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角トップと囲いフラッシング(チムニーフラッシング)の比較考察

煙突を屋根から抜く際に、屋根の上に箱(チムニー)を作ると、チムニー側面と屋根面の取り合い部分を鈑金で立ち上げるため雨仕舞に圧倒的に有利だ。また建築工事の際に、煙突工事と他の職方の絡みもなく工期を調整しやすくなる。(屋根から煙突だけが突き出すフラッシング仕様だと、屋根施工と煙突施工のタイミングを合わせる必要があるので、お互いが同時に動ける日程にしないとならないので、工期が遅れやすい)また、煙突掃除などのメンテナンスの際も身体や道具をチムニーで受けることができるので、安全性も高い。

チムニーを作成する予算だけ、単純に屋根から煙突を突き出す方法に比べて上乗せとなるけど、工事中だけでなく、工事の後の使用段階に至るまで、あらゆる段階でメリットが大きいのでお勧めできるプランだ。

設計士が入る案件だと「屋根の上をすっきり見せたい」「建物のデザインに影響がある」などの理由で敬遠されがちだけど、その場合は30センチ位の低いチムニーにすれば、地上からは煙突だけが出ているように見えて、違和感なく納まるので、単純なフラッシングで煙突だけが突き出すプランではなく、チムニーにすることを強くお勧めする。

チムニーを作ることが決定した場合に、次に考慮するのが「角トップ」でいくか、「囲いフラッシング(チムニーフラッシング)」でいくかの選択だ。どちらも一長一短だ。

角トップの最大のメリットは、チムニー上部での雨仕舞の良さだ。囲いフラッシング(チムニーフラッシング)の場合はフラッシングと煙突の取り合い部分を防水テープやコーキングで処理するため、経年劣化で雨漏れの原因となるが、角トップの場合は蓋をかぶせてしまっているので、取り合い部分に雨が当たることはない。弱点が露出していないので長期的に雨漏れのリスクが排除される。

角トップでのデメリットは煙突掃除の際い蓋を外す必要があるので、必ず屋根の上での作業が必要になることだ。

チムニーは屋根の上に建築工事で作成した、サンタクロースが出入りするような形状の四角い箱のことだ。 新築工事の場合には、あらかじめ野地板...

一方で囲いフラッシング(チムニーフラッシング)のメリットは煙突の高さを稼ぎやすいことだ。チムニー天端からさらに1メートル位煙突を立ち上げることができるので、平屋への煙突施工の場合など煙突高さが要求される場合に有利だ。角トップで背の高いチムニーを作ると建築工事も大変だし、何よりも煙突掃除の時のメンテナンスが大変になる。

昨日の記事で、チムニー先端の処理として角トップの方が、囲いフラッシングより圧倒的に有利と書いた。 それにも関わらず、囲いフラッシングを...

また、煙突掃除の際のメンテナンス時も、軽い煤の付着であれば、ドリルで回転式のブラシ(ロッドステーション)等の遠心力でナイロンブラシが回転して広がるツールを使えば、室内側からでの煙突掃除が可能となるのも、囲いフラッシング(チムニーフラッシング)の大きなメリットだろう。ただし、ナイロンコードが届かない場所に煤やタールが激しく付着した場合には煙突トップを取り外してワイヤーブラシなどで落とす必要があるので、メンテナンスフリーと過信はしないようにしよう。いずれにしても、角トップよりはメンテナンスは楽だ。

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次に予算面から考えてみる。角トップと囲いフラッシング(チムニーフラッシング)の必要部材を厳密に計算してみた。

一般的な仕様では角トップも囲いフラッシングも、ほぼ変わらない部品代だ

角トップの場合はチムニーからの煙突の突き出しはなく、全てチムニー内で納まってしまうので角トップ本体の値段だけなのに対して、囲いフラッシング(チムニーフラッシング)の場合は、チムニーの上に煙突が突き出すので、屋外側の雨仕舞パーツや煙突部材が必要になる。合算していくと、どちらもほぼ、同額で18万円前後だ。つまり、予算面から角トップでいくか、囲いフラッシング(チムニーフラッシング)でいくかを悩む必要はない。

最後に角トップもメーカーによって違うということも補足しておこう。

新宮商行をはじめ一般的な仕様の角トップは、ルーバーの内側の外気に晒される部分と、チムニー内部の室内側の縁が厳密には切れていない。煙突貫通部分に穴があって、そこを煙突が突き出していて、取り合い部分をストームカラーで納めている。つまりコーキングや防水テープでふさぐ形だ。ある意味では弱点の部分だけど、直接雨が当たらない場所に隠されているということだ。

一方でメトスの角トップは秀逸だ。ルーバーの内側の外気に晒される部分と、チムニー内部の室内側の縁が完全に切れている。物理的に雨が入らないようになっている。角トップ本体にパイプが溶接されていて、そのパイプが煙突のインナー管に挿入される納まりだ。台風などでルーバー部分に、雨が吹き込んでも室内側に水が侵入するリスクは半永久的に皆無だ。またパイプ上部は防風板で保護されているので、強風が吹いても煙突内部まで雨が入ることも少ない。

新築住宅へ薪ストーブを設置する案件の場合には、基本的には角トップ仕様の煙突をお勧めしている。新築の場合には家の建築と同時に一緒にチムニーを作...

ただし、値段がかなり高い。一般的な角トップに比べて8-9万円高い。予算組み、検討の段階であればメトスの角トップを選ぶ場合には約10万円、一般的な角トップよりも10万円たかくなると考えておいた方が良いだろう。

ちなみみに、かわはら薪ストーブ本舗では、一般的な角トップと同じ位の価格で、上下の縁が切れている雨仕舞に有利なオリジナルの角トップも用意している。(防風板はなしの簡易仕様)

屋外側の煙突工事、無事に完了

このように、予算と品質のバランスを考えて、様々なニーズに合うような選択肢を用意しているので、煙突トップの仕様に悩んだら相談して欲しい。

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