賃貸物件で「ゼロゼロシステム」と言えば、敷金ゼロ、礼金ゼロの契約のこと。
戦闘機で「ゼロゼロシステム」は速度ゼロ、高度ゼロでも動作する脱出装置のこと。
まだ薪ストーブ業界ではこの名称は存在しないけど、煙突の「高低差ゼロ」「温度差ゼロ」でドラフトが存在しない状況でも使える強制排気システムのことを、このように命名する。
薪ストーブを使うのにあたって最大のネックは煙突を立ち上げることだ。通常の多くの場合、最低でも4メートルで縦の上昇気流(ドラフト)が要求される。横引きがある場合には、その横引きの長さの数倍の縦引きが必要になる。これらの条件を満たせない場合には薪ストーブの快適な使用は難しくなる。
薪ストーブの設置状況によって「煙突をどうしても立ち上げられない。横引きしかできない」という場合には、強制排気ファン【ゼロゼロシステム】を採用するしかない。
既製品ではチムニーファンという商品もあるが、それだけで30万円近くするし、角トップ内に組み込む前提の商品なので、15万円くらいする角トップも合わせたら、なんだかんだと、煙突以外のこの強制排気のシステムだけで50万円オーバーというのは確定だろう。商業施設とか、よほどの物好きでない限りは予算的に厳しいと思う。
最近の現場調査で、横引きの後の縦引きが難しい案件が出てきた。強制排気のシステムを取り入れたいけど、予算配分も考えなければならない。予算と内容のバランスを取って、現在システムの構築中だ。
ぶっつけ本番で、お客様のところで実験するわけにもいかないので、とりあえずショールームでゼロゼロシステムの実験をしてみた。
プロトタイプの室内用のロケットストーブの排気を壁から出す
即席の二重断熱煙突で壁面から貫通したところ
これに一斗缶をかぶせて、切り抜きに換気扇をハメて、擬似的な排気ファンを作成
排気部分を遠くから見たところ
火入れすると、非常に快調に燃えてくれた
ピーク時で、一番高いところで85℃くらいなので、排気温度は90℃くらい
今回は、オール廃材利用のゼロ円の実験で、手元にあった200?/h程度の容量の低い、小さな換気扇を利用した。そのため、予想はできていたことだけど、焚きつけ直後の炎が弱い時に風量がちょうど良いが、その後に薪を追加してガンガン焚いていく段階に入ると風量が追いつかずに不完全燃焼して一時的に黒煙が排出された。そして温度がある程度上がって安定してくるとまた煙が出なくなるという感じだった。
ある程度の風量の出る、1000?/h程度のファンを使えば良好な結果になりそうな印象だった。
ダクト屋さんに行って、既存のシロッコファンで使えそうなやつで排気システムを作れないか相談した。
既製品だと、風量や形状は問題なさそうだけど、耐熱温度が厳しいみたい。厨房用の排気用としてだと、薪ストーブのような高温までは保証されておらず50℃程度を想定しているらしい。今回の実験でも、常時100℃程度、余裕を持って150℃の耐熱性が欲しいので、さらに要検討だ。
実現すればペレットストーブのように、壁から排気を出すだけで、煙突を立ち上げなくても薪ストーブが使える画期的なシステムになりそうだ。
コメント
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面白い。容量はわかりませんが、ペレットストーブに使われているものは燃焼室に近い部分にありますので熱的に許容があるでしょうね。こうしたものは一般に系が小さいですが80mmとか・・ドラフトを当てにしないので、細くても問題ないか?今度は詰まりのリスクが増すか・・・・。
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koudaさま:
ペレットストーブの燃焼の際の排気と、薪ストーブのそれでは比較にならないほどの量なので、そのままでは全然追いつかないですねぇ。
耐熱性だけでなく、薪ストーブでは風量も大事だと思いました。
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それこそダンテックスにドラフトを助ける補助的なものだと思いますがありましたね~
ネット上には探せませんでしたけど、
カタログにはありましたよ。
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ついでにサイクロンを付けて、ススなどをトラップするといいかもしれません。
別に排気自体をファンで送り出さなくても、常温の空気を圧縮機で送り、ベンチュリ効果で煙突側の高温排気を吸い出せばよいのではないのですか?
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だどもなぁさま:
カタログあるけど、サイトに載せてないってどういうことなのでしょうねぇ?
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single02さま:
圧搾空気を作るためにはファンの何倍(もしくは桁違い)に大きな電力を必要としますので、あまり実用的ではないと思われます。
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確か単純計算だと横引き1m以内であれば煙突の立ち上がりは4.5m以上必要だと記憶しておりますが良かったでしょうか?
強制ファンは停電時に煙の逆流が
心配であります。
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面白い挑戦ですね。
頑張ってください(^-^)/
街中で営業してるピザ屋さん。
あの排気システムで薪ストーブは使えるかな?と思った事はありますが、個人であそこ迄は難しいですね。
でも、ちょっとは使えそうな
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ハンター欲しいさま:
煙突立ち上げはそのくらい欲しいですね。
強制ファンに対する心配点は、良く気づきましたね。まさにそこが問題の一つだと思います。
現状の実験段階では使用中に停電したら、炎のついた薪を炉内から取り出して消し炭箱のような火消し箱に入れるなどの原始的な対策が必要になってきます。
お客様ところで実際に提案しているのは太陽光発電+自動車用のバッテリーで停電時でも使えるシステムです。
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なたろうさま:
業務用の薪のピザ窯のシステムは、ほぼそのままで薪ストーブの排煙システムとしても使えると思います。
ただ、費用がネックになるでしょうねぇ。
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そうですね。カタログにはのってました。
面白い試みだと思いますよ。煙突の長さに自由度ができるわけですから、格段に設置場所に幅ができるわけですものね。
業務用というか、工業用のファンではいかがでしょうかね?
溶鋼とか~ブースの排煙とかって結構あるものなので。
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だどもなぁさま:
おっしゃる通りで、配管経路の自由度が広がるという観点からの実験です。
色々調べたら、業務用、工業用では高温の排気ガスを受けられる大容量のファンもありました。
しかし、値段や消費電力がが強烈でした。
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やっぱり排煙を強制ファンでと言うのは怖いです、、、機械ですから就寝中
に不具合と言う事になると、、、
無理な煙道計画は避けた方が賢明かと、、
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ハンター欲しいさま:
おっしゃる通り、普通に煙突立ち上げるのがベストだと思います。
これは誰にでも勧められるシステムではありません。