ノザキ2073インプレ(中国製と欧米製の薪ストーブの違い)

2073は中国製の薪ストーブで、九州のノザキという会社が輸入販売している。同じメーカーだけど以前レポートした小型の2300という鉄板製とは全然性格が違う、大型の鋳物製だ。
欧米製でこのサイズなら30-40万円コースのところが一桁万円で入手できるというコストパフォーマンスの高さは特筆できる。欧米の薪ストーブより20-30万円安くスタートできる魅力は、予算が限られている場合には大きいと思う。
「低予算でソコソコの性能で良い」という場合には、以下に挙げるいくつかのデメリットが納得できるのであれば、入門用、あるは改造ベースとしては良い思う。
今回、薪ストーブ設置コンサルの後に、宿泊させてもらって、しっかり時間をかけて焚き込むことができたので、そのレポートだ。
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炉内の”N”と”2073″の文字が誇らしげだ
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十分に温度を上げてからダンパーを絞ったところ
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各部の空気(入り口、出口とも)を絞り切っても、オーロラにはなりにくい
まず、操作感だけど、空気調整のレバーの操作の際の質感もいまひとつだ。硬すぎたり、ガチャガチャと落ち着きのない感じで精度があまり良くない印象だ。
新品でも気密性はあまり良くないので、問答無用で扉のガスケットは交換した方が良いと思う。また、鋳物パーツの接合部分の耐火セメントなどを盛り直す、気密性のためにガスケットを付加するなど、自分で炎の出方を見ながら調整したり、チューンナップした方が楽しめるし燃費も向上すると思う。購入したそのままのノーマル状態では、燃え過ぎて燃費がイマイチで、炎の表情も欧米製のように自由自在にコントロールできるというわけではない。自分で色々と手を加えれば高性能になるポテンシャルは秘めているけど、そのままだといまひとつだ。
これは小型鉄板製の2300でも、あるいは他メーカーのホンマ製の中国製にも共通して言えることだけど、ある程度本来の薪ストーブの燃え方や、理想の状態が解っている人が手を加えて初めて「高性能」になる原石のようなものだ。最初から何も手を加えない状態での高性能というのは、正直言って期待できない。「中国製の薪ストーブだから欧米製と比較して暖かくない」ということはないが、純正状態状態で、厳密に比較すれば同じように暖かく部屋をするための燃費は3割くらいは違うだろうと思う。
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最終的には熾き火の量、薪の量、炉内温度などの条件を整えれば、ノーマル状態でも、こういう青白いオーロラも出たけど、自由自在にというわけにはいかない。
ある程度、入門機として使い倒して、いずれ欧米製へとステップアップするまでのつなぎとして考えるか、自分で工夫して分解してバラバラにして、とことんチューンナップして性能向上を目指すかの、どちらかとなるだろう。
中国製の薪ストーブの能力の限界をつきつめてから、欧米製に触れるのはとても勉強になるはずだ。いきなり欧米製を使うと、改良を積み重ねてきた歴史の重みと高性能さが、当たり前になってしまって「ありがたみ」が薄れてしまうかもしれない。値段が高いのには理由があることを身をもって味わうことができると思う。
ちなみに薪ストーブ本体は、簡単に後からでも比較的簡単に入れ替えることができるけれども、煙突は「あれ?」と思っても入れ替えるのも容易ではない。最初から高品質で長持ちする、一生モノの国産の二重断熱煙突を選択しておこう。薪ストーブ本体はは妥協しても良いけれども、煙突だけは妥協しない方が絶対に良い。
今回の施主さんも最初はホームセンターでホンマの(中国製の)二重断熱煙突を購入しようとして手に触れて見てきたそうだけど、国産の二重煙突の造りを見て「値段の違いには理由がある」ということを身をもって理解できたようだ。性能の良さはある程度の期間、使い込まないと違いが感じられないかもしれないけれども、精度、美しさなど触れてみれば瞬時に誰でも感じ取ることができると思う。
それと同じような違いが、中国製と欧州製の薪ストーブの本体でもあるということだ。
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コメント

