ハンターストーブからヘラルド8エコ(ヘラルド8 ECO)という新製品が2024年1月に発売された。

ハンターストーブの新製品ヘラルド8エコ
写真は、片開きのシングルドアのモデルだけど、観音開き(両開き)のダブルドアの仕様も選択可能だ。
昨日、ショールームにて焚く機会に恵まれたので、思ったこと、感じたことを率直に書こうと思う。
パっと見た印象は従来モデルのヘラルド8とあまり変わらない。「デザイン的に少しすっきりした?」程度だ。しかし、中身は大きく違っていた。
大きな違いは3点だ。
一つ目はバッフル板の仕様変更だ。従来モデルは金属製の三角の形状のバッフル板が炉の上に乗っていたが、それがバーミキュライトの平板となった。これにより、炉内温度がより高温になるようになって、燃焼効率が上がる。
二つ目は空気の流入口が背面の一か所に集約されたことだ。外気導入を直接アルミフレキダクトで接続できるようになった。従来モデルは背面だけでなく、扉の前面からも室内の空気を吸い込んで調整する仕様だったが、今回のバージョンからは一つのレバーだけで空気調整できるようになった。従来モデルでは「外気導入をアルミフレキに接続できない」という理由で敬遠されていたケースもあったが、より多くの人の選択肢に加わるだろう。
ちなみに、「外気導入をアルミフレキで接続すれば高気密高断熱住宅で、室内が負圧になっていても薪ストーブが良好に燃える」というのは大きな誤解だ。換気扇の影響で、室内が強い負圧になっていれば、外気導入を直接接続していようと、していまいと室内側への煙の逆流が発生する。これについて、詳細は以下の記事に書いてあるので、参考にして欲しい。
三つ目は薪専用モデルだけのランナップで、マルチ燃料タイプの廃止だ。薪の燃焼に最適化した設計となっていて、灰落とし、灰受け室が追加された。これにより、従来は薪ストーブの下面が強烈に熱くなって、炉台への熱の伝わり方が強かったが、新製品では炉台へ熱が伝わりにくくなった。ちなみに、灰受け室が追加はされているが、炉底からの吹き上げる空気の流入は全くなしの仕様だ。
空気の流入は背面下部のバーミキュライトの穴、そして上部の金属の穴が開いたターボバー、そしてガラス上部のエアカーテンの3か所からだ。

ヘラルド8エコの背面の空気取り入れ口
回転式のシャッターの隙間が変化させることで、空気の供給量を調整する。円の上部のスリットの狭い弁と、下部のスリットの広い弁は、それぞれ内部で縁が切られており、それぞれ、別々の場所へと空気が分配して供給されるようになっている。
コントロール性は非常に良く、全閉すると、炎が消えてしまう位の気密となっている。(つまり全閉ポジションでの使用は、いかなる場合でもNG)
新製品の大きな変更点は上記の3点だけど、他にも扉のハンドルの構造が改良されて質感が上がったことも感じられた。外見で見ただけでは判らない。また、扉のヒンジの取り付け方法が従来と変更になった。
従来機と変わらないことがある。
一つ目は冒頭に書いたように、外観デザインの印象は大きくは変わらないということだ。

工具なしで炉内パーツを全部取り外せる
二つ目はメンテナンス性の良さだ。これも相変わらず良かった。工具なしで炉内パーツが簡単に分解できる。これにより、煙突掃除などのメンテナンスも業者に頼まずにユーザーでもやることができる。メンテナンス性が良いことで、煙突掃除の際のコストが安く上がるだけでなく、万一の炉内部品の破損時も自分で簡単に交換できるということで、出張料や技術料を取られずに済み、長期的な維持費が安くなる。
三つ目は、かなり意外なところで、最新のエコデザインモデルにも関わらず、焚きつけ時の燃焼性、立ち上がりが非常に良いことだ。最近の他社製の多くの薪ストーブは空気の流入を極端に絞った設計となっているため、立ち上げ時に大量に薪を投入すると空気が足りずに燃えにくて、扉を少しだけ開いて空気を入れてやらないとまどろっこしいとい傾向が強いが、ヘラルド8エコに関しては、そういうこともなく、従来モデルのようにスムーズに立ち上がってくれた。

着火剤にて細割りの焚きつけに点火
良く炉内を観察すると判るが、左右(側面)のバーミキュライトプレートに切れ込み(線)が入っている。「この線より上まで薪を入れないように」というガイドラインとなっている。そのため初心者でも適切な薪の投入量が一目で判って非常に良い。
一点だけ残念に感じたことは、空気調整のレバーを左右にスライドさせる仕様で、左右のどちらで空気が開くのか、閉じるのかという目視確認できるようなデザインが施されていないことだ。ちなみに右で開く、左で閉じるで、慣れればどうということはないけど、ハンターストーブのアスペクトシリーズのように、押し込んで閉じる、引いて開くという直感的な操作ができなくなったことだ。薪ストーブのオーナーではなく、慣れない家族やゲストやが使う場合の判り易さが欲しかった。操作の質感、感覚、触感に関しては、新製品での、左右方向の調整の方が個人的には良いし、微妙な調整が可能だと思う。

ヘラルド8エコの安定燃焼時の炎
薪を順次追加していき、炉内温度をしっかりと上げてから、空気調整すると、非常に綺麗な炎が出現する。従来モデルと比較して、明らかに燃費が良いということが感じられる。
立ち上がりから、安定燃焼までスムーズで、初心者でも使いこなしは簡単で、誰にでもお勧めできる薪ストーブだと思った。
天板の温度もしっかりと上がって天板での調理も楽にできるし、炉内も10インチのダッチオーブンを入れても扉が閉まるので、炉内調理もやりやすい。薪ストーブで積極的に料理がしたいという場合でも不満は出ないだろう。
ヘラルド8エコは、アスペクト8と似た内部構造で、横型のクラシックスタイルのモデルという印象だ。どちらでも、好みのデザインで選んで良いと思う。(アスペクトシリーズと同様に煙突口元に、アダプターが必要となる。(従来モデルは不要だった)

グランデノーブルコンプリートとヘラルド8エコのツーショット
滅多に見られない貴重なツーショットを撮影してから、ヘラルド8エコが冷えてから、元々この場所に設置してあったAGNI-CCと入れ替えて、試し焚きは終了だ。(今回は、写真や動画撮影のためのメーカーのデモ機での一時的な設置で、常設展示はしているわけではないので要注意)
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コメント
コメントさせていただきます。
高断熱住宅で20畳のLDKならヘラルド8だと熱くなりすぎるでしょうか?デザインが気に入ってますが悩みます
Jさま;
高断熱住宅の20畳のLDKで、ヘラルド8エコでも大丈夫だと思います。
ヘラルド14、イングルヌックなどの大型バージョンだと暑くなり過ぎでお勧めしませんが、ヘラルド8エコであれば、快適に使えると思います。
寒い時にガツンと焚いて、暖かくなったら、薪の追加を止めて鎮火方向に向かえば良いのです。
焚き続けて、万一、暑くなったら、窓を開けて調整でOKです。