今年は数件の個人輸入のコンサルを受けていた。最初に相談を受けてから1年くらい時が流れて結果が出るのだけど、今年後半にようやく結果が出て、全て完了した。
個人輸入の場合は、日本で正規品を買うよりも安いけど「送金したけど商品が届かない」「壊れていた」「違う商品がきた」「部材手直ししないと使えない」などのリスクもあるし、何よりも海外の販売店とのコミュニケーションが大変なので、浮いたお金がその労力や苦労や手間と見合うかどうかというのは人それぞれだと思う。
やる前には「少しでも安く」という動機でやっても、最終的にやり遂げた後に「もう一度やる?」と意地悪な質問をすると「こんなに苦労するならやらないかも」という答えが大半なのが実情だ。でも、その苦労をした分だけ、設置後の喜びば倍増しているのは言うまでもない。
私がコンサルする場合も「基本的なやり方、ノウハウは教えるけど、やるのはリスクも含めて全て自分でやってもらう」というスタンスだ。「お金だけ出すからやって欲しい」というニュアンスが微塵でも感じられたら最初の時点できっぱりとお断りさせていただいている。
リスクは取らずに手っ取り早く商品だけ欲しいとか、時間がないのですぐに欲しいという場合には、無理に個人輸入しないで、少し割高だけど、こういう薪ストーブの国内通販も最近はあるので、そちらを利用する方が良いと思う。
今回の中部・関西の旅では、そんなツワモノたちの個人輸入&DIY設置のコンサルの結果を見に行ってきた。富士宮に続いて豊橋だ。設置までにコンサルで色々と相談に乗って、写真や図面などで設置方法もアドバイスしたけれども、やっぱり現物を見ないと判らない部分もある。本人もきちんとできているのか不安も残っていたようなので、一通り点検してきた。
古い家をDIYリフォームして住んでいる。広いウッドデッキも手作り
難しい縦葺きの板金屋根だけど、一段立ち上げての雨仕舞いで万全
フラッシング内部までロックウールを充填。勾配屋根用の化粧版は機能優先で鉄工所で作ってもらったとのこと
建物の構造にきちんと煙突を固定
一階天井裏も補強して貫通させている
室内側化粧版を取り付けた後に目視点検できるように天井裏の点検口を増設
室内用化粧版でも煙突固定だけど、ベルギー製は一辺が短いので鉄工所で作成してもらった化粧版とドッキングさせて使っている
ベルギー製の煙突のロッキングバンドはネジで締め付ける仕様
ホンマ製のダンパーを流用
土間に設置して使い勝手が良い
居間からの眺め(小さな子供がいるので柵がついている)
一通り点検してきたけれども、非の打ち所のない完璧な設置だった。きちんとコンサルの結果が出ているのを自分の目でも確認できて安心した。
基本的にはベルギー製の煙突部材を使って、足りない部分は自作や国内入手できる市販品を組み合わせて上手に取り付けられていた。このように個人輸入の場合は全て完璧に輸入したパーツだけでやろうと思わないで足りなかったり合わなかったりしたら、市販品や自作パーツ、特注パーツなどで補完してやるくらいのおおらかさが必要だと思う。あまり神経質に完璧を求めると、なかなか進まない。
英語の通じるイギリスからではなく、オランダ語が基本のベルギーという生産国の薪ストーブ屋から、オランダ語→英語→日本語への翻訳サイトを駆使したり、知恵袋を利用してオランダ語の文脈の意味を訊いたりしての購入という熱意と根性には頭が下がる。
12月10日(昨日)のデータ
■クリック数 46(8.1%)
■アクセス数 567
《記事が面白いと思ったら上の画像クリックをお願いします。翌日の記事で本日分の情報を公開します》
コメント
ただ、英語圏からだったので、苦労は全くなかったです。
それはそうと、フラッシング部分の断熱とストームカラーだけで防水が事足りるか、という問題。
かわはらさんは、ロックウール充填とおっしゃっていたので、念の為に、カナダの煙突メーカーに照会しました。
彼らが言うには、隙間はわざとだ、あそこから排熱するから断熱して塞ぐな、ということで、断熱したい場合には、断熱フラッシングがあるよ、とのこと。
ストームカラーも、カナダの気候も厳しいぞ、風が強いところだってあるけど、問題ない。気になるなら、強風地域用の大きなストームカラーがあるけど?とのこと。
現在の施工は、煙突メーカーの手順的には問題なかったようです。
輸入関係で気づいたことは、海外は品質が結構アバウトなので、ある程度は、自分で修理したり、点検したり、整備したり、が必要になるってことでしょうか。
具体的にいえば、錆びていたので、ブラストして塗装しなおしたり、タッピングビスがしょぼくてまともに固定できないので、タップしなおして、まともなボルトとナットで固定したり、ドアのガスケットもちょっとダメでした。あと、煙突のブレースが長すぎたり、固定のボルトの台座がかしめ不良で外れたり。。。
