ついに・・・あのドブレの薪ストーブを見た(3)

■ドブレの構造

焚きつけ前に内部構造も、しっかり観察させてもらった。

炉内の下部中央あたりに灰が積もっていない部分がある。これが焚きつけ時に火炎放射器のように炎が噴き上がる秘密だったのだ。この部分は取り外し可能な蓋で、外すことによって炉の下にある灰受け室に灰を落とすことができるようになっている。単純な蓋だと密閉してしまうが、後ろの部分からだけ隙間から空気が通るように設計されているのが下の写真でも確認できると思う。燃焼用の一時空気は灰受け室のドア中央についているので、灰受け室を通って、この蓋の後ろの隙間部分から流速をつけて激しく噴出すようになっていたのだ。

屋外で焚き火をする時も、風を当てたり、ふいごで吹いたり、うちわで煽ったりすると炎の勢いが増すが、ドブレの薪ストーブの場合は、焚きつけ用の木っ端の真下から噴き上げるように燃焼用の空気が流れるように設計されていた。このため焚きつけ時から激しく炎が一気に回るようになっていたのだ。

もちろん長時間燃焼させると灰がたくさん溜まっていきこの空気の流出口をふさいでしまうことになるだろうが、その時には既に薪ストーブの炉内の温度も十分に高くなっているので、一時空気はそれほど必要なくなっている。その状況では薪ストーブ上部にある二次燃焼用の空気取り入れ口から空気が取り入れられて炉の上部から十分に加熱された燃焼用の空気が放出するようになっているわけだ。

そして二次燃焼用の空気の噴出し口の設計も優れている。これが低い位置にあったりパイプが炉内に出っ張っていたりすると薪が当たったり、ダッチオーブンが入らなかったりと邪魔になるが、ドブレの場合は極限まで炉内の上部にくるように設計されていて、その存在も気をつけてみなければ判らないくらいになっている。

二次燃焼用の空気の取り入れ口の設計も上手くできている。前面扉を開いた時に上部に見えるスライドシャッターがそうだが、扉を閉じるとこの部分は見えなくなる。扉を閉じた状態だとガラスの外側部分のパッキンで炉室と分離されて二次燃焼用の空気は扉の上部側面の狭い隙間から取り入れ口に向かうようになっている。先日の扉を開けた写真で、本体側の前面上部左右に凹面が設けられていているのが判るはずだ。このため扉を閉めた燃焼中に空気が十分に加熱された状態でスライドシャッターに向かうわけだ。このシャッターの開閉も前面扉を閉めると直接は見えないが、扉の外側にシンプルで上手なアイコンで一目でどちらにスライドさせると開いて、どちらにスライドすると閉じるかが直感的に判るようになっている。ダンパーやエアーインテークの調整レバーをどう操作したらどう動くのかが判りにくい機種が多い中で、秀逸している。

さらに特筆すべきのは、そのメンテナンス性だ。煙突掃除をした際に煙突内部の煤を薪ストーブに落としても、二次燃焼用の空気噴出し口の上の二次燃焼室へ炉内から手が届くので薪ストーブを分解しなくても煤をかき出すことができるのだ。煙突を取り外したり、分解しないと煙突掃除できない「高級機」が多い中、ドブレのこの設計はすばらしい。本体の値段が多少高くても、煙突掃除や本体掃除をプロに依頼することを考えれば、自分で簡単にできるので数回で回収できてしまうと思う。また、二次燃焼室に手が容易に届くということは、この部分を時々チェックすることで自分がどういう燃焼状態で焚いているかも判断できるということでもある。

最後に外部構造だが、側面、背面は薪ストーブ本体の外側にしっかりした遮熱板が取り付けられていて、本体からの輻射熱が直接近くの壁などに当たらないようになっている。そのため、薪ストーブのかなり近くに物を置いても熱によるダメージもあまりない。壁の近くに設置できるというメリットもある。

かわはら薪ストーブは全国

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