薪ストーブライフのハウツー本や雑誌もいいけれど、たまには腰を据えて長編の本を読んでみるのも悪くない。これは500ページ超の大作で分厚い本だが、薪ストーブユーザーにとっては、そんなのは障害にならなずに一気に読み進んでしまうこと間違えなしだ。
私はゴールデンウィークのすがすがしい陽気の中、新緑のきれいなケヤキの木陰のベンチで作者のヘンリー.D.ソローの考えを推測しながら読んでいった。薪作りの作業が一段落して、これからの梅雨の時期には外で動くより室内で過ごすことが多くなってくるだろうから、ぜひとも入手して読んでみて欲しい。
真崎義博氏による日本語訳はちょっと稚拙な「直訳」という感じで、自然な日本語としては今ひとつで原文を読んでいるような気分になるが、それでもネット翻訳よりは良い。一例に暖房について書かれた一節を紹介しておくので参考にしてみて欲しい。
150年ほど前のアメリカの社会の様子が背景にあるが、現代の日本においても共通するものがあって考えさせられる。一番私が共感を感じたのは、住むところにお金をかけすぎてしまい身動きが取れなくなってしまうというところだ。自分で建築すれば材料費だけで済むが、他人に任せると年収の何倍もの金額を払うことになるということを具体的な金額を上げて例示されていた。貨幣価値や単位が当時と今では違うが、年収の何倍という点では共通しているので、理解しやすいし説得力もある。
住む家だけでなく、自給自足で作物を作ることと、買うことの収支についても同様で、山で自力で生活するための考え方、哲学が随所に盛り込まれている。自然を注意深く観察して、物事をよく考えて、生きていくことの大切さを思い出させてくれる。
作者は二年間の森での生活を終えて街に戻ったようだが、どうしてずっと森の生活を続けなかったのかを、この本を読んだ誰かと議論してみたい。