新築やリーフォーム工事で薪ストーブを導入する時に、最も安くする裏技的な方法

「これから薪ストーブのある家を建てたい」「既存の家をリフォームして薪ストーブを導入したい」と考えている場合は、ハウスメーカーか、設計事務所に依頼するかで流れが若干違ってくる。

アスペクト8に火入れ

ハウスメーカーに依頼する場合には、ハウスメーカーが実際に施工する下請けの設備業者を相見積もりするケースもあるだろう。設備業者というのは、基礎工事、大工、内装業者、電気工事、水道工事、左官工事などだ。しかし、既に取引のある地場の設備業者に相見積もりなしで、言い値で発注するケースが多いのではないかと思う。

設計事務所の場合は、設計が固まって仕様が確定すると、複数の工務店を相見積して、施工する工務店が決定されるケースが多い。工務店が決定したら、その工務店が上記同様に、実際に工事する設備業者に発注するという流れだ。

いずれにしても薪ストーブの工事業者は、工務店が発注する設備業者の一つということになり、基本的には施主さんとの直接の関係を取ることはなく、継続的な関係構築はあまり望めない。薪ストーブ導入後に「メンテナンスしてくれる業者が見つけられない」などの薪ストーブ難民になるケースの大半がこれだ。薪ストーブ店に対する発注者は、あくまで工務店であって施主さんではないから仕方ない。施主さんと薪ストーブ店は直接取引できないのが、建築業界の鉄則であって基本的なルールだ。これについては、話題の焦点が、ぼやけるので、ここでは詳しく触れないようにしておいて、金銭的、予算的な点に的を絞って書いていく。

設計事務所→工務店→薪ストーブ店と下請け、孫請けということで、仕事やお金が降りていくことになる。つまり中間マージンが必ずそこには入っている。今は100万円で薪ストーブ工事できるのが難しくなってきてしまったけど、話を解りやすくするために、敢えて施主さんに対する薪ストーブ工事の見積が100万円だったと仮定しよう。その場合施主さんの支払った100万円が、そのまま薪ストーブ店に支払われることは、ほぼない。設計事務所が10万円を抜いて、工務店が10万円を抜いて、実質的に薪ストーブ屋に支払われる工事代は80万円ということになるのが一般的だ。もちろん抜く比率は、それぞれのケースバイケースによって違い、必ずしも一概に10パーセントづつ抜いているわけではない。業者によって違うけど、それぞれの各業者ごとに5-20%程度の数字のどこかが一般的だと思われる。もし、表向きに中間マージンを抜いていない場合は、裏でバックマージンで返して表面上は見えなくしている場合もある。

つまり、施主さんに対して開示されている見積書の金額は、本当はもっと安くする余地があるということだ。

新築でもリフォームでも、薪ストーブだけでなく、他にも色々予算を配分しないとならないので、少しでも薪ストーブ工事代を安くしたいというのは当然のことだ。当店は薪ストーブ店として、そのことに協力できる。工務店や設計事務所から提示された見積を、当店に開示いただければ、同じ仕様であれば、確実にその金額より安く施工する。見積を精査させていただき、「安くするためにシングル煙突を多用する」「固定箇所を削減する」などは論外なので、その場合は改善ポイントのアドバイスをする。工務店や設計事務所に対しては「薪ストーブ工事だけは施主が、建築工事とは分離して直接発注する」と言うだけだ。

当然、工務店や設計事務所は色々理由をつけて大反対するだろう。「普段取引している業者じゃないと万一のことがあったら心配」「工期を調整するのが大変」「知らない業者だと雨漏れしたらどうするの?」など表向きには色々言ってくるだろう。しかし、本音のところは「中間マージン、あるいはバックマージンが取れなくて損しちゃう」「ツーカーで打ち合わせをあまりしないでも、現場が進むいつもの業者の方が楽」というところであろう。

本当のところは、薪ストーブ工事は、建築工事と、責任範囲を明確に切り分けできる。炉台、炉壁、外気導入、チムニー作成を建築工事で行い、煙突取り付けと薪ストーブ本体設置、接続工事を薪ストーブ工事として別々の日程で行えば何の問題もない。ほぼ内装が仕上がって、ハウスクリーニングが入る前のどこかのタイミングに、薪ストーブ工事の日程を1-2日入れるだけだ。

