「新築で薪ストーブを入れたいけど、建築費で手一杯で、薪ストーブ、煙突工事に予算があまり出せなくて75万円が上限」と最初の段階で正直に話してくれた施主さん。
こういう場合には知恵を絞って、予算の範囲内で、最大限にできることをやって、夢を実現させてあげたいと頑張りたくなる。
国産の高品質の高木工業所の煙突部材を使えば、品質はぴか一なので、全く心配はないけど、それなりに値段もする。今回のように、予算に制約がある場合には、選択肢から外さざるを得ない。
かと言って、ホンマ製のチャイナ煙突はショボ過ぎて、使う気にならない。
いくらローコストでやるにしても、煤の付着や燃焼状態を考えるとシングル煙突という妥協はしたくない。
私は薪ストーブには二重煙突が必須と考えているので、ローコストでそこそこの性能を担保できるカナダ製のエクセル煙突を選択した。
薪ストーブ本体に関しても、煙突同様に、国内輸入代理店の正規品を使うと高くなるので、こういうケースの場合、施主さんのリスク負担で個人輸入してもらう。為替相場や破損のリスクを施主さんが背負いたくないという場合には、それなりのリスクヘッジも行うが、その分だけ値段が高くなることは仕方ない。
それでも国内正規品よりは全然安い。施主さんの希望に応じた、やり方を案内している。
※誤解しないで欲しいのは、かわはら薪ストーブ本舗として、個人輸入代行を請け負ったり、並行輸入品の仕入れを行っているわけではないということだ。あくまで、私はコンサルの部分と、施工の部分に関してのみ、責任を持って行っている。
低予算ありきの案件では、メーカー、機種などに関して、お客様に選択肢は与えない。
「総予算」-「煙突代」-「輸入経費」-「工事代」=「本体の値段」ということになるので、ほぼ自動的に決まってしまうからだ。
本当に厳しい予算でトータル50-60万円の場合には本体の値段が10万円程度のカナダ製の鋼鈑のものになる。
(逆に言えば50-60万円の予算があれば、カナダ製の部材でオール二重煙突での施工が実現可能ということだ)
もう少しだけ予算に余裕があって、今回のように75万円出せばヨーロッパ製の鋳物も視野に入ってくる。
この案件では、日本では未発売の最新モデルのヨツールF45を選択した。
鋳物と鋼鈑と耐火煉瓦の三層のハイブリッドの高級モデルで、ネスターマーチンやハースストーンのような綺麗なオーロラが出る燃え方をすることが予想される。
新開発されている次世代モデルなので、かなり高性能なことが予測できる。
機能的にも充実していて、天板の蓋を取り外して料理をするという使い方もできる楽しみもある。
見たことも、触れたこともないユニークなモデルを経験、勉強するチャンスなので、ありがちな旧モデルの定番のF400ではなく、このモデルを選択した。
この冬に、実際に火を入れるのがとても楽しみだ。
また、過去には、普通に薪ストーブ店で工事するのと同額程度の100万円程度の予算で、高級機のソープストーン製の薪ストーブのコンサル設置となった富山での事例もある。
(施主さんの希望でブログ非公開)
このように、60万円コース、80万円コース、100万円コースと、予算に応じて様々な手法を使って、施主さんの薪ストーブを導入したいという希望を叶えている。その現場や、その施主さんに合ったやり方を、引き出しからピックアップしているのだ。
天板の中央部分が取り外せる仕様
ここに金網を乗せて料理をしたり、サイズに合わせて制作したオーブン、プレート、網などを挿入すれば多様な料理に活用できる
今回、小田原の新築住宅に設置したヨツールF45
ドブレ700SLと同じように前後のレバー式のハンドルというのも、人間工学的に優れていて使い勝手が良い。回転式のように、どちらに回転させれば良いか、どういう角度で回せば良いかと神経を遣う必要がなく、誰にでも簡単に開閉できるのがうれしい。
このスペースに設置
まずは養生して部材を搬入
鋳物、鋼鈑の二重構造のハイブリッドモデルなので激重で一瞬選択を後悔したけど、何とか無事に設置完了
夏場なので観葉植物が涼しさを演出してくれている
ご主人様は設置後に
「この暑い中、火入れの取り扱い説明をやるのですか?」
と心配していたけど、今やっても冬に忘れてしまうし、薪ストーブのありがたみを感じられないので「寒くなって、火を入れたくなったら呼んで下さい。また来ます」ということで、現場を後にした。遠方からの設置工事なので、工事完了したら取り扱い説明に来てもらえないと思ったのかもしれないけど、私はご縁のあったお客様のフォローはとことんやる。
帰路には「とっても素敵で大満足です!」という趣旨のメールを奥様からいただき、うれしく思った。
この薪ストーブはリアヒートシールドもついているので、それほど強烈に背面に熱は放出しないけれども、それでもガラス面の近くなので、それなりの炉壁を作る必要がある。施主さんのお父様が板金屋さんをやっているということなので、この後に、冬のシーズンまでに、現場合わせで、新築祝いに炉壁を制作するということになっている。
冬になって、火入れのレクチャーを行うのが楽しみだ。(日本未発売の最新モデルで誰も触れたことのない機種なので、テンションMAXのワクワク状態で行くことになるだろう)
コメント
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2014/9/15の記事に掲載されていた機種ですね。海外のメーカーのホームページには、日本の代理店のホームページに記載されていない機種もあって面白いです。
ところで、機種によってはオプションで付いていることもあるリアヒートシールド、どれくらい有効性があるのか、後日でもかまいませんのでご教示くだされれば幸いです。
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Mr.トリデさま:
さすが!良く憶えていましたねぇ。
最新モデルなので、定番の旧モデルと比べて、多くの点が改良されていると思います。
リアヒートシールドは効果絶大です。この機種も設定されていますが、ヒートシールドなしだと背面温度250-300℃位のところ、マイナス100℃程度で150-200℃くらいになると思われます。(予測)
実測値は、この秋冬シーズンに火入れレクチャーに行った時に詳しくチェックしてレポートします。
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エクセルは何度か使った事がありますが
確か、エクセルは磁石がくっ付くステンレスじゃなかったですかね?
恐らく、SUS303かな?
だったら耐食性が劣っているので、いずれススの酸性で穴が開く可能性大です。
接続方法も差し込みビス止めで、締めすぎるとバカになる。
施工性が悪く座屈にも弱い。
断熱材は密閉して無く、小口から露出しているので、多湿多雨の日本では
湿気や水が入りやすいのでは?と思いました。
以上が依然使った時の印象ですが、今は仕様変更してるのでしょうか?
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エコエコ薪ストーブさま:
そこらへんの情報は、記事内のリンク先に詳細に明記してあります。
露出しないように基本はメトス製の角トップでの施工が必須と考えています。