カタログスペックはあまり当てにならない

薪ストーブのカタログに書いてる「出力」っていう数字で、薪ストーブの暖房能力を比較している人も多いだろうけど、あまり意味がない。各メーカーによって算出基準や根拠が全く違うから、同じ数字でも全然体感上は違う。メーカーによって控え目な数字で少なく表示されている場合もあり、過大と思われるすごい大きな数字で表記しているメーカーの薪ストーブの方がパワーないってことも普通にある。
だから、この「出力」という数字は同じメーカー内の機種で比較する場合のみ意味があるが、メーカーをまたいでしまったら、あまり意味がないと心得よう。どういう根拠で算出した数字なのかの定義がないから意味がないのだ。
メーカーをまたいでも、比較できる客観的な数字は「重量」「外形寸法」「炉内寸法」だ。「重量」と「外形寸法」で、ある程度のパワーや蓄熱、立ち上がり性などが推測できる。この中でも「炉内寸法」が使い勝手、薪の持ちなどに直結する重要なスペックなのだけど、一番肝心なこの数字は実際にはカタログに記載されていないことが多い。実際に現物を確認して、メジャーで計測しないと判らない。
自動車の燃費のカタログスペックだって、街乗りで本当にその数字が出るなんて信じている人はいないだろう。シャーシダイナモ上での限定的なテストから導き出した計算上の机上の数字で、実燃費には直結しない。現実の走行では、渋滞しているか、市街地か、山坂道かなど道路状況や、アクセルのやブレーキの踏み方の方が実燃費に直結していることは、車の運転をする人なら実感するだろう。以前、BBCの”Top Gear”という番組で「燃費が良いとされているトヨタのプリウスと、速さを追及したBMWのM3のどちらの燃費が良い?」というテストをしていた。その結果、後者の方が燃費が良かった。要するに使い方次第ということだ。


薪ストーブも同様で、「機種やメーカーによる違いよりも、薪の違い、煙突の違い、焚き方のテクニックの方が大きい。あまりカタログスペックの数字に左右されないで、暖房する環境に合わせた、程よいサイズの機種を選択しよう。
また車の例を出すと、近所のコンビニに缶コーヒーを買い物に行くのが目的であればスポーツカーより軽乗用車の方がふさわしいわけだし、遠距離へ高速道路で出かけるならば軽乗用車より普通乗用車の方がふさわしいというのと同じことだ。使用目的に応じた車種を選択するのがポイントだ。一台で何でも完璧にこなすのは無理な話だ。
薪ストーブも自分の使い方、環境に合ったものを選択するのが良い。自分で失敗を重ねて試行錯誤するのも一つの道だけれども、経験の少ない人は、経験者から学ぶのが、近道だ。どの薪ストーブが一番自分の使い方に当てはまっているのかは、本気で薪ストーブを導入したいと考えている人がいたら相談に乗る。

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