた方が良いという結論になる。
外気導入をつけると寒くなる?
部屋に穴を開けて、外気導入をつけると、部屋が寒くなるのではないかという心配を持っている人もいる。
外気導入から取り込まれた空気は薪ストーブに向かって流れるので、薪ストーブの背面に回り込んで、ガラリのところに手をかざせば、冷たい外気が薪ストーブに向かって流れているのを感じるが、リビングでくつろいでいる人が冷気を感じることは、ほとんどない。
また、外気導入は以下の写真のように「換気ガラリ」を使ってスリット式のシャッターで開閉できるようにするのが一般的なので、薪ストーブを使わない時に気になったら、閉めておけば良いだけの話だ。
薪ストーブの背面の外壁から炉壁を貫通させて、ガラリで外気導入した例
外気導入キットを導入して直接薪ストーブに取り入れないと意味がない?これなら煙が逆流しない?
薪ストーブの機種によっては、外気導入キットに接続したホース(アルミフレキダクト)からだけの空気で燃焼させることができるタイプもある。
床下からの外気だけで燃焼可能なタイプ
この方法でないと外気導入する意味がないと考えている人や、この方法を取れば室内の負圧の影響を受けずに、換気扇を回しても煙が逆流しないと考えている人がいるが、そんなことはない。
この方法でも換気扇を回して負圧になれば、薪ストーブのパーツの隙間から煙は、室内へと逆流する。
負圧の影響を受ける受けないと、外気導入の方式は全く別物だ。
外気導入をつけることと、室内の負圧を適切にコントロールすることを両方とも確実に行い、それぞれを個別に考えなければならないのだけど、混同している人が多い。
外気導入を設定して、なおかつ計画換気をきちんとして、室内の負圧の状態を適切に設計してやる必要がある。
↓この現場は土間(床)からガラリで外気導入している

コメント
外気導入アダプタの件ですが、一口にアダプタといっても、もともと外気アダプタからの吸気で燃焼させる設計になっていないものに導風板程度のものをもってアダプタといっている例もあります。
たとえば、うちのF118CBは、日本では外気導入アダプタのオプションはなく、北米で買ったのでそちらではあったので一緒に輸入しましたが、リアヒートシールドに穴があいて、ダクトが繋がりますよ、吸気量も蓋がスライドして調整できますよ、というものでした。
リアからは2次燃焼空気を吸うのみで、1次燃焼はフロント部分から吸います。
これは極端な例でしょうが。
アダプタの性能差について、議論されたり、注意を喚起したりしているのを見たことがありません。
ついこの間も、FBで外気導入不要と言われたという方がいて、冷気が床を這いずり回りますし、最悪コンセントが冷気が吹き込みますよ、ということをお伝えしたところ、結果、似たような状態になり、速攻で追加工事をしていたのが思い出されます。
煙突での排気については、断熱二重煙突でないと云々、情報がたくさんあるんですが、ダンパーであるとか、こういう外気導入であるとか、ほとんどお金がかからないのに、劇的に使い勝手が改善できたり、コントロールの幅が増えるものが、注目されないのが不思議でなりません。
single02さま:
施工側が積極的に提案しないのは、説明が面倒だったり、利益にならないからですね。
施主側が要求しないのは、勉強不足と、提案してくれる施工店を選択できない縁のなさでしょうね。
私は「不思議」ではなく「必然」だと考えています。
大変参考になりました。ありがとうございます。
通常、新築工事において換気設備を担うのは大工や電気屋さんになるでしょうか、ストーブ屋さん以外にそのような職種の皆さんにもこのエン
トリを読んで頂きたいものですね。
ガヤさま:
現実的には設計士、工務店、薪ストーブ店のコラボになると思います。
大工や電気工事店は指示通り動くだけなので、そういう部分まで期待できないと思います。
設計士や工務店は、薪ストーブに関してあまり詳しくないのが実情なので、施主さんのために良いものにしたいとコラボレーションできる設計士や工務店かどうかがポイントになると思います。
これまでもそういう姿勢のところだと上手くいきましたし、敵対意識を持たれるようなところだと、契約に至らないというのが現実です。