角トップは見た目は同じでも、メーカーによって品質が全然違う

新築住宅へ薪ストーブを設置する案件の場合には、基本的には角トップ仕様の煙突をお勧めしている。新築の場合には家の建築と同時に一緒にチムニーを作ってしまえば良いので、リフォーム工事で、屋根を後からぶち抜いてチムニーだけを制作するのと比べたら合理的なのだ。
円錐形の金物を使うフラッシング仕様と比べたら、チムニー仕様の方がメリットも大きい。

1.屋根とチムニーの取り合い部分が物理的に立ち上がっていて板金で雨仕舞いするので、雨漏れのリスクが小さい
2.煙突掃除の際に身体を支えたり、道具を置いたりできるので安全かつ確実な作業ができる
3.煙突工事と、屋根材を葺くタイミングを合わせる必要がないので、工期や日程の調整で「待ち」がなくなりスムーズ

チムニー上部から、さらに煙突が生えている角フラッシング仕様もあるが、これは煙突の高さを稼げるというメリットはあるけど、煙突とフラッシングの取り合い部分を、寿命のある防水テープやコーキングに頼ることになるので、そのままだと20-30年後に雨漏れすることになる。(ので、煙突掃除の際にチェックして必要に応じて防水処理をやり直す必要がある)
メトスの角トップの場合は「煙突と角トップ本体の取り合い部分」が物理的に存在しないので、防水テープやコーキングに防水を頼る必要がないので、一度設置したらほぼ、半永久的に雨漏れのリスクから解放される。
しかし、同じような形状の他社製の角トップの場合は、そうはいかない。角トップの本体を煙突が貫通する形になっているので、コーキング、ストームカラーなどで防水処理しているのだ。本体の中はルーバーがあるけど、風雨の際には雨が侵入するので、この部分の防水が弱くなると雨漏れのリスクがある。排気の高熱、煤や煙などの酸性にさらされる場所なので、直射日光の紫外線のダメージは受けないけれども、それなりに過酷な環境であることは言うまでもない。
自分が施工した現場はメトスの角トップしか使ってないので、他社製の製品は「他社で煙突や薪ストーブ工事をして、その会社で煙突掃除してくれない」というユーザーさんからの依頼があった時に観察できる。そんな物件の一つから実例を紹介しよう。
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煙突トップが露出して、貫通部分を、ストームカラーとコーキングによる防水処理の他社製の角トップ
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チムニー蓋部分の防風板も省略されている
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溶接もイマイチで、ネジを固定するベース部分が破断してしまって、蓋が固定できない状況になっている
メトス製は8か所でボルト固定だけど、この製品は四隅の4か所のみなので、1か所壊れると、他の3点でのみ固定されることなり、その部分の溶接がどこまで持つかも、正直判らなくて不安だ。台風の時に蓋が飛んでいったりしたら大変なことになる。とりあえず後日、クランプでルーバーを挟んで固定する応急処置を取ることにした。
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経年劣化でストームカラーが外れて雨がチムニー内部に入ってしまうようになった別の現場の角トップの事例(※)
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断熱材に雨がしみ込んでしまうとアウトだけど、今回は早めに発見したので対策を取れてセーフ

※別の現場では、断熱材がボロボロになって原型をとどめていなかった
※コーキングでストームカラーと角トップ内部の取り合いを処理していれば・・・いずれはこうなる

パっと見た外観は同じように見えても、このように私が普段使っている国産のメトスの高品質な煙突部材と、どこの国で作ったのか判らない謎の商品とでは、大きく内容も品質も違うことを、改めて実感した。こういう事例をたくさん見ているので、10年後、20年後のことまで考えて煙突部材は選んで欲しいと心から願っている。
価格は大差ないはずなので、薪ストーブ本体だけでなく、煙突もブランド指定することをお勧めする。(最寄りの販売店で、取り扱ってないとか言われたら相談に乗ります)
もし、大きな価格差がある場合には、使っている部材の品質や仕様に大きな違いがあると認識しておいた方が良い。(何の意味もなく、それだけ大きな価格差にはならないことは、人生経験を積んだ人になら理解できると思う)
【参考】
■メトス角トップの内部構造

私はお客様から特別な指定のない限りは、いつも基本的には国産の高木工業所の煙突部材を使っている。精度が高くて施工性、メンテナンス時の分解性が良...

■メトス角トップの蓋の防風板

角トップ本体の上にはメンテナンス用の蓋が上部からボルトで固定されている。煙突掃除の際には、角トップ本体を外さなくても、上部のボルトを外して、...

■メトス角トップの蓋の取り付け

チムニー&角トップが、長期に渡る雨仕舞い、そしてメンテナンス性に有利なことは、いつも言っていることだけど、国産の高木工業所性の角トップならで...
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