薪の積み方

薪集めで回収してきた原木(丸太)はそのまま放置しておいても乾燥は進まない。樹皮裏側の部分はビニールで覆われたような感じなので、そこからは水分が蒸発しないのだ。蒸発するのは木口の切断面からだけだ。そのため薪割りして空気に接する面積を増やしてやる必要がある。薪割りするのは原木のサイズを小さくするだけでなく、乾燥を進める意味合いもあるのだ。

また原木のまま放置すると乾燥が進まないだけでなく、木口の部分だけが乾燥して石のように硬くなり、内部は水を含んだまま柔らかいという二層構造のような原木になり、斧で割ろうとしても刃が食い込まなくなる。硬い表面がバンパー、柔らかい中心部がショックアブソーバーとなってしまうのだ。以前、楢の原木を回収してきた時に最初はさくさく気持ち割れたのだが、しばらく放置しておいた玉を割ろうとしたら同じ原木とは思えないほど割れなくなって参ってしまったことがある。作業効率の観点からも回収してきた原木は早めに割ってやろう。

屋根のある薪棚を作らないと、薪割りしても積む場所がないという人もいるかもしれない。しかし、そういう薪棚を作る必要もない。写真のように丸太の上に棒状の枝を渡してやり20センチからら30センチくらい地べたから浮かしてやり、その上に割った薪を井桁に組んでいき、上部にトタンか波板を置いて重しを載せておけば、それだけで立派な薪棚だ。名づけて「自立薪棚」とする。「薪棚を作るまで割らない」というのではいつまで経っても乾燥が進んでいかないので、早めに割って、どんどん「自立薪棚」を組んでいくと良い。慣れないと薪割りした平らな面を下に向けてしまいがちだが、蒸発するのはその面なので、平らな面を天に向けて、樹皮を地面に向けて組んでいく方が合理的だ。上手に組めば蹴っ飛ばしてもびくともしないくらい安定する。

この「自立薪棚」の場合は実際に薪を焚く時に波板を外す必要があるのだが、それは必ずしもデメリットではない。しっかりした屋根のある薪棚といえども、薪の置いてある位置によって薪の乾燥度合いも違うのだ。日当たりや風通しが位置で全然違うからだ。そのため薪棚から直接薪ストーブへ運び入れると乾燥のイマイチな薪を焚かざるを得ないことも出てきてしまう。一度焚く数週間前に組み替えてやった方がムラなく乾燥する。

1シーズン分の薪を一つの棚に収めることは物理的にも難しいので、離れたいろんな場所に複数の薪棚が配置されることも現実的には多い。

そこで実際に焚く直前の1週間分くらいを蓄積しておける組み換え用の屋根付きの小さな薪棚を自宅内に搬入しやすいところ(屋根のあるデッキや出入り口近くの軒下など)に作成して、そこで最終乾燥させるような流れで、自立薪棚から移動させて、最終薪棚を経由して、薪ストーブに運び入れるような動線を考えると理想的だ。

原木を集めてきただけで安心しないで、早めに薪割りしよう!






かわはら薪ストーブは全国

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