薪ストーブで薪を燃やすにあたって大切なことは薪の乾燥だ。
十分に乾燥してない薪を燃やそうとしてもなかなか燃えずに、水蒸気、煙や煤を大量発生するだけで、なかなか温度が上がらずに薪ストーブのガラスは黒く煤けてしまう。まるで焚き火に濡れ雑巾を投入したような感じになる。こういう薪はたとえ表面が濡れていなくて乾いている状態でも同じことだ。木の繊維の中、細胞の中の水が全然抜けていないのだ。
一方、薪割りしてから日当たりと風通しの良いところで1年から2年経過して十分に乾燥した薪は、雨降りの後に表面が多少濡れていても写真のように大きな問題なく燃えてくれる。これはゴールデンウィーク後の雨降りの後の寒い時に完全に表面が乾いていないちょっと濡れている状態の薪で焚きつけてみた時のものだ。表面が乾いている状態に比べると炎が上がるスピードが若干遅いが、煙が大量発生したりガラスが煤けるようなこともない。表面の水気が飛べば木の繊維の中、細胞の中は乾燥しているから良く燃えてくれる。つまり表面が濡れているとか濡れていないとかは大きな問題ではなく、大事なのは薪の乾燥そのものだ。
含水率計で薪の乾燥度合いを計測している人もいると思うが、これは電極間の電気抵抗を測っているものだ。つまり電極の薪への押し付け具合で数値が全然変わってしまう。単純に触れただけだと、実際よりはるかに小さな数値となってしまう。思いっきり電極が中まで刺さるくらいしないと正確な数値が出ない。またその数値も電極を刺した表面付近の含水率ということで、薪全体の平均的なものではないことも認識しておく必要がある。本当に正確に測りたいならば測る前に薪割りして割った面で測ってみる必要がある。
たまに「生木を薪ストーブの上で強制乾燥」「真夏の炎天下のアスファルトの上で数日乾燥」で薪として使えるようになるかという質問や意見をネットで見かけるが、その程度では表面についた雨の濡れを飛ばすことはできても、木の繊維の中、細胞の中の水分までは飛ばすことができないので不十分だと断言できる。