新築住宅に薪ストーブを設置する際に大事なポイントの一つには煙突固定金具の下地の位置をどこに設定するかということを決めることが挙げられる。図面には出てこない部分なので、現場に行って実際に目視確認しつつ、打ち合わせする。この打ち合わせをきちんとしないと、いざ煙突工事の際に、固定金具を打ち付けるビスが効かないということが発生する。
他社施工の物件で煙突掃除の依頼を受けた時などに、ビスが空洞の石膏ボードに刺さっているだけで、グラグラ固定金具が揺れていて、全く機能してないような驚きのやっつけ施工をたまに見かけるけど、大きな地震が来たらどうするのだろうかと心配になってしまう。
私が提案する薪ストーブ工事では、設計時にはチムニー&角トップでメンテナンス性が良いプランを重視しているけど、実際の施工の際には、さらに安全性や耐震性にも慎重を期している。がっちりと建物の構造部分に三箇所以上で煙突を固定することを基本にしている。(チムニーの上下でそれぞれ一箇所づつと、一階と二階の貫通部分付近で一箇所の合計三箇所)
フラッシングで吹き抜け部分での固定がない施工例も他社ではけっこう見受けられる。この場合には、煙突固定は屋根の野路板部分のルーフサポート一箇所だけだ。大きな地震がきたら、振り子のように薪ストーブが揺れて被害が大きくなるだろう。そこらへんの想像力が働かないのか不思議になるが、ローコスト優先だとそういうことは無視して考えないのだろう。
日本はどこでも地震のリスクからは逃げられないので、万一の時の安全性まで、なるべく配慮しておきたい。
チムニーには仮蓋
チムニー内部の木下地の位置、化粧板の下地の位置などを確認
吹き抜けなので、足場のあるうちに天井までの煙突工事をやらせてもらう段取りを組んだ
今回の現場では、吹き抜けから薪ストーブ設置面の土間までエルボで折り曲げるので、筋交いのある壁面内部にも固定金具用の木下地を入れてもらうことにした
このように炉壁のすぐ上で最後の固定金具を受けられると、地震の際の安心感が全然違う。(通常だと一階と二階の間の天井床の貫通部分か、吹き抜けの場合にはその近辺の梁で固定が一番下の固定)