石油ストーブや電気ストーブ、コタツなどの暖房器具の場合、つけっぱなしで外出する人は、まずいないだろう。
同じように薪ストーブも外出時に消す必要はあるのだろうか?
私の場合は点けっぱなしだ。むしろガンガンに焚いてオマケにMEGA薪まで投入して帰宅時に熾き火が残っていて、部屋も薪ストーブも温まっていて、帰宅後の焚き付けも楽勝という感じの使い方をしている。写真のように炉内に大量の熾き火が残っていれば無造作に太めの薪をボコボコ投入しても楽勝で火がついてくれる。
薪ストーブの場合は他の暖房器具と大きく異なることがいくつかある。
まず、熱源の火が鉄の箱に完全に囲まれているという点だ。このことで安心度は飛躍的に他の暖房器具より高くなる。薪ストーブの扉を開けっ放しにしておけば、はぜて飛んだ火が外に飛んできたり薪や熾き火が崩れて外に転がり出てくるケースもあるが、その場合でも炉台が保護してくれる。まあ、普通は外出時には扉は閉めておくだろうからまず問題はない。
次に、当たり前のことだが「スイッチがない」ということだ。消そうと思っても電源を切ればシャットダウンできるわけではない。燃料である薪の供給を止めて、今炉内にある分が燃え尽きて初めて終了ということになる。熾き火が完全になくなるには恐らく10時間程度はかかるだろうから、完全に消さないと外出できないのであれば、冬の間はあまり外出できないか、外出前は半日程度寒くなるということになる。
一度火を落として温度を下げてしまうと、再び焚き付けて温度を上げるのにかなり大量の薪が必要になるということもある。外出時間にもよるが、8時間程度の外出であれば熾き火たっぷりで適度な太い薪を入れておいて鋳鉄の温度を維持してやるのと、冷えてからゼロからスタートするので同じくらいの薪の消費量だと思う。時間がたっぷりある時の休日とかに温度が冷えた状態から焚きつけるのも楽しいが、帰宅後の疲れている時に、焚きつける手間隙や時間を考えたら、ずっとつけておこうといことになる。焚き付け用の細い薪を用意する手間も省ける。帰宅した時に薪ストーブに火が入っていて、既に温かい状態というのも格別だ。
また焚き付け時に発生する煙や臭いで近所迷惑になることも、常時火が入っていることで最低限にとどめられる。
薪ストーブと火災の関連で一番心配なのは、薪ストーブ本体そのものから出火するものではなく、煙突が煤で詰まることによって、その煤に火がつく煙道火災だ。一度煙突内の煤に火がついてしまうと、完全に燃え尽きるまで激しく燃焼して煙突内部の温度は1000℃に達するそうだ。煙突トップからは激しい火柱が吹き上がり火炎放射器のようになるそうだ。
体験した人の記事 二重煙突でも内部が1000℃に達すると断熱材はボロボロになり断熱性能は極端に落ちてしまうだろう。屋根裏や壁の木部に近い部分が炭化してそこから出火して火災になるというケースが、薪ストーブが原因での火災の原因の実態であろう。
煙突掃除をしないで、なめていると煤が煙突に付着して、そこの煤に引火した時に大変なことになる。逆に言えばきちんと煙突点検、煙突掃除をしていれば、火災の心配はまずないとも言える。
火災とは別に一酸化中毒を心配している人の記事やコメントをブログでたまに見かけるが、それも全く心配不要だと思う。密閉した車の中で七輪で炭を燃やすという状況ではないことに気がつけば気にすることもないであろうことも解ると思う。燃焼による排気は煙突で屋外に出ていて、室内側には全く出ていないわけだ。室内からは燃焼に必要な空気が薪ストーブの炉内に取り込まれていくが、いくら高気密高断熱住宅といえども全く屋外からの空気の進入がないわけではないので酸欠になることはまずありえない。排気ガスを屋内に出し続けて燃焼させている石油ストーブや石油ファンヒーターの方が次元を超えて一酸化中毒の危険が考えられるが、薪ストーブでそれを気にするのはナンセンスと言えよう。