
人気のバーモントキャスティングス社の『アンコール(ENCORE)』という薪ストーブが破損した実例をご紹介いたします。
高熱で変形したダンパーユニット

長時間高温にさらされたダンパーユニットの底が変形し曲がってしまっています。
高熱にさらされる部分にこのような複雑な仕組みの構造物がレイアウトされる設計は、ユーザーにも一定の運用テクニックを要求します。
どのような使い方でも購入後しばらくは設計どおりに動くでしょう。
しかし触媒機に要求される使い方を満たさなければ、高温によるダメージがストーブに蓄積し続け、耐久性にも限界が来ます。
このユニットの下部に触媒が埋め込まれているのですが、そのカバー(スロートフード)も、ダンパーユニットの変形にともない押されて曲がってしまっています。
押されて変形したスロートフード

この写真をご覧ください。
底の部分が熱で変形して曲がってしまっています。
(押し曲げられたスロートフード:下)
新品未使用の時にはまっすぐ直線状態です。
(取り寄せた新品のスロートフード:上)
そして変形した結果、正常に装着できず落ちてきてしまうようになりました。
こうなってしまいますと正常に戻すのは至難の業です。
新品の部品を取り寄せても、曲がってしまったところに真っ直ぐなパーツは装着できません。
部品同士が干渉してしまい、物理的に収まらないのです。
正しい使い方をしないと薪ストーブは壊れます
経験あるユーザーの中には
“燃焼時に発生するガスがストーブにダメージを与える集成材をガンガン焚き過ぎ、温度を上げ過ぎ壊したのでは”
という見方をされる方がいらっしゃるかもしれません。
しかしこのユーザーは集成材ではなくきちんと乾燥した薪を使っていました。
考えられるのは「ストーブの運用方法」で、触媒期に必要な運用テクニックを満たさずストーブに負荷のかかる運用をしてしまったことです。
当然クリーンバーン機でも壊れる
何百度という高熱を発生する薪ストーブ、触媒機に限らずクリーンバーン機でも間違った使い方をしてしまうと熱による破損のリスクが生じます。
以下に挙げるのは
「充分乾燥していない薪を使用し続けたことによる急激な温度変化」
により破壊されたクリーンバーン機のバッフル板です。
大量に発生する熱をストーブでうまく制御できないと、触媒機・クリーンバーン機に関わらず破損のリスクがあるのです。
ちなみにこのアンコール、使用期間はわずか「5年」でした。
大枚はたいて買った高価な薪ストーブが、たった5年の使用でここまでダメージを受け壊れてしまったのはやり切れない気持ちになります。
修理には大きな費用が必要
このアンコールを修理するには
- 天板を取り外す大規模な分解作業
- 「ダンパーユニット」ごとアッセンブリ交換
が必要でした。
ただ、「ダンパーユニット」周辺パーツも熱のダメージで歪みが発生している可能性もあります。
その場合「取り寄せたダンパーユニットが入らない」ケースも考えられます。
そうなりますと
「外側の鋳物以外はほとんど交換しないと修復できない」
可能性が極めて高いのです。
部品代、工賃を含めた費用はどの程度でしょうか。
そしてたとえ修理しても同じ使い方をすればまた5年後には同じ症状になるでしょう。
それほど「薪ストーブの使い方」というのは重要です。
触媒は消耗品
正しい使用方法を守れば触媒機はクリーンバーン機より燃費が良いというメリットがあります。
触媒機を選択される際にあらかじめ承知しておいて頂きたいのは、
「触媒」自体は高熱により崩壊するので定期的な交換が必要
ということです。
車のオイルと同じく触媒は「消耗品」なのです。
触媒機を選択される方は「定期的な交換コスト(2~3万)がかかる」ことを予め理解しておいてください。
これから触媒機を選択される方は
- 使いこなすにはテクニックが要求される
- 触媒の定期的な交換費用がかかる
ことを納得しておきましょう。
現在触媒機を使用されているユーザーで購入される前からこのことを理解されていた方がどれほどいらっしゃるのでしょうか。
ローコストで修繕

この薪ストーブのオーナーは見事な対応をされました。
- 新品のスロートフードを取り寄せる
- 取り寄せたスロートフードを敷いて台にする
- ガラス用の薪止め金具を一個取り外す
- 薪止め金具を「つっかえ棒」にして変形したスロートフードを固定
このように最低限のコストで修繕されたのです。
そして今後は様子を見ながらだましだまし使われることになりました。
今回のケースをまともに修理しますと修理代10万円オーバーコースは確定です。
燃費は良いがテクニックを要する触媒機には「操る愉しみ」があるでしょう。
このあたりはユーザーの嗜好に依るところが大きいと感じます。
触媒機とクリーンバーン機、どちらを選択するにせよ導入前には充分な下調べをしそれぞれの特色を掴んでおきましょう。
当店ではお客様のライフスタイルを充分ヒアリングし、数あるメーカーの中からベストな機種をご提案させていただきます。
今回のユーザーは急場しのぎですが修理代をキープし、その資金で触媒機ほど運用テクニックを必要としないドブレ社の『ヴィンテージ』(クリーンバーン方式)を狙うとのことでした。



