こちらのブログを読んでいる読者の方から問い合わせのメールをもらった。個別に回答すると他の人の参考にならなくなってしまうので、こちらで記事にしてみる。
問い合わせいただいた方は私と同じ千葉県内で造園業を営んでいる人で、客先で伐採してきた木を現在はストックヤードに放置してあるが、それを薪として販売するのはどうかということだ。産廃として処分場に持ち込むと費用がかかるので、薪として販売できれば経費削減になるかもしれない。
とりあえず、いくつか考えられる問題点を挙げみる。
薪として販売するには薪割りしてから日当たりと風通しの良いところで1年程度しっかり乾燥させる必要がある。春から秋までの伐採時期では2年必要だ。なおかつ雨が当たらないことも必要となってくる。ストックヤードにそのスペースを確保できるかどうかと、それなりの乾燥期間を確保できるかどうかがポイントとなってくると思う。商品として販売するには中途半端な乾燥具合だとリピートにつながらず先細りになってしまう。
業務としてやるには斧で薪割りしていたら効率が悪すぎる。私の場合は個人で自分で焚く分を基本的に作れば良くて、余剰分を販売しているだけなので薪割り機は使っていない。しかし業務としてやる場合には大量に処理する必要があるので薪割り機を使わないとやっていられないと思う。薪割り機にも色々あって電気式からエンジン式まで様々だ。私もあちこちで色んな人の話を聞いたり、実物を見せてもらったが電気式はパワー不足でイマイチだ。太いのや節や枝の部分も確実にやっつけることができないと仕事で使えるレベルではない。そのためにはエンジン式の大型のもので粉砕力が20トンクラス(50万円前後)が必要になってくる。
新規で事業としてやる場合には「ストックヤード屋根」+「エンジン薪割り機」の合計で100万円程度の経費は必要となってくると思う。キロあたり50円という相場で販売するためには\1,000,000-/\50=20,000kgつまり20トンの薪を販売しないと元が取れないということになる。格安で販売するのであればそれ以上に売る必要がある。
20トン分の販売ルートを確保するのも簡単なことではないと思う。私の場合、今シーズンにテスト的に自分で用意した薪の余剰分をヤフーオークションで販売したところ合計で2トン分くらい売れた。その数倍は売らないと「赤字事業部門」ということになってしまう。
そして20トンの薪を相場通りキロ50円で売って100万円の売り上げが発生するという取らぬ狸の皮算用をしたところで、それは事業をやりはじめてすぐに得られるものではない。乾燥した薪ができるのは、事業をスタートした1-2年後なのだ。その時に経費がペイできて、3年目以降にようやく100万円づつの利益ということになる。これだけを商売にして食っていくのはかなり厳しいものがある。捨てたり腐らせたりしている伐採した原木を有効利用したいという強い動機があればできるのかもしれない。儲かるのだったらどの造園屋さんでも工事屋さんでも薪を販売しているはずだ。
さらに話を膨らませて「専業の薪屋さん」の商売として成り立つためにはどのくらいの規模でやる必要があるのかまで考えてみた。とりあえず年間500万円の売り上げを得るためには100トンの薪を毎年コンスタントに売る必要がある。100トンといえば10トントラック10台分、2トントラックなら50台分だ。半端じゃない量だ。さらに2年の乾燥期間を考えるとこの倍の量のストックが必要になる。