昨日の記事で設計事務所からの案件がボツになった話を紹介したけど、薪ストーブ工事を設計事務所や工務店に依頼することによるユーザー、施主側のデメリットはけっこう多い。
そもそも薪ストーブ工事の施工店を、施主さんが自分では選べないケースが多い。
基礎工事の業者はどこで、大工は誰を使って、左官屋さんは誰を使って、鈑金屋さんは誰を使って、電気工事屋さんは誰を使って、水道屋さんは誰を使ってなど施主側で指定できるわけないのは想像がつくだろう。施工業者は、工務店から見たら、単なる下請けの設備屋の一つなので、相見積もりして一番安い業者で決まるということが普通に行われている。
仮に、薪ストーブ業者を施主さんが自分で決める了解を工務店から取り付けたとしても、以下のようなデメリットが山積して、メリットはあまりない。メリットがあるとしたら、ワンストップで設計事務所や工務店に丸投げして手間がかからないということくらいだろう。
1.薪ストーブを自分では使ったことのない人が設計するので、炉台が狭かったりメンテナンス性や動線も考えず、使い勝手が悪くなることが多い。
2.ユーザーの使い勝手よりも、設計士の大先生の作品作りという観点で、デザイン性、見た目重視で、実用性に欠ける設計になりがち
3.複数の薪ストーブ業者を相見積もりで極限まで叩くので、受注した薪ストーブ店はローコストの部材や工法を選択せざるを得なくなる
4.受注した薪ストーブ店の顧客は施主ではなく設計事務所や工務店なので、元請け会社の指示通りにしか施工できず、より良いプランがあっても提案できない。仮に提案しても大抵の場合は設計事務所の大先生の意向が優先されて、下請け会社の声は無視される。
5.工務店や設計事務所のマージン分だけ薪ストーブ工事代が高くなりがち
6.施工した薪ストーブ工事店は工務店や設計事務所の下請け扱いなので、施主さんと基本的には繋がれないので、取り扱い説明やメンテもできないため、ユーザーが薪ストーブ難民になるケースが多い(施工店が対応してくれないケースが極めて多い。)
先々の10年経過後には、薪ストーブライフに関するある意味で最も大切なフルメンテナンスを受けられない。
このパターンで他社施工の案件で、煙突掃除やメンテナンスに呼ばれることがかなり多い。その際、メンテナンス性を無視した施工方法で閉口したり、メンテナンスを引き受け謝絶せざるを得ないこともある
7.施工店と施主が繋がれないので、薪作りのノウハウ、使いこなしのコツ、メンテナンス方法などのレクチャーを受けることも期待できない
8.工務店や設計事務所に施工店を特定させたうえで連絡を取っても、叩かれた施工店は利益があまり出てないので、その現場のフォローをしている余裕はない(薄利多売で常に工事に追われていて、ユーザーのアフターフォローまですることは困難)
9.施工店が利益があまり出ないほど叩かれているので事業継続性も怪しく、そもそもメンテナンス時に施工店が存在しているかも疑問
10.自分が使っている薪ストーブの機種に精通していない施工店、スタッフなので、仮に取り扱い説明を受けても不十分だし、そもそも火入れ式と称してろくに説明もせずに30分程度でサクっと終わらせて逃げるように帰っていくケースが多い
薪ストーブは「設置工事したら終わり」という性質の物ではなく、長期に渡って使い続けていく物なので、後々のことまで考えて慎重に購入ルートを検討して欲しい。
設計事務所や工務店に薪ストーブや煙突工事を任せて出てきた見積りを開示いただいた上で、当店に分離発注で施工を任せていただいた場合は、同じ施工内容であれば中間マージンをカットできるので、確実にその見積もりより安く施工できるので、施主さんにとって大きな金銭的なメリットも出てくる。新築の場合、薪ストーブ以外にも予算を配分する必要があるので、予算を少しでも削減したいというのは当然のことだ。上手に当店を活用して欲しい。
新築の場合は数千万円を現金で支払うケースはあまり多くない。住宅ローンに薪ストーブ工事を組み込むから設計事務所や工務店に薪ストーブ工事を任せないとならないということはない。住宅ローンは基本的にローンを組む施主さんのところに銀行から融資金額が振り込まれる。振り込まれた融資金額を、右から左へ工務店へ振り込むというケースが多いけど、工務店に払う分と、分離発注した薪ストーブ店に払う分と、二回振り込みを指示するだけだ。
↓ 画像クリック(タップ)で応援をお願いします
ランキングに参加しています