煙が室内に逆流する問題

いよいよ薪ストーブシーズンが本格的にスタートしてきたようで、この時期に多い質問が「室内側へ煙が逆流する」というものだ。

理由は主に3つある。

1.煙突トップが詰まっている(→目視確認)
2.24時間換気で室内が負圧になっている(→換気扇のスイッチを一時停止して、窓を開けて室内側の負圧を解消)
3.煙を出して炎を立ち上げない稚拙な焚き方

この3つを順番に切り分けていけば解決する。1番と2番の原因は割と単純というか、見れば判るレベルなので、今回は言及しない。

3番が曲者だ。薪ストーブや煙突のせいにしてしまいがちなのだけど、焚き方が正しければ煙の逆流は起きない。端的に言えば「煙を出すような焚き方をしているから煙が室内へ逆流する」ということになる。炎を立てて煙を発生させない焚き方ば重要だ。炎があるから煙突内での上昇気流(ドラフト)が発生して煙突へ煙が抜けていってくれるのだ。炎なしで煙だけだと煙は煙突へ抜けていかずに、炉内へ充満して、行き場を失った煙が薪ストーブや煙突の継ぎ目から漏れてくるという構図だ。

さらに別の観点から解説すると煙が出る原因は「薪が乾燥していない」というのもあるあるなのだけど、これは論外というか、普通の薪ストーブで焚くには乾燥薪が必須なので、今回は除外する。

現代の一般的な薪ストーブは、燃費や効率を重視して設計されているので、空気の流入経路が極めて制限されていて、ひと昔前の設計とは全然違って、かなり燃えにくい。熾火がしっかりできて、薪ストーブの温度が上がった時に効率や燃費良く燃やせるような空気の流れで設計されているので、焚き付け時はかなりの工夫が必要になっている。現代の薪ストーブから使い始めた人は「こんなものだ」と使いこなしているけど、買い替えユーザーの場合は、設計思想が違うひと昔前の薪ストーブを使っていて、その焚き方に慣れている人ほど、陥りやすい罠となっている。正直私も、新世代の薪ストーブに初めて火入れした時には、燻らせたり、ガラスが煤だらけになったりで、試行錯誤して、ようやく理解できた。

屋外での焚火の時は、多少ラフな焚き付けをしても周囲から空気が供給されまくっているし、風が吹いて煽ってくれたりするから強引にやっても何とかついてしまうケースもあるが、薪ストーブはほぼ密閉された鉄の箱の中なので、煙突からのドラフトを失って酸欠になったら即アウトだ。その時は良く燃える着火剤でさえも酸欠で消えてしまう。煙突から抜けていくことで、狭い空気流入口から少しづつ空気が入ってきてくれるわけだ。

※乾燥していない薪をワイルドに燃やすのは送風機内蔵の焼却炉的なコロケットという薪ストーブがある。ストイックなコツやテクニックを要求されたくない人は、こういう選択肢も考慮してみてはいかがだろうか?

ロケットストーブ「コロケット」

※また、「燃費や効率重視の現代の薪ストーブ」ではなく、「割とラフに使えるひと昔前の設計思想」の方が良いという場合は、相談してもられば具体的な機種を案内する。車で例えれば、ハイブリッド車か、旧車かみたいな感じで、どちらが好みか伝えて欲しい。

とりあえず、今回の記事では、「燃費や効率重視の現代の薪ストーブ」を、いかに煙を逆流させないかということに焦点を当てていく。

「炉内状況に応じた適切な細さ(太さ)」「炉内状況に応じた薪の量」の2つの要素をバランス良く取ってやるのが必須だ。

ありがちな失敗例はこの2つだ

・細い焚き付け材の量が多過ぎて、それらが一気に燃えて炉内が酸欠になり煙が充満
・細い焚き付け材の量が少な過ぎて、その後の太い薪に炎が引火せずに炭化の状態で止まり、燻って炎が上がらない

(ちなみに、後者に関しては焚き付け時だけでなく薪の追加投入時にも同じことが言える。熾火の量に対して薪が太過ぎて引火できずにいつまでも煙が立ち上がっているケースもよくある)

長時間炎を維持できる着火剤やバーナーを使えば、割と失敗なく誰しも焚き付けできるのだけど、牛乳パックやダンボールを着火剤代わりに使っている人は紙が燃え尽きて、薪に引火しないで煙を出してしまうケースが多い。

牛乳パックやダンボールを着火剤として使う人は、この位の細い焚き付け材が必要になる。それも同じ細ささけでなく、少しづつ段階を追って、炎のリレーで炎を育てていくように少しすつ太さや長さを増して数種類のサイズを用意するので、かなりの手間だ。着火剤はたいてい1個あたり40円位の単価だけど、これだけの焚き付け材を用意するのは40円以上のコスト(手間と時間)がかかると思う。どちらでいくかはユーザー次第だけど、「市販の着火剤を使わずに、ゼロ円で焚き付けしたい」とこだわるならば、下の写真位の焚き付け材を作る必要がある。

関西ツアーからの帰りには、富士宮のゆで落花生さん宅に泊めてもらった。 コロナウィルスの影響で、春休み前に小学校が休みになってしまっているので...

また、焚き付け時ではなく、薪の追加投入時も炉内状況や熾火の量に応じて、適切なサイズの太さの薪を入れてやる必要がある。炉内温度がまだ上がってない、熾火が少ない時に太い薪を投入したら炎が弱くなって煙が発生する。斧、鉈、キンドリングクラッカーなど、その人のスキルに応じて、薪を細く割って使う必要がある。

用意した焚き付け

この細かさから準備する

ほぼ無煙で綺麗に立ち上がる

順調に燃えていく

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