これから薪ストーブ設置を考えている人が、どこの施工店に工事を依頼するのか検討する際に、漫然と「近くだから安心」「遠いと何かあった時に不安」というような気持が出てくるのが普通だと思う。
しかし、そのことにも大きな落とし穴がある。いくら自宅の近くの店舗でも「いざメンテナンスの際に呼んでも来てくれない」というケースが意外と多い。設置前に「メンテナンスに来てくれますか?」と聞いてみたところで営業トークで「行きますっ!」っていうのは当然だろう。しかし、現実に「施工した薪ストーブ店が対応してくれないから煙突工事やメンテナンスに来て欲しい」という依頼が数多く私のところに来ていることからも判るように、単純に距離だけで判断できないことを理解して欲しい。年間で数百件施工してるような超大手の薪ストーブ店で設置したとしたら、仮に近所であってもその全部のユーザーをその施工店でフォローしきれるだろうか?
住宅の設計前の段階から相談を受けた場合には、ユーザー自身が自分でメンテナンスできるように、煙突トップへのアクセス経路を十分に考えてアドバイスしている。このことで、毎年のメンテナンスや煙突掃除の際に、薪ストーブ業者に依頼する必要がなくなる。初回だけは指導を受けて、次回からはユーザーが自分でも安全かつ確実に行えるような設置環境を重視している。結果的にランニングコストを低く抑えられてトータルでの出費が少なくなる。(煙突掃除のことを無視したローコスト設置プランは、メンテナンス数回ですぐに費用が逆転する)
「何かあったら」の【何か】の内容だけど、私の場合はいつも紹介しているようにチムニー&メトス角トップの採用で、長期に渡って雨漏れが起きないようにしているし、工事前の現場確認で煙突取付の不具合などが起きないような施工を心がけているので、そもそも、工事の結果に関しての困った【何か】が起きないわけだ。
それから実際の使用に関しては、薪集めや薪作りのコツも伝授している。設置後の取り扱い説明も十分に時間をかけて丁寧に行っているので、焚き方が判らず煙や臭いで近所迷惑になるようなことも、まずない。
このように、私の場合はユーザーが独り立ちできるように十分なフォローしているので、薪ストーブ難民になることもない。遠方だからと言って障害になるようなことは全くない。安全、安心、快適な薪ストーブライフを送りたいと考えている場合には、距離に関わらず、遠慮なく相談して欲しい。薪ストーブ難民を増やしたくない。
今回は関西の高槻市で、設置工事後の薪ストーブの初メンテナンス&煙突工事に行ってきた。遠方でも希望があれば毎年でも煙突掃除やメンテナンスに行くけど、ユーザー自身が自分でできた方がメンテナンス費用も削減できるし、煙突や薪ストーブの構造を勉強できたり、そのシーズンの焚き方や薪の反省ができるというメリットが大きい。
実際の煙突掃除、メンテナスの作業レクチャーの様子は、ご本人のブログの記事に詳細にレポートされているので、そちらを参照して欲しい。
関西で設置したビンテージ35の初メンテナス後の様子
設計時から相談を受けていたので、十分に広い炉台と必要最小限の炉壁を提案した
吹き抜け上部のシーリングファンは夏でも活躍
玄関ホール(広い土間)の奥様手作りの照明器具
小窓も良い雰囲気で、この玄関ホールは広い土間になっていて、薪ストーブの炉台とお揃いの左官仕上げとなっている。
このように、設置した施工店が遠方でも、快適で満足度の高い薪ストーブライフを踏み出したユーザーがいることを紹介しておこう。
コメント
ご紹介いただきましてありがとうございます。
「ご近所に迷惑をかけず薪ストーブを使用できるのか知りたい」
住宅密集地に住む僕が不安に思い問合せさせて頂いたのが最初でした。
もう3年前のことですが、おかげさまで現在は「おもてなしツール」として、「調理道具」として、もちろん家をまるごと暖める暖房器具として活用出来ております。
おかげさまで煙突掃除も次回からは自分で出来そうです。
今回の煙突掃除指南で肌感覚として感じたのは「薪の大切さ」でした。
薪、貰ってくるのも面倒だし運ぶの大変だし薪棚作って収めるのも大変だし、割る時だけが楽しい。
そして、薪ストーブを導入したことで新しい人間関係が拡がったことは何より嬉しいことです。
ぜんぜん楽しくない「薪の運搬」さえなければホント素晴らしいと思います。
煙突掃除後、「じゃあ」とハザード点滅させ次の目的地に向かうかわはらさんの軽トラをみながら、「羨ましいなぁ」と思ったのは最近の僕が現実逃避願望強めなだけでは無いハズ。
実際は移動大変でしょうが。
千葉→和歌山とか。
この距離を下道で行くのはかわはらさんか「夏休みの思い出作り」をしているヒマな大学生のどちらかだけでしょう。
今後何度も遠方に出かけられるでしょうから、DIYで軽トラに20個くらいエアバッグつけて、まんまるふわふわで頑張ってください。
今後とも宜しくお願いいたします。
02さま:
今回の煙突掃除の感想、そしてこれまでの経緯のコメントをありがとうございます。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。