うちは余ったので大丈夫(?)でしたが、部材が足りないこともあるでしょうし。
まあ、DIYは趣味なので、そういう過程も含めて楽しめましたが、正直、そういうのが楽しくないという人にとては、拷問だと思うし、タップするといっても、ダイスやタップを使ったこともない人には、修理方法もわからないだろうし、溶接機がないと溶接もできないし、ブラストキャビネット、塗装ブースがないなら、まともなサビ落としも塗装もできないでしょうし、そういうものをそのために全て揃えたなら、かえって高く付くでしょうし。
国内の薪ストーブ屋さんは、ものすごくお高いですが、そういう見えない、納品前の整備だとか、万一に備えた部品のストックなどの仕事もしてるってことで、そういうコストも積み上がって、ああいう値段になっているんだと思います。
先日は本当に何から何までありがとうございました
かわはらさんに完璧な設置だとおしゃって頂きこれから安心して楽しめそうです。
やはり僕の場合も部材の干渉があったり、塗装でボルトが使い物にならなかったり、余分な部材が必要だったりとだいぶ試行錯誤が必要でした。
なれていた方にも手伝って頂いてその辺の対応はできたのですが,かなり手間はかかってます。
あとブログ内でベルギー製の勾配屋根用の化粧版とのことでしたが
あの部品も鉄工所で作ってもらいました
見えないところだし断熱材をおさえるだけなので
煙突をはずさないで安価な形状ということであの形にしました。
おっしゃる通り機能性重視です(笑)
single02さま:
フラッシング内にロックウールを充填するのは防水のためではなく、フラッシング裏面に結露するのを防止するためです。
防水に関してですが、隙間から排気させるほど熱はこもりませんので、それよりも煙突からの雨水を二重に切るメリットの方が大きいと判断しています。
輸入部材の手直しが必要な点は、まさにそのとおりだと思います。そういうのが苦にならない人でないと難しいですよねぇ。
国内部材が高いのはそれなりの理由がありますよね。許容できない人は自己責任で個人輸入の道もありますね。
けんいちさま:
補足説明をありがとうございます。いただいた内容で記事の方は修正させていただきます。
輸入後に検品をした商品を買う場合は高いのも有る程度なら我慢できます。4が、しかし、、、。
薪ストーブやペレットストーブの海外高級品は性能が良い代りに高めな価格設定ですよね。
そういう意味でカワハラさんがリンクが貼ってあるサロンのような所で優良海外メーカー品をリーズナブルに購入できるのであればとっても有難いけどマジですしょうか!?
楢林御露羅さま:
個人輸入はある程度のリスクを自分で背負う覚悟がない場合はやらない方が良いと思います。
ノーリスクで高品質を安くという場合には、国内通販という選択肢もあるので、それも併せて紹介させていただきました。
個人的には苦労して個人輸入するよりもお勧めです。
フラッシングの断熱材充填の意味はわかっていますが、言葉足らずで、誤解を与えたようです。
フラッシングと煙突との間に隙間があり、また、メーカーから断熱材を充填するような手順も示されていなかったこと、そもそも断熱材を充填する場合、その断熱材がロックウールなど吸湿性を有する者の場合、屋外側(屋根側)はタイベックなどの透湿フィルム、室内側はベーパバリアとして、気密フィルムを施工するのが常識だと思っていたので、それらがなくただ単に詰めただけのもで問題ないのかな、という思いもありました。
(要するに断熱材内部で結露が発生するリスクがあるのではという懸念)
防水については、ストームカラーだけで行っているんですが、これも年齢がバレそうですが、シャンプーハットみたいなものですから、下から吹き上げるような強い風が吹いていれば、フラッシングの隙間から水が入るリスクはあるかなと思っていました。
いずれにせよ、防水についての判断は、自分もかわはらさんと全く同じでして、少々メーカーの主張(隙間から排熱する)については、方便ではないのだろうか、と感じています。
今となっては、断熱に関しては後の祭りなのですが、防水に関してはやっておこうと思います。
single02さま:
なるほど。そういうことだったのですね。紙やフィルムなどの可燃性の物質をこの部分に配置するのは防火上問題がありますからねぇ。
断熱材内部の吸湿を考えるか、全く断熱材をいれずにフラッシングで結露させるのか、どちらを選ぶかを考えると、私は前者の方が良いと思います。
シャワーハットは私も判りますよ。おっしゃる通り、ストームカラーだけだと下から吹き上げで水漏れするリスクもありますね。それプラス、煙突から垂れるものを二重にガードすること、特に下の隠れた部分は紫外線にさらされず長期間持つことなどから、ダブルでの防水が良いと思います。