チムニー工事、煙突工事の現実

新築での薪ストーブ工事では、チムニー作成の部分については、住宅を建てる工務店に、設計時点で、事前に図面を渡して、なおかつ現場にて打ち合わせをして進めている。しかしながら、その打ち合わせ通りに完璧に施工されている案件は現実的には7割程度しかない。3割程度は何かしらの問題があって、煙突施工時に苦労して不具合を回避したり、最悪の場合はその現場に合わせた特注パーツを制作して、再工事をして何とか乗り切っている。

一番ありがちな問題はチムニーの外寸と、煙突貫通部分の寸法が図面と全然違うことだ。

既製品の雨仕舞のパーツ(角トップや囲いフラッシング)は寸法が決まっていて、一辺が750ミリ、または800ミリの二種類だ。それ以外のサイズになると特注制作となり、納期も、予算も全然違ってきてしまう。雨仕舞パーツが問題なくチムニーにかぶさるために、クリアランスを確保して750ミリのパーツの場合は仕上がり外寸730ミリ、800ミリのパーツの場合は770ミリの仕上がり外寸で指定している。(それぞれの一辺で10ミリ、15ミリのクリアランスを確保して指定している)

それにも関わらず、実際に仕上がった外寸が雨仕舞パーツより大きな寸法になっていて、用意していった雨仕舞パーツが使えないことがある。

煙突貫通部分の内寸についても同様で、煙突固定金具の幅が450ミリなので、最初は左右方向に5ミリのクリアランスを確保して460ミリで指定していたが、固定金具が引っ掛かって、貫通部分に納まらないことも、けっこうあった。この場合は雨仕舞パーツの時とは違って、固定金具を幅方向で切断して対応すれば、何とかなるけど、現場での手間と時間が余計にかかる。

新築での設計の場合は、CADを使うのが当たり前で、正確に部材の寸法が事前に判るはずなのに、事前に想定した許容範囲の5ミリから15ミリ位の誤差を大きく超えて、50ミリ程度、煙突芯がずれた残念な現場(その程度の技術しかない工務店)が3割程度あるのが現実なのだ。

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そこで、その3割程度の残念な工務店の現場を乗り切るための対策をするようになった。全体の3割といのは決して無視できる数字ではない。最近では、チムニー外寸はあらかじめ小さめの730で指定して、煙突貫通部分の内寸は大きめの500を指定している。730を指定しても780位の外寸で仕上がってくることもざらにあるので、その場合は800角の既製品を遣えば特注品を制作せずに、ワンサイズ大きい既製品で回避できるし、内寸を500に指定しておけば幅450の固定金具が入らないということも、概ねなくなり、工事の滞りが回避できる。

一方で、当店で受注した既存住宅へのリフォーム時の薪ストーブ工事の場合には、当店と提携している、いつもチムニー工事をお願いしている工務店が施工するので、上記の新築住宅のような問題は発生しない。技術力、施工力、精度の良い施工ができると判っている工務店で、コミュニケーション能力もあるので、あらかじめ予定していた工期に煙突工事ができなかったということはない。

そして、私が提携している工務店の強味は、良い仕事ができるということだけではない。必要であれば、全国どこでも出張して施工対応できるということだ。

このようなシステムを組んでいるので、施主さんの地元の工務店に断られた難しい案件でも、対応できる。ネットで情報発信していて、全国各地から依頼がきているので、それができるだけのフットワークも持ち合わせていないと務まらない。

今回の関西ツアー第二弾の和歌山は、私も現場入りして、チムニー施工時の様子を見られるスケジュール状況だったので、私と提携している工務店の仕事のチムニー工事の様子を紹介しよう。(私がいない状況で事前にチムニーの施工をして、私は煙突工事の時に現場入りする段取りのこともある)

事前にCADで作成した図面を元に、チムニーの原寸大の定規とプレカットの材料

外寸730、内寸500に合わせるために、チムニーの柱も、既製品のよくある太さではなく、この現場に合わせた特注のサイズを挽いてきた。プレカットで屋根勾配に合わせて加工されているので、現場でプラモデルのように組みたてて、ばっちり箱の形が組み上がるのを見ているのは気持ち良い。

煙突貫通部分の定規

プレカットで正確に刻まれてきたチムニーの柱を「いのいちばん」から組んでいく

骨組みが組みあがったところ

外装下地の合板を打ち付けた後に、仮の雨仕舞をして翌日の仕上げに備える

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