少ない薪で、高温で効率良く燃焼してくれるロケットストーブの原点は北米だ。現代に多く普及している鋳物や鉄板製の薪ストーブと比較にならない低燃費、高効率で、もっと広まってもおかしくないのに、何故そうならないのかを考察してみる。
数年前に日本でも流行り始めたけど、実はこれの歴史を紐解くと、60年代のヒッピーとか自然派の人たちが自分で家を建てる文化から発祥したものだ。
ワールドフォトブレス社のロイド=カーン著『ホームワーク(完全日本語訳版)』という雑誌の中にドラム缶式のロケットストーブが室内に設置されている荒土壁の家が紹介されている。先日長野で見てきたレンガ式のものは工期が短く済むけど、このように煙道兼ベンチ(蓄熱部)を土で作るのも味がある。
大掛かりな工事が必要になること、そして室内に無骨なドラム缶が見えてしまうことでオシャレじゃないこと、自然派やヒッピー文化は現代の消費社会に受け入れらないことなどから、ロケットストーブが広く普及していないことが推測できる。
このように横引きの排気で熱を極限まで回収してやろうと思うと、家の設計時からかなり慎重に検討する必要があり、普通の薪ストーブの設置以上に難しいと思う。しかし設計時点で考えれば不可能ではない。私の場合は簡易型の一斗缶で作ったポータブルのロケットストーブで実験して、そして実際の宅内設置されたレンガのロケットストーブを見学して「これはイケる」と実感しているけど、自分でその高性能ぶりを実感してからでないと、こういう写真や情報を見ただけでやろうと思う人はなかなかいないと思う。
そして横引き蓄熱部分を省略してヒートライザーからすぐに屋外排気するFF式ストーブのような排気筒の仕組みで設置すればそれほどスペースも必要ないので、比較的実現も容易だと思う。
チェーンソーも斧も不要で、そこらへんで拾ってきたわずかな量の枯れ枝だけで十分なので、薪集めがとてもラクだ。薪集めが負担になる人にはとてもお勧めの高性能のバイオマス暖房器具なのだ。薪ストーブは薪集めが大変と思っている人は、ぜひとも検討してみよう。
アース・リー山武店ではロケットストーブの情報提供や設置のお手伝い、そして施工も相談に乗ります。