住宅地で薪ストーブを焚く場合には焚きつけに失敗して煙モクモク発生させてしまうのは致命的だ。近所から苦情を受けてしまうと、薪ストーブを継続して使うのが困難となるケースもある。そのため住宅地の初心者の薪ストーブユーザーは焚きつけには特に不安を抱えているだろう。
そこで千葉市内の住宅地で、新築して今シーズンから初めて薪ストーブを使っているユーザー宅を訪問して「絶対失敗しないで煙をほとんど出さない焚きつけの裏技」のレクチャーをしてきた。
この記事の一番下の「私のおすすめ」のリンクの放射温度計を使い、バイメタルの温度計の誤差の確認(50℃くらいずれていた)や、天板と側板の温度の違いなどを確認しながら進めていった。
薪ストーブの機種によって方法は違うのだが、ヨツールのF400の場合は灰受け皿の扉を微妙に開ける方法が効果的だ。この焚きつけ方法をすれば、最初から全くといっていいほど煙突からは目視確認できる白い色のついた煙は立ち上がらない。煙突からは透明な揺らぎのような排気だけで、気をつけてみないと薪ストーブを焚いているかどうかは判らない状態だ。
ありがちな着火剤を使う方法や、ガラス扉をちょこっと開けたりする方法だと、一気に温度が上がらず煙が発生しがちだ。
灰受け皿と炉内が空気の経路でつながっているかどうかという構造の問題もあるので、できる機種に限定されるけど、灰受け皿を開けてバーナーで焚きつける方法は裏技に近いやり方だが非常に効果的だ。
F400は炉内の下部がスノコ状に穴が開いていて、灰を灰受け皿に落とせるようになっている。焚き終えて灰が積もっている状態だとその穴がふさがっているので、焚きつけ前にある程度の灰を灰受け皿に落としてやってその穴を一部、露出させてやる。そして微妙に灰受け皿の前の扉だけを開けてやる。
その灰受け皿の上の穴のところに燃え残りの炭を集めてやり、そこに焚きつけ用の細い薪を組んで、そこにバーナーで点火する。わずかな時間加熱するだけでは立ち消えすることもあるので、1枚目の写真のように組んだ薪全体が確実に炎に包まれるまで1分程度は連続して炙り続ける。組んだ焚きつけの薪のサイズにもよるが、とにかく確実に炎が薪から立ち上がるまでは強引に加熱を続ける。
組んだ薪全体が炎に包まれたらバーナーを消してガラス扉を閉める。すると二枚目の写真のように激しく炎が成長する。びっくりするくらい凄い勢いで炎が立ち上がるが、気にしないでそのまま数分放置する。
そして最初の焚きつけの薪が燃え尽きる前に中割りの薪を数本組んで置く。ガラス扉を一気に開かず、レバーを回して扉を1センチ程度開けたところで一度止めてやると炎の勢いが弱まる。こうしてワンクッション置いてから開けてやれば薪を追加する時も怖くない。薪を追加した後も灰受け皿はしばらく開いたままにしておく。中割りが燃え尽きる前にさらに薪を追加して豪快に一気に温度を上げてやる。天板に温度計を置いている人はその表示にビビって空気を絞ってしまいがちなのだが、実際に薪ストーブの平均的な温度は天板の上では判らない。最初のうちは天板の温度だけが上がるのだ。機種にもよるがF400の場合は側面の上側当たりに温度計を設置した方が良い。ある程度温度が上がって中割りにしっかり火がついたら灰受け皿の扉は閉めてやろう。いつまでも灰受け皿を開けっ放しにしておくと今度は温度が上がり過ぎて薪ストーブを傷めてしまう。灰受け皿を開けるのは焚きつけと灰の撤去の時だけにしよう。灰受け皿の前の扉を閉めても空気調整はまだまだ全開のままだ。
少しづつ太い薪を足していって、炉の下が熾き火の絨毯のように全体的に赤くなって、側面の温度が250℃くらいに達したら空気を絞るタイミングだ。焚きつけ後1時間程度が三枚目の写真のような状態だ。
F400は空気の調整で炎の表情の変化が大きい。十分に温度が上がったら、微妙に空気レバーの位置を調整して色々と炎の表情が変わるので好みの燃やし方を楽しもう。

