今回、モキストーブMD-80IIを実際に見る機会に恵まれた。
メーカーサイトでは「無煙ストーブ」「燃焼哲学」などのイメージ先行のキャッチコピーが見られて、自信のほどが伺える。しかし、その一方で、ウェブの掲示板などでモキストーブの情報を検索すると、悪い情報ばかりで、あまり良い情報が見つからない。上手く使えず煙モクモクになってしまう人の書き込み、そしてメーカーに相談しても「気に入らないなら返品」みたいな対応のようだ。メーカーは自信を持って作っているから、使いこなせないユーザーを教育することなく、切り捨てているようだ。
今回の都内での無煙コンサルで、先入観なしに、焚いてみて自分の目で見て判断した。感想としては、その薪ストーブの能力を100パーセント発揮させられるかどうかで、評価が別れると思った。
もともとは焼却炉を製作している会社なので、その設計思想や背景を理解する必要がある。温度を上げずに弱く焚くと煙モクモクになってしまうのは、他の鋳物製など、どの薪ストーブでも同じだけど、特に鋼鈑製のこの薪ストーブは気合を入れて焚く必要がある。細めの薪を中心に、扉を開いて燃焼用の空気を大量に送り込んで「これでもかっ!」というくらいボーボー燃やすのがポイントだ。初心者にとっては恐怖を感じるくらいの燃やし方をする必要がある。基本的には薪ストーブの表面温度が平均400℃で焚く必要がある。平均で400℃ということで、モキプレートという二次燃焼の熱回収部分(触媒のような機能のパーツ)がついているあたりは表面温度が500℃まで上げる必要がある。薄っすらと赤く変色しているのが確認できると思う。
そこまで、ガンガン焚けるかどうかで、この薪ストーブの評価が決まってくる。200-300℃前後の鋳物製の薪ストーブの倍近い温度で使うのがポイントだ。鋳物製の薪ストーブは温度管理に気をつけないと鋳物が割れてしまったりの破損のリスクが高くなるので、樹種や太さ、空気の調整などの気をつける必要がある。「針葉樹を焚いてはいけない」というような迷信もここらへんの理由もあるのだろう。モキストーブはどんなにガンガン焚いてもまず壊れないので、ひたすら温度を上げるのがポイントだ。500℃オーバーまで計測できる放射温度計もあった方が良いと思う。なければ、本体後部が赤く変色するくらいまで、遠慮なしにひたすら焚こう。
その後に、空気を絞ると綺麗な二次燃焼のオーロラの揺らぎが炉内に見られるようになる。
この薪ストーブの特徴は以下の通りだ
1.温度の立ち上がりが早く、鋳物製よりもすぐに温かくなる
2.燃料の種類を気にしないでガンガン燃やせる
3.壊れにくくシンプルな構造
4.燃焼能力が高い反面、燃料の消費は多め
5.ガツンと焚いて、その後、空気調整して放置&鎮火で大丈夫
(焚き続けると部屋が暑くなりすぎる)
コメント
初心者ならずとも、ボディが赤くなるまでガンガン焚く、それも室内でとなると、「大丈夫」と言われても難しそうです。
MOKI製作所の薪ストーブレビューは、今まで見たことがなくてありがたいです。
私はMOKI製作所の「焚き火どんどん」という焼却炉を使っているのですが、
2次燃焼を謳い文句にしているので、恐ろしいほど火柱を上げて燃えてくれます。
2次燃焼、無煙を売りにするぐらい温度を上げて燃やすという事でしょうか。
ゆで落花生さま
ボディが赤くなったビビってしまうのも無理はありません。
でも、そのくらい高温で焚いてもびくともしない薪ストーブですし、そのくらい焚いて本当の意味での「無煙」となるわけです。
geruguguさま
おっしゃる通り、情報を見かけないですよねぇ。
焼却炉の概念で高温で焚くのが使いこなしのコツだと思いました。
そして燃料を選ばないところも特筆できます。
500度って凄いですね。しかも本体真っ赤って僕ならビビって焚けません。
実際に本体温度が500℃に達して、鉄が赤くなると、恐怖心が出るくらいの放熱になります。
うっかり近くに可燃物を置いておくと大変なことになります。
鋳物製とは違う注意も必要ですねぇ。