昨年、ヨツールのF500を設置した北海道のお家へメンテナンスに行った。
既存のレンガの炉台が想定以上に凸凹が激しくて4ミリ厚のスペーサーをかまさないと安定しなかった。設置時は、とりあえず応急処置で適当な金具を挿入しておいたけど、美観が損なわれる状態だった。
この他にも当初設置した時に、ハンドルの動きが渋いという問題点があったので、交換用のパーツも持参していったが、こちらは1シーズン使ったら動きが良くなって交換の必要はなかった。
また、室内側を煙突固定なしで横引きする煙突配管だったので、水平垂直が微妙にずれてしまっていた。そこで水平垂直を取り直して、煙突を口元および、スライド部分を固定して水平垂直が維持できるようにした。これに伴い、薪ストーブの設置位置も数ミリ貫通部分から離す方向に移動した。
薪ストーブの入れ替え後は「燃やしにくい」「タールが垂れる」「煙が室内側に逆流する」などの問い合わせがあったので、屋外側の既存二重断熱煙突の性能劣化や、負圧の影響なども考えらえた。
そこで、今回の訪問時、煙突掃除の後に、パイプ内視鏡を持参して屋外側の煙突のインナー管の状態の確認、24時間換気をされていたので、微差圧計を持参して、室内側がどれだけ負圧になっているのかの測定など、薪ストーブを使用するにあたっての不安要素をチェックした。それらの不安要素は、数値や目視できちんと確認した。結果的に、それらの問題はなかった。
焚き方の改善だけで、上記の問題点は解決すると自信を持って言える状態になった。
ちなみに、お客様がF500の前に使っていたダッチウェストは触媒機だったので、焚きつけ時にダンパーを開けば煙突に排煙が抜けていき燃やしやすいのに対して、入れ替え後のF500はそういう構造ではなく、バッフル板を回折しながら排煙が抜けていき、それなりの抵抗があるので、比較すると燃やしにくい傾向にある。さらに最近の新しい薪ストーブは燃費向上や排煙規制への適合のため、空気を極端に絞って燃やす設計になっているので、その傾向に拍車がかかっている。
1シーズン使った後のお客様の感想も「前の薪ストーブの時は太い薪でも燃えたけど、今度の薪ストーブは細目の薪(つまり標準の8センチ角程度)でないと、きとんと燃えないし暖かくない」というものだった。適切なサイズの薪を正しく燃やせば、煙も煤も出ずに、暖かくきちんと燃えるということが、ある程度体感で理解していただけたと思った。別の機種を以前使っていたベテランだから、最初は前の薪ストーブの焚き方を踏襲していたけど、使っているうちに新しい薪ストーブの特性をつかんでくれたということだ。
これで、今後は安心して使い続けることができると思う。
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