チムニー作成時の注意事項

薪ストーブの煙突の理想はサンタクロースが出入りするような四角い煙突だ。子供がお家の絵を描く時に屋根に四角い箱が乗っていて、そこから煙が出てくるようなものがあるけど、そのイメージだ。子供の夢を実現するというだけではなく、最も合理的な煙突なのだ。

1.よくある円錐形の金具だけのフラッシング仕様と比べると、雨仕舞いが圧倒的に有利で雨漏りのリスクが少なくなる
2.メンテナンスの際に体を支えたり、道具を置くことができるので、毎年の煙突掃除の際の安全性も高い
3・普段焚いている時には強い風の影響も受けにくいし、煙も目立ちにくい
4.煙突工事と、建築工事の日程を自由に調整できる(フラッシングの場合、屋根を葺く直前に行う必要がある)
5.新築後すぐに薪ストーブを導入できない場合でもチムニーだけ作っておくと後付けが簡単にできる

新築の場合でもリフォームの場合でも可能な限りチムニー(煙突囲い)でのプランをお勧めしたい。唯一の問題は予算面でチムニーの製作費用が余計にかかることや角トップの値段が高く、総予算でフラッシング施工より若干高くなることだけど、上記のメリットを考えると、薪ストーブ本体の費用を削ってでもチムニーによる煙突施工が良いと思う。
チムニーを製作する場合にいくつか注意事項がある。適当に作ると実際の使用時に困ることになる。注意事項としては次の6点だ。

A.仕上がりの外寸は一辺が730ミリ角の正方形
B.仕上がりの内寸は一辺が450ミリ角の正方形
C.外壁の仕上げ材は自由(建物の外壁と同じでも良いし、サイディングや、漆喰塗り、タイルなどデザインで選ぶ)
D.チムニー内側は10ミリ厚のケイカル板を貼る
E.ケイカル板の下地は構造用合板で煙突支持金具をビスで、どこでも固定できるようにする
F.可能であれば煙突固定金具の取り付け位置に、横にも骨組みを入れる(合板だけよりさらに安心)

上記のこれだけの点をきちんと守って作っていれば問題ないのだけど、現実には、事前にかなりしっかりと打ち合わせをしても、現場では必ずしもその通りに作られないケースが多々ある。設計者や工務店、施主さんに伝えても、下請けの現場の大工さんや左官屋さん、板金屋さんまで話しが通ってないケースが多い。
いくつか補足しておこう。
何故、仕上がりの外寸が730ミリかというと、角トップのベース部分をチムニーの上から被せる形で施工するからだ。そのベースの一辺が750ミリなので、それぞれの方向に10ミリずつのクリアランスを確保して730ミリで指定している。漆喰塗り壁の外壁の家の場合などで、煙突も漆喰仕上げで、外壁を塗った余りの漆喰をこの煙突部分に盛り付けてしまうケースもあった。そうして750ミリ角以上の一辺になってしまうとベースがハマらなくなってしまう。また板金仕上げの場合などでも板金の出っ張り部分が750ミリ角以上となると、同様にベースがハマらなくなる。タイルや天然石などの素材を使う時も要注意だ。厳密に仕上がり寸法は守って欲しい。自分の使っている職人さんや下請け業者の性格や施工方法などを見極めて730ミリで指定しても750ミリ以上になりそうと推測できる場合には、あらかじめさばを読んで、700ミリ角くらいの外寸で伝えておいてもらった方が良いかもしれない。
チムニーの内側のケイカルの下地に構造用合板が必要なことも忘れられがちだ。大工さんに寸法だけ伝えると、骨組みだけ作って、その骨組みにケイカル板を打ち付けて、煙突固定用の金具のビスが効かなくなってしまっていることもある。下地の位置は厳密には固定金具のビスを打つ面のチムニー上部と下部だけでも良いのだけど、打ち合わせをしたところで、その通りに仕上がらないケースの方が多いので、チムニー内面は全部ビスを打つ下地が必要と指定しておいた方が良いと思う。理想は、合板だけでなく、煙突固定金具の取り付け位置に骨組みが横にも入って合板と骨組みを一緒にビスが入ることだけど、余程しっかりと打ち合わせをしておかないとそうならないと思う。
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板金で屋根との取り合い部分の防水処理をしたチムニー下部
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外壁と同じような施工方法の一例
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チムニー内部で、煙突を固定する金具の荷重を支えるための構造が必要
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チムニー外面の仕上げが完成したところ
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最終的に上から角トップをかぶせる
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