高品質、高精度で日本の高温多湿、多雨な気候に最適な煙突は国産の高木工業所のものがベストだけど、コストの問題で採用できないこともある。
予算に制約のある場合には、品質が落ちるのは仕方ないと割り切ってカナダ製のエクセル煙突を使用することもある。工作精度がイマイチで、作業性が悪く、国産の製品のようにスムーズにサクサク工事できるわけではないが、雨によるダメージを受けない施工方法であれば、使うのも一つの選択肢だ。
ジョイント部分にロック機構がついてないので、差し込んで、一人が押さえて、一人がビスで固定と二人一組で作業が必須
このメーカーの製品は接合部分の断熱材がむき出しになっているという致命的な弱点がある。ここに雨水が侵入すると断熱性能を維持できなくなるのだ。よくある施工方法で、フラッシング+丸トップの場合は、この問題を避けられない。トップ部分だけでなく煙突同士の継ぎ目からも侵入するので、本来の性能を維持できる期間はそれほど長くはないだろう。
そこで、この問題を解消するために、オリジナルの角トップを制作して、屋外側と室内側の縁を完全に切って、物理的に雨が煙突に接触しない方法で施工した。エクセル煙突は角トップ内部、室内側にだけ設置されることになるので、弱点が解消される。雨水が当たらなければ、本来の断熱性能を長期間維持できる。いくらローコストと言えども、将来的に問題になると容易に推測できる施工方法はやりたくない。
角トップベース部分から突出させたエクセル煙突の先端部(接合部分の断熱材がむき出しになっている)
今回はチムニー天端から100ミリ先端部分を突出させた
125ミリ突出させて、先端カバーで25㎜プラスして150ミリで角トップ本体下部に当たる設計だけど、あまり上に攻めると何らかの問題が起きて、角トップ本体が取り付けられない可能性があるので煙突は下げて、カバーで50ミリ立ち上げてと調整代を確保した。その予想は的中して、この対策にも関わらず、後でドツボにハマってしまった。
断熱材を緩衝材にしたカバーを上部に乗せて角トップ本体を受ける準備
角トップ本体の、煙突に挿入するパイプの先端部分付近が擦れて傷ついていてスムーズに入らなかった様子を物語る。現場判断で切断。
角トップ本体のパイプが煙突先端に挿入されるが、今回の角トップは試作品で煙突内径の150ミリからマイナス2ミリの外径148ミリで制作したところ、エクセル煙突とのマッチングが悪く、全部入らなかった。エクセル煙突の場合は内径が150ミリなのは接合部分だけで、その内側がテーパー状に絞られていてスムーズに入っていかない。そのため現場で干渉しない寸法で切断した。
急こう配の屋根の狭い足場の上に角トップを置いて上から斜めに支えて、梯子の下からサンダーで切断とアクロバティックな作業だったけど、無事に行うことができた。
次回の角トップ制作時はこのパイプの部分の外径をエクセル煙突の内径の一番小さな部分マイナス2ミリくらいで制作する必要がある。(なお単純な煙突ではなく、スライド煙突部分の一番直径が小さな部分で調査した方が良い。小屋裏の構造によってスライド煙突部分を最上部で使わざるを得ないケースもあるからだ。煙突先端部分の位置、天井の位置が決まってしまう角トップでの施工の場合には二重断熱煙突部分もスライドで調整しないと、きちんと納まらないケースがあるからだ。
煙突終端部分の上部に角トップ本体が乗って、上側(屋外ルーバー側)と下側(チムニー内部)の縁が完全に切れる
切断した角トップ本体のパイプが煙突先端に挿入されているところを角トップ上部から観察
(パイプ先端と同様に煙突内部も擦れた痕跡が確認できる)
苦労の末、なんとか設置完了した角トップ
コメント
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ここまで良い仕事をする業者となれは、かわはらさんの右に出る者は無いでしょうねぇ。お疲れ様でした(^_^)。
煙突トップへのアクセス方法は、「チムニーから鎖」方式を採用されたようですね。
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Mr.トリデさま:
ありがとうございます。
チムニーから鎖方式は、比較的安価で、安全にたどりつける一つの良い方法だと思います。
勾配のきつい屋根の場合には提案しています。
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試行品の設置ですとはじめは苦労されますよね。お疲れ様です。
エクセル煙突がテーパーになっているのは何か意味があるのですかね?
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西湘の民さま:
ありがとうございます。
ロック式ではなく、差し込み式なので、内部が小さくなってないと、うまくハマらないからだと推測します。