(1)乾燥
まずは乾燥が一番大事で、これは前提条件だ。たとえば、含水率30パーセントの薪と、20パーセントの薪では水分の量が10パーセント違う。炉内に3キロの薪が入っている場合に、300グラム水分の差があるわけだ。乾燥した薪を投入して、投入後に缶ビール一本程度の水を振りかけているのと同じことだ。乾燥不足の薪を使うと、薪の中に含まれている水分を蒸発させるために、熱が奪われてしまって、炉内から薪ストーブの表面へ温度が伝わりにくくなる。当然、煙や煤も大量発生する。炉内では炎がボーボー燃えている割に、あまり薪ストーブの表面に熱が出てこないで、部屋が暖かくならないということになる。
最低限の「薪が乾燥している」という条件を満たした場合でも、さらに効率良い燃焼のためには、もう2つのポイントがある。
(2)薪の形状
まずは薪の形状(サイズ)だ。長過ぎたり、太過ぎるものは好ましくない。炉内にギリギリ入る長さだと、自由に炉内で組めないので、空気の通り方が悪くなる。また、長いことで炉内の中心付近の高温のところから離れた部分に薪があって、その部分の割合が多くなってしまう。高温で焚けば焚くほど高効率に燃焼するので、温度の低い場所に薪があるのは望ましいことではない。また、太過ぎも自由に組めなくなって、同様に空気の通りが悪くなる。適切な長さと太さの薪がお勧めだ。具体的には長さ35センチ程度、太さは一辺が8センチ程度の正方形に近い形の断面が望ましい。縦横比が1:2とか1:3の長方形に近い断面の形状も、空気の流れが悪くなるので、お勧めしない。

縦横比が1:2の長方形の断面の薪

もう一回だけ割って、この形状にすれば劇的に良く燃えるようになる
薪割りの時に「この薪がどういう燃え方をするだろうか?」というイメージを持って行うと良い。ある程度経験を積むと、太過ぎる薪や、正方形でない断面の薪の燃え方がイマイチなことは、解ってくると思う。
よく「太い方が火持ちが良い」と言っている人がいるが、それは誤りだ。どれだけ火持ちするかは、薪ストーブの炉内に、どれだけの量(重量)の薪を突っ込んだかによる。太い薪だと、無駄な空間が多くなり、重量、容積ともに、中くらいの薪を組み合わせて詰め込んだよりも、むしろ少なくなる。つまり、中割りを上手に組み合わせて、たくさん炉内に入れた方が火持ちが良い。「太い方が火持ちが良い」と言っている人は、単に燻ぶらせて、煙もくもくで、きちんと燃えないのが長時間続いているだけというのが実情だ。結果的に翌朝、燃え残りの消し炭みたいな燃えてない木の部分の残骸が炉内にあるというのをたまに見受けるが、それは薪ストーブ的には論外の焚き方だ。上手に焚いた場合には、灰の中に熾火が埋もれていて、掘り起こせば、速やかに着火するくらい元気になるという状態を作ることを、火持ちと言う方が理想的で、これが本当の意味だと思う。
(3)空気調整
最後に空気の調整方法だ。これまた「火持ち」を考えて空気を極端に絞り過ぎる人がいる。炎が小さければ長持ちという理屈だけど、これも誤りだ。煙突から目視確認できる白い煙が立ち上がっている時点で、本来であれば燃えて熱になる成分を無駄に大気中に捨てているということになる。一番効率が良い燃焼は、煙突からは透明な揺らぎだけで、目視確認できる白い煙は見えない状態だ。この状態を作るために、中割りの薪をガッツリたくさん入れて、炉内の温度を高くして、熾火もたっぷりの状態を作ってから、適切に空気調整することがポイントだ。大事なところは、煙突からの煙の透明度を保つことだ。絞り過ぎず、開き過ぎずのベストの空気量を見極めることだ。空気調整の位置は、その時の炉内状況(薪の量、熾きの量、薪の太さ、質)などによって違ってくるので、「調整レバーがこの位置」などの固定したところではなく、炎の状態と煙の状態を見極めて行うので、その都度違うはずだ。

