昨日の記事で、チムニー先端の処理として角トップの方が、囲いフラッシングより圧倒的に有利と書いた。
それにも関わらず、囲いフラッシングを使うには理由がある。煙突のトップ部分の高さを稼ぎたい場合には、囲いフラッシングにして、チムニーの天端からさらに煙突が突き出す形にして高さを稼ぐことができる。
煙突の高さを確保するには理由がある。屋根の棟に近い位置に煙突が出る場合には、それほどの高さは必要ないけど、屋根の低い位置に煙突が出る場合には煙突の高さが必要だ。薪ストーブの煙突は最低でも口元から4メートル以上(床からではない)必要なので、平屋住宅の場合だと屋根の上で、ある程度高くしないと、煙突の長さの最低限度の必要要件を満たすことができない。
また、屋根の勾配が急で、屋根の低い位置に煙突が出ている場合には、屋根に強風が吹きつけると、風が屋根に当たって、屋根面付近の空気が圧縮されて圧力が高くなる。このことを風圧帯と呼ぶ。空気は圧力の高い方から低い方に流れる性質があるので、気圧の高い煙突のトップから、気圧の低い室内側へと煙突の中の煙が逆流する。このことを避けるために、ある程度煙突の高さを確保する必要がある。理想は棟の高さより600ミリ煙突トップを高くすれば良いけど、現実的には、そこまで高くすると、強度の確保、メンテナンス性の悪さなど、別の問題も出てくるので、高さはある程度妥協して、バランスを取って設計する。
このように、現場の状況によって煙突の設計は変わってくる。
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コメント
こんにちは、かわはらさん。
今回の記事を読んでみて、なるほどと合点がいきました。
薪ストーブに興味を抱いて以来、自然と人様の家の屋根に目が行くようになりました。
すると、煙突と一言に言っても、見映えは様々で、どういった理由で形が異なるのかが分かりませんでした。
今回のように、何気ない謎に光を与えてくださったかわはらさんに感謝いたします。またこれからも何気ないことをご教示くだされば、幸甚です。
ヒロさま:
この他に、一番よくあるパターンが屋根材から、直接煙突が突き出しているような、チムニーなしでのフラッシング施工があります。この方法はコストが低いことがメリットですが、雨仕舞い的にも、メンテナンス的にも、工程的にも今一つです。