触媒機にはその構造上、排気ダンパーというパーツがついている。排気を煙突側に最短距離で流す経路と、触媒を経由して長い経路で回す流路の切り替え装置だ。
触媒機の場合、この煙突ダンパーの使い方がキモとなる。勘違いしていると、薪を燻らせて大量の煤と煙が発生してしまう。一番の勘違いは「触媒は煤や煙を除去する魔法のフィルター」だと思い込んでいることだ。まずはこの認識を改めよう。
この魔法を発揮させるには一定の条件が必要なのだ。いかなる場合でも魔法が使えるわけではない。正しい呪文を唱える必要があるのだ。その呪文をブロマガで100円払ってくれた貴方だけにコッソリ教えよう。
触媒を設計通りに正しく機能させるためには「ある程度の高温」が必要となる。温度が十分に上がらない状態だと、全く機能せずに、ただの排気抵抗となって炉内での燃焼を邪魔するだけの存在となる。そこできっちり触媒の温度を上げてやることが必要なのだ。
まずはダンパーを開いて直接煙突に排気を出す経路で、全開でガンガン焚く。炉内に熾き火がしっかりできて、薪ストーブ全体がしっかりと暖まるまでは触媒に切り替えない。「温度を上げすぎると薪ストーブが壊れる」っていうふうに脅かされているユーザーも多く、温度を上げることをビビってしまうのも無理はないけど、多少のことでは壊れないので、しっかりと薪ストーブ全体が暖めよう。
ある程度、薪ストーブの温度が上がってくると、最初に焚いた薪が熾きになって形が崩れてくるはずだ。そして次の薪を複数の追加投入が必要となってくる。ここまで焚き込む前に触媒に切り替えてしまっている人が多いが、追加投入して、その薪がしっかり燃えるまで10分間程度は、触媒に切り替えないのがコツだ。
追加投入した薪に完全に火が回って、表面が完全に黒くなったら、触媒に排気経路を切り替える。ここですぐに空気を絞るのも厳禁だ。さらに10分ほど空気は全開のままで炎を立ち上がらせて、触媒の温度をしっかりと上げてやる。炎を触媒に導いてやらないと触媒の温度がいつまで経っても上がらないのだ。
10分ほど経過して触媒の温度がしっかりと上がってから空気を絞って、巡航、省エネ運転に切り替える。
数時間経過して薪が燃え尽きて、追加投入したくなったら、また最初に戻って、
煙突流路にダンパーの切り替え→薪の投入→空気全開でしっかり炉内温度を上げる→触媒流路にダンパー切り替え→触媒の温度を上げる→空気の調整
と繰り返しだ。
このように段階を踏んで、メリハリのある操作をしてやるのが触媒機の上手な使用のポイントとなる。
正しい使い方は上に書いたとおりなのだが、実際には薪を投入したら、すぐにダンパーを切り替えてしまう人が多い。十分に触媒の温度が上がってない状態なので、触媒が機能せずにただの排気抵抗になって、燻って煙や煤が大量発生しているという現実がある。