煙突を外壁から抜きたいと安易に考えるケースが多いけど、意外と難しい面が多い。
外壁のサイディングは胴縁に固定されているが、その胴縁によって空気層がある。つまりサイディングの中身はスカスカの空間で、煙突固定金具のボルトやビスが効かないのだ。
設計時、打ち合わせ時に、固定場所を指定して下地を入れるように指示をしても、その通りにやってくれないとアウトだ。
実際に打ち合わせした人が下地を入れるわけではない。設計士→現場監督→内装の大工→サイディング施工業者と4人の伝言ゲームを通過するわけなので、上手く伝わらないケースが非常に多い。よくあるケースは設計士、現場監督、内装の大工と上棟直後に現場打合せするけど、その時にサイディング施工業者は来てないので、下地のことを打ち合わせしても、誰も「俺には関係ないや」と聞いてない。本当はこの場合は現場監督がきちんと聞いて、サイディング施工業者と大工に指示する必要があるのだけど、それができる現場監督も意外と少ないのが実情だ。
煙突工事の当日にサイディングの内側に木下地が入ってないと、外壁を剥がしてもう一度下地作成工事をしないと外壁に煙突を固定できない。工期も大幅に狂ってくる。
当然のことながら、新築ではなくリフォーム案件の場合でサイディング仕上げの外壁の場合には木下地が入ってないので、外壁を剥がすところから、始めることになり、莫大な予算と工期が発生する。素直に煙突を真っすぐ屋根から抜いた方がはるかに安上がりだ。(ログハウスやRCの外壁の場合は、直接外壁にボルトを打てるので煙突固定のハードルは比較的低い)
今回の現場は打ち合わせ時に、サイディング業者がいるタイミングでできたので、バッチリ下地の打ち合わせもできた。煙突固定位置に胴縁部分の隙間がないようにすることをサイディング業者に伝えて、その部分の建物の間柱部分に木下地を入れることを内装大工に直接伝えることができて、彼らが内容を理解してくれたことを感じられた。
打ち合わせ時に化粧板の寸法から、右側、下側が干渉しない位置で煙突開口の位置を決定した。
打ち合わせ時に決めた木下地のある位置で、煙突を固定していく。ちなみに、上の写真で青いマスキングテープで木下地に位置の目印としている。木下地の有無が、安全、確実な工事ができるかどうかが決まる重要なポイントだ。
次に煙突施工時の注意点が二つある。
外壁に煙突を固定していく場合、垂直に立ち上がっていく部分は一ヶ所外壁に固定すれば、その上を無造作につないでいっても概ね問題ないが、外壁に固定する前は、煙突が左右方向に回転して転倒するリスクがある。ロッキングバンドで固定したくらいでは安心できない。とりあえず一ヶ所固定するまでは油断しないようにしよう。
その後、上方向へ伸ばして行った後に、庇をかわすために外側にエルボで振るオフセットを取る必要があるケースが多い。この時が一番事故の発生するリスクが高い。エルボで外側に振った後に、直筒をつないでいくと、直筒の荷重でエルボと、その下の垂直の煙突の接続部分が外れる可能性が高い。エルボの下側は自由に回転できるようになっているために、直筒のような爪がないので、簡単に外れてしまう。ロッキングバンドで固定した程度では、全然ダメだ。そのため、斜めになっている部分を紐で仮固定して、荷重で煙突が下側に持って行かれて外れないように支持しておくのが、重要だ。高所で煙突が外れて落下したら大事故になる。
エルボの上部の垂直部分をステーで固定したら、ようやく安心なのだけど、垂直部分の煙突を取り付ける時にかなりの荷重がかかっているので、しっかりと仮固定した紐が効いているか、点検しながら作業する。
無事に屋根の上まで煙突が立ち上がったけど、煙突と足場の柱のクリアランスがほとんどなく、煙突トップと足場の柱が干渉していまう状況だった。煙突トップを煙突だけでなく、敢えて足場の柱にも一緒に養生テープで固定しておいて、足場屋さんが足場撤去する時に、煙突トップを取り付ける時に忘れないように目に入るようにした。
その上で、現場の大工さんと、現場監督に、足場撤去時に煙突トップを足場屋さんに取り付けてもらうように依頼した。
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