瓦よりも軽いしローコストなので屋根材や外壁材として多用されているガルバニウム鋼鈑。素材は亜鉛メッキした薄い鉄板だ。これにステンレスのフラッシングで煙突施工するケースも多い。あまり疑問を持たずに普通にやってしまいがちだけど、この方法を採用する前に考えておきたいことがある。
どんなに上手に雨仕舞いをしても、風雨の際には下から上に向かって重力に逆らった雨水の流れが発生するので、フラッシングと屋根材の隙間から多少の雨水は内部に流れ込む。そして内部に入った雨水がフラッシングと屋根材の接点部分に染み込んでいく。屋根材の鉄板、フラッシングのステンレスという異なる素材の金属の間に水分が存在することになる。
1円玉(アルミ)と10円玉(銅)の組み合わせて、雨水に浸しての実験では0.4V程度
ガルバニウムとステンレスの組み合わせに限らず、異なる金属同士の間に水分が存在すると、電池となる。それぞれの金属のイオン化傾向が違うので、たくさん電子が溶け出す方の金属が+極、電子が溶け難い方の金属が-極となる。雨水は純粋ではなく、様々な化学物質を含んだ酸性雨なので、より電池になりやすい。長期間に渡り、こうして電流が流れて電極が溶けて、やがて穴が開く。このことを「電食」あるいは「電蝕」と言う。雨漏れするレベルまで進行するには15-20年くらいはかかるだろうが、物理的に避けられない現象だ。
電食(電蝕)の発生は、ガルバの屋根材とステンレスのフラッシングの組み合わせの時の問題だけでではない。他にも、瓦をフラッシングで納める場合に瓦の形状に合わせるために、鉛の板をフラッシングに組み合わせる。この場合には鉛とステンレスの組み合わせで電食(電蝕)の発生が考えられる。
さらに板金を固定するネジの素材の問題もある。屋外なら何が何でもステンレスを使えば良いということでもない。ガルバの鋼鈑を打つのにステンレスのネジを使ったら、やはり異なる金属同士が接することになる。
このように取り合い部分が異なる金属の組み合わせになってしまうと、電食(電蝕)の問題から逃げられなくなる。「そんなことは気にしない」「そんな物理現象は知らない」「20-30年後のことなんてどうでもいい」「ローコスト優先なので仕方ないと割り切る」という考え方もありなのかもしれないけれども、個人的にはあまりやりたくないことの一つだ。
こういう問題を根本的に回避する意味からも「チムニー」での施工をお勧めしたい。
【参考資料URL】
http://www.kinzoku-yane.or.jp/technical/pdf/no223.pdf
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ご無沙汰しております、コンサルを受けております古民家野郎です。
今回の記事にて「そう言えばそういう事を聞いた事がある」程度ながら思い出しました。
しかし、過去の板金工事にてまさにガルバにステンビス(そしてコーキング敷設)、
という施工を普通に行っていたような、いないような…(汗)
チムニー雨仕舞の板金施工も施主施工する予定でして、
水に触れさせないようビスは露出させずのつもりながら、
ガルバにステンの組合せはおそらく普通に発生していたと思います。
どうせ雨水に触れさせない、そして湿気による電蝕を意識するならば、
亜鉛メッキビスですかね。
いやはや、元板金屋のくせに無知で不勉強の未熟者は、
薪ストーブ屋さんのかわはらさんに脱帽です…!
今回の記事の拝読がなければビス選定までコンサルを受けていたかもしれない、
と考えるとなかなか奥深い(=難しい)ですね…
こちらは解体工事がようやく始まったところですが、
構造上、ストーブ設置位置を変更したいと考えております。
変更案が描けましたら、またご相談にのって頂ければと存じます。
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古民家野郎さま:
おっしゃる通りで、ガルバ板に打ち込むビスは同じ素材の亜鉛メッキビスの方が好ましいと思います。
リフォーム工事の進捗状況のお知らせもありがとうございます。構造に応じて柔軟に薪ストーブの設置位置の変更ができるのであれば、問題は少ないと思います。
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船の場合、防蝕亜鉛(アノード)という犠牲となる金属がエンジン内外に取り付けられており、毎年の交換を推奨しています。見事にボロボロになり角なんかはなくなっているので、電蝕は軽視できませんね。
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たんざーさま:
家の場合は多少雨漏りしても命には直結しませんが、船の場合はそうはいかないですからねぇ。それに海水に近い環境というのも、イオン化傾向になおさら拍車をかけているのだと思います。
建築関係の現場で、そこまで一般的に意識されているかどうかは疑問ですが、いずれにしても電蝕は無視できない物理現象ですから、配慮するにこしたことはないと思います。
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いつもご来訪ありがとうございます。
今日は気になる内容でしたので、お邪魔しました。
我が家はまさにガルバの屋根瓦に外壁です(+_+)数年前からしろ錆もひどく見た目悪くなってしまいました。15~20年ですか・・・頭が痛いです。
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morsoさま:
錆びの程度にもよりますが、極端に酷くなる前でしたら、錆びを落として、錆び止めを塗って、上から塗装すれば進行を遅らせることができるかもしれません。
早めに信頼できる塗装屋さんに相談されると良いと思います。