  1. shige02 より:

    品質が良い、ということですが、あくまでも自分の経験だけをいえば、日本の代理店、販売店の努力に依る部分は少なく無いと思います。
    少なくとも、ヨツールを輸入した経験では、本体がすでに錆びていたり、立て付けが微妙に渋かったり、ヒートシールドの下穴径が不適切でタップする必要があったりと、日本人の感覚でいえば、明らかな不良品状態のものが納品されました。
    ただ、ヨツールに関していえば、輸入すれば日本の1/2〜1/3ですから、チャイニーズストーブとの差は輸入代理店モノに比べるとかなり少ないので、積極的にノザキを選ぶ理由は、正直あまりないかなと思います。

  2. かわはら より:

    single02さま:
    経験談からの補足&ご意見をありがとうございます。非常に有意義で、貴重なものだと思います。
    ヨツールに限らず、ドブレ、バーモントキャスティングす、モルソー、ダッチウェストなどの欧米の薪ストーブは軒並み、生産国での売価は日本のそれと比べて1/2から1/3というのは共通していますね。
    おっしゃる通りで、日本の輸入代理店が果たしている役割は大きいと思います。欧米から輸入した薪ストーブを全品検品して、問題があれば修正して日本人に満足いくクオリティにしてから出荷していますからね。値段の違いはその付加価値にあると言っても過言ではないと思います。
    欧米製も個人輸入、直輸入したままでは必ずしも安心はできないというのはその通りだと思います。
    一方の中国製はその検品を省いて安くして、クレームが来たら交換するというスタンスで売っています。しかし問題があってもそれを不具合と認識できない初心者ユーザーが多く「こんなものだろう」と使っている人も多いのだと思います。
    自己責任で対応できる人は、欧米製の薪ストーブの個人輸入も一つの選択肢としてありますよね。これまでのコンサル案件でも複数見てきましたので、よく解ります。
    それぞれの立場とニーズによって一番適した方法を選択するのが良いと思います。

  3. いやいや… より:

    いやいや…中国製を使ってるだけで恥ずかしいと思いますが(;^_^A
    薪ストーブって、お金をケチる性格の品物ではないと思うのですよ。
    なかなか手が出ない舶来品だから所有欲を満たせるのであって、中国製では優雅な気分には浸れないでしょう。

  4. かわはら より:

    いやいや…さま:
    手厳しい意見ですが、世の中には幅広く様々な立場の人がいます。
    欧米製の薪ストーブを優雅に楽しむ人もいるし、中国製を実用品として使い倒す人もいますので、どちらが正しいと言うことはできないです。
    欧米の高級機にも、中国製の入門機にも、それぞれ個性と特徴があり、愛情をかけてやれば、それなりに応えてくれます。

  5. shige02 より:

    VCに限っていえば、価格は1/2というのは難しいと思います。
    アンコールの場合、フレックスバーンのもので、だいたい今の為替相場で、30万近くしてしまいます。(一見客の値段)
    向こうではオプションのものが日本では標準だったと思いますが、国内の定価で税別52万なので、同じ構成で考えると、1/2とまでは行きません。
    これに通常は木箱梱包費用、相手国内の運賃、バンニング費用、海上運賃、デバンニング費用、通関、日本国内費用、関税と輸入消費税がかかります。
    まあ、国内で買っても消費税はかかりますが。
    梱包費用と相手国内運賃でだいたい$100位、バンニング費用を含んだ国際運賃が$300位、関税は多分かからなかったと思いますが、国内運賃として1万円見ておくと、だいたい5万必要なので、だったら、ヤフオクに出ているアンコールを買った方が安い、ということになります。

    ヤフー税の5.4%と消費税8%を含んでの価格ですから、実質は、316000円です。
    まとめて輸入してコストをセーブしているんでしょうね。
    これが高いか、安いか、というと微妙ですねよね。

  6. かわはら より:

    singgle02さま:
    情報ありがとうございます。ヤフオクではずいぶん安く出ているのですねぇ。
    アメリカでの売価と、ほぼ変らない値段で売られているというのは驚きです。