遺恨を残さないためには、設計事務所や工務店が分離発注に難色示してきたら「分離発注した業者に、施工費とは別に、御社に現場管理費を納めさせるとしたらどうか?」と提案してみるのもありかもしれない。この場合は、一種のバックマージンなので、単純にコストを削減するのは難しくなるけど、設計事務所や工務店の下請け業者を使わずに、自分が選んだ薪ストーブ店を入れることができるようになってくる可能性が出てくる。

それでも、拒否してくるようであれば、建物の引き渡し後に、建築工事とは別に、薪ストーブ工事の段取りを組むのが無難な方法だ。

「住宅ローンに組み入れるために、薪ストーブ工事も工務店や設計事務所に依頼しないとならない」というのも、よくある大きな誤解だ。住宅ローンは金融機関から、施主さんの口座へ振り込まれる。融資が振り込まれた当日に(というかその場で)右から左へと、工務店や設計事務所に、工事代金として振り込む流れだ。その際に、建築工事の分は工務店や設計事務所に振り込み、薪ストーブ工事の分は薪ストーブ店に振り込むというだけで、済む問題だ。薪ストーブ工事は施主さんが自分で選んだ業者でも全く問題ない。実際にこういう流れでのご依頼もある。施主さんが「見積書を金融機関に送ってくれ」と言ってくるので確認できる。

事前に、施主さんが設計事務所や工務店に「薪ストーブ工事は分離発注で、直接薪ストーブ店に私が発注する」と言って、金融機関に当店の薪ストーブ工事の見積りを提出するだけだ。設計事務所や工務店から提示された薪ストーブ工事の見積金額がいくらになっているかにもよるけど、中間マージン(バックマージン)カット分で、設計事務所や工務店の見積から、ほぼ確実に10-20万円安く施工できる。

工務店や設計事務所の言いなりにならずに、施主さんが主導権を持つことで、薪ストーブ店を当店に分離発注すれば、予算削減できるだけでなく、直接、薪ストーブ店と打ち合わせできるので、細かな仕様、希望を直接伝えられて高品質なパーツを使って安心安全の施工を得やすい。また、設置工事後には使用方法の丁寧なレクチャーを得られ、メンテナンス、薪の調達法の伝授など、快適な薪ストーブライフを継続的に送るための情報もゲットできて、薪ストーブ難民になる心配がないなど、メリットが大きくデメリットはほとんどない。

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コメント

  1. いつも楽しみに拝読しています より:

    私も施主の経験から、余計なコストを抑えたいお気持ちは本当によくわかる。施主が知らないところで業者同士でこそこそマージンを動かすのが倫理的ではないですよね(まあ世の商売はほとんどがそうでしょうけども)

    一方で現場監督もやっていたので、現場管理の煩わしさもよく理解出来る。分離発注の業者というのは本当にいい加減なやつもいたりするので(^_^;)素性の知れない人間が現場の防犯状況をリサーチして、夜間に資材や電動工具の盗難が発生することもよくある話です。

    引き渡し前の建物は請負業者に管理の責任があるので、施主といえども好き勝手に出入りすることさえ断るのが当然で、理解ある人の良い現場担当者でない限りは、請負範囲外の薪ストーブ工事は引渡し後にお願いします、とお断りされるかもしれませんねぇ。
    そういう施工者からすると、現場の仮設費や工程管理費や養生費を顧みない分離発注の業者が、当然の権利であるかのように乗り込んでくる様こそ、自分の利益だけを考えているように見えてしまうのかもしれません。

    施主から施工者に対して請負金額とは別に分離発注工事の管理費として数万円オープンな形で支払うのが、三方良しなのかなーと思います。

    • かわはら より:

      いつも楽しみに拝読していますさま;

      現場監督の立場からの貴重なコメント、情報をありがとうございます。

      おっしゃる通り、分離発注を受けた施工業者が現場管理費を支払うことか、建物の引き渡し後に施工という、どちらかが一番無難なやり方ですね。