薪ストーブ店では本当のことはなかなか解らないのだ。お店ではお客さんが行く時間に合わせて直前に火を入れるケースが多いので、本体に十分に畜熱されていないから、そのような印象を受けるのだと思う。
ネスターマーチンは通常の鋳物の外側のパーツの内側に、鉄板が溶接された箱が包み込まれている。
さらにその箱の内側は耐火レンガではなく鋳物のパーツで囲われている構造だ。
このような三重構造になっているために炉内の熱が外側に伝わるまでに、普通の鋳物だけの薪ストーブよりも、かなり時間がかかるのだ。気密性に優れて炎のコントロール性能の良く、燃費が良い秘密はこういうところにある。
その分、熱が外に伝わるのが遅くなるという性質がある。ここらへんの構造や性質を理解しないで「ネスターマーチンは暖かくない」という評価は誤ったものだ。
ガンガン焚いて時間が経過すれば、しっかりと本体に畜熱されて十分に暖かくなるし、逆に火が落ちてからも長持ちするのだ。
薪を直接燃やすのではなく、一度薪から煙(ガス)を立ち上げて、その煙(ガス)に高温となった内側の鋳物の熱と上部からの二次燃焼用の空気の供給で引火させて燃やすという設計思想だ。
つまり薪そのものが燃えるのではなく、薪は燃焼用のためのガスタンクである。タンクから出たガスが燃えるので極端な高温にならずに針葉樹を燃やすということなのだ。
また鉄板製の箱が外側の鋳物を保護しているということにもなっている。
他の鋳物製の薪ストーブでも、上手に使えばこのように針葉樹を焚くこともできるけど、ネスターマーチンはその構造から、無理なく安心して針葉樹を焚けるということだ。