手持ちの薪が少ないと、薪の消費を抑えるべく、空気を絞ったり、少ない量の薪しか投入しなかったりしがちだ。こういう焚き方だと薪ストーブの温度も十分に上がらずに全然温かくならない。下手をすると、くすぶらせて煙突から煙が出たり、消えたりしてしまうこともあるかもしれない。結果的にかえって薪の消費量は増えてしまう。不完全燃焼しているので効率も悪いし、少ない燃焼エネルギーは鋳物を中途半端に温めるだけでいつまでも部屋は温まらずに、残りは煙突から逃げてしまうだけだ。
薪の消費を抑えるためには、高温で効率良い燃焼状態を作ってやる必要がある。そのためにも焚きつけの後の30分から1時間程度は空気を全開で焚いてやり、薪も燃焼状態を見ながらそれに応じて景気良くバンバン投入していき豪快に燃焼させてみよう。そして鋳物の温度を十分に上げてやろう。具体的には薪ストーブ全体の平均表面温度(※天板の最高温度ではないことに注意!)250℃が目標だ。そこまで達すると、それ以降の薪の消費はかなり少なくなる。熾き火もできてくるし、薪ストーブの鋳物に熱が蓄えられるので、この時点で空気を絞ってやると少しの薪で長時間燃焼してくれる。
自動車の運転方法や燃費にたとえてみるとイメージがつかみやすいかもしれない。高速道路で時速100キロで巡航する場合に、合流車線でアクセル全開でシフトダウンして一気に加速、流れに乗ったらトップギアに入れて回転を落として一定の速度を維持するのが一番燃費の良いドライブだ。一方、合流車線でビビってしまって、アクセルを全開にできず2速固定のまま時速60キロでいつまでもずーっと走り続けたら燃費はどうなるだろうか?これらのケースで時速100キロと時速60キロではどちらが燃費は良いだろうか?