炉台や炉壁を作る際の注意点

薪ストーブの機種によって、真下に熱が伝わりやすいものと、そうでないものがある。
欧米製の高級薪ストーブは遮熱性能もしっかりしているのでそれほど真下は熱くならないけれども、一般的にホームセンターで売っている中国製の鋳物の製品はモロに熱が真下に伝わる。軽く焚いただけでも真下の床面の温度は90℃近くまで達している。ガンガン一日、本気で焚いたら間違えなく120℃以上になるだろう。
軽く慣らし焚きの段階で、いきなり炉台のタイルは90℃近くまで上がる
薪ストーブについて詳しく知らない人は、不燃材料のタイル、レンガなどを床の上にいきなり敷き詰めてしまいがちだけれども、それだと炉台の熱がモロに床面の木部に伝わってしまう。そして炉台で蓋をされて熱がどんどん畜熱されていき、低温炭化していく。壁面についても同様で、壁にレンガやタイルをベタ付けしていると壁面が低温炭化する。そしてある日突然、発火して火災につながるリスクが高くなる。
ローコストでDIYで薪ストーブを設置する場合には、薪ストーブ本体の予算は削減できるけれども、炉台、炉壁にはけっこう神経とお金を使う必要がある。タイルやレンガを敷く場合には空気層が必要だし、もし既存のフローリングと炉台の仕上がり面をツライチ(フラット)にする場合には、床をくりぬいて、基礎からコンクリートを流して立ち上げるなどの大掛かりな方法も視野に入れる必要がある。
自分でやるのは難しいからと工務店に依頼する場合でも、見た目だけでは内部構造までは判らないので、ある程度薪ストーブについて経験のある業者に任せないと、たとえ工務店に依頼したとしても、とんでもない火災のリスクの高い結果となってしまう。したがって業者に依頼する場合でも、施主が自分である程度は勉強して、作業方法、工法まで指示するくらいが望ましい。恐らく雑誌の写真などを見せただけでは、空気層の確保まで盛り込まれない危険な施工となるだろう。また炉台や炉壁は、外気導入など燃焼に重要な設計にも密接に絡んでくるので、単にそのものを作るだけでなく、薪ストーブをトータルコーディネートできる立場の人からのチェックも必要となる。炉台、炉壁を作った後に、外気導入を作成するのは合理的ではないからだ。
既存の木部との間に、軽量鉄骨で空気層を確保してケイカル板を張り
その上に仕上げのタイルを貼っている
(いきなり既存の木部に直接不燃材料を貼っているわけではない)
いずれにしても必ず既存の木部との間に25ミリ以上の空気層を確保して施工する。空気層を効率良く確保するために、不燃の軽量鉄骨などで骨組みを作り、ケイカル板を乗せると不燃の空気層が設定できる。垂木など可燃物で骨組みを作ると意味がないので気をつけよう。そしてそのケイカル板の上にタイルをモルタルで貼ったり、漆喰を塗ったりして仕上げる。雰囲気やインテリア性は無視して、思いっきりローコストで作る場合には炉台、炉壁は鉄板などでも良い。
また炉台のサイズについて「薪ストーブがとりあえず乗ればよい」程度で作成してしまいがちだけれども、それだと絶対に狭くて使いづらくなる。薪ストーブの前面、側面ともに600ミリ程度のクリアランスは確保したい。設計時点では「広すぎ?」と思ってしまうだろうけど、実際に稼動しだすと、それでも狭いことに気づくだろう。
アース・リー山武店では、DIYで施主さん自らローコストでやるケースでも、工務店に依頼するケースでのコンサルだけでもしているし、施工も含めてのトータルコーディネートも可能だ。ニーズに応じて様々なケースに柔軟に対応している。

かわはら

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