適切な空気の調整を行うと、このように煙突からは白い煙は見えなくなる

調子に乗って空気を絞り過ぎると、このように煙突から白い煙が立ち上がる
「乾燥した薪」「薪の形状」「煙を出さない炉内状況と空気調整」の3つのポイントを全て満たすことで、本来の薪の持つエネルギーをフル活用することができる。
「煙突から煙が立ち上がっていた方が風情がある」「煙モクモクでも苦情が来ないからOK」みたいな考え方、使い方をしている人もいるけれども、そのような使い方は、せっかくの薪の持つエネルギーを、炉内で燃やさずに、無駄に大気中に煙や、煙突内に付着する煤としてに、捨てているということで、効率の良い燃焼とは言えないことに異論をはさむ余地はないと思う。苦労して作ったせっかくの薪の持つエネルギーを回収しないで無駄に捨てているわけで、そういう意味において「贅沢」とも言える。
どちらが正解かというのはない。考え方や環境によって、どんな使い方でもできるのが薪ストーブなのだ。
個人的には、せっかくの薪の持つエネルギーは、極力使い尽くして、無駄に煙として大気中や、煙突内の煤として捨てないように焚きたいと思っている。
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コメント
これは鋳鉄製の場合でしょうか?モキ製の無煙薪ストーブでも同じことが言えますか?使っている感じでは短時間で燃え尽きて部屋が暑くなりすぎるので、供給口を絞って煤だらけで燃やしています。ご教授お願いします。
mokiさま:
モキストーブは強く早く燃え過ぎる傾向が強いのですね。そのように短時間で燃えて、部屋が暑くなりすぎるのであれば、根本的には薪ストーブそのものを、部屋に合った適切なサイズの、別のもっとゆっくり燃えるタイプに交換するしか解決策はないと思います。
煤だらけで燃やすと、煙道火災のリスクが増大しますのでお勧めできません。
いつも拝読しております。ストーブ初心者にとってはバイブル的なサイトですね。
ひとつ質問させてください。
薪は中割くらいが燃焼効率がいいという話、実に納得できるのですが、その後、太い薪の火持ちの話があります。
以前に、就寝前に「メガ薪」をつっこんでおくと朝まで火が持つという話をお書きになっていたかと思います。この話と矛盾しないでしょうか。
揚げ足取りの意図は全くありません。私が朝まで熾きを持たせるにはどうやったらいいか悩んでいるので疑問に思った次第です。
SCAN CI 10 GLユーザー さま:
薪の太さについてはMEGA薪を試した時期もありますが、その後からの中割りとの比較において、後者の方が火持ちも良いと思うようになりました。矛盾ではなく、試した時期によっての当時の知見とご理解下さい。最新、現状、今の結論は中割りを上手に組み合わせた方が炉内に投入できる重量が多く、火持ちが良いと考えています。
もう一つ、「火が持つ」の定義をはっきりさせないとまずいと思います。「炎が立ち上がっている」という意味においては、どんなやり方をしても無理です。「元気の良い熾火をなるべく多く残す」と定義づけた方が現実的だと思います。
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> 以前に、就寝前に「メガ薪」をつっこんでおくと朝まで火が持つという話をお書きになっていたかと思います。この話と矛盾しないでしょうか。
>
> 揚げ足取りの意図は全くありません。私が朝まで熾きを持たせるにはどうやったらいいか悩んでいるので疑問に思った次第です。
かわはら様
お答えありがとうございます。
朝起きたときに、熾きが残っているように炊くというのがここのところのテーマです。
空気を絞りすぎれば、窓が真っ黒になって、炉内は炭のような大きなかたまりがごろごろしますし、開けすぎればキレイさっぱり灰になってしまいます。
このあんばいが難しく、また面白いところでもあります。
そういえば、ファイヤマイザーというマットを使ってからは、わりと熾きが残るように思うのですが、気のせいかもしれません。
今後もいろいろな知見を拝読しに来ます! ありがとうございました
SCAN CI 10 GLユーザー さま
おっしゃる通り、空気の調整の一番良いところを見つけるのがポイントですね。燃えカスが残らず、灰として燃え尽きず、熾火として残る絶妙な位置を探してみて下さい。
空気の調整とともに、灰の量も一番良いところを見つけて下さい。