ハンターストーブ ヘラルドの扉の建てつけ調整

ハンターストーブのヘラルドを、私が取り扱った直後からずっと使ってくれているお客様から連絡が入った。

当初は問題なく燃えていたけど、扉のガスケットの隙間が気になるようになって、そこから空気が漏れて炉内に入ってしまって炎の揺らぎを感じられなくなったということだった。

こちらも私が千葉にいるタイミングで、訪問させてもらう段取りを組んだ。本格的に寒くなる前の、薪ストーブが稼働する前の時期で良かった。

古くなったガスケットを新品に取り替えても症状が改善せず、その後はメーカーの担当者に立ち合ってもらって、調整を試みて、一次的に復活したような気もしたけど、完全には復旧したとは言えない状況だった。

以前のように扉を外さずにボルトを緩めて締めなおしての軽い調整程度だと解決しないと判断して、今回は思い切って扉を一度取り外して、使われている平ワッシャーの組み合わせや厚みを変えて大胆にヒンジの取り付けの位置を変更してみることにした。

ヘラルドシリーズは、運搬時の軽量化のためなどの理由で安易にボルトを外して扉を取ると、その後の位置調整がとても大変なので、今回のように建付けに大きな問題がある場合以外は決して扉は取り外さない方が良い。
ボルトを外さなくてもピンを持ち上げて外せば扉は外れる

一度扉を外して、ワッシャーの枚数や配置を変更しながら良さそうな位置に修正

前後方向、上下方向、左右方向と3軸の位置決めを上下の二か所で行うのでかなり大変

扉を取り付ける際にボルトを締めるまで、扉が重力で下方向に傾くと、きちんと開閉しなくなる。水平な状態を保ち、ボルトを締めるのは、なかなか大変なのだ。多分メーカーでは何か治具を使って扉の水平を保った状態でボルトを締めつけているのだろうけど、現場ではそのような物はない。今回は木材と丸鋸を持参して、隙間の寸法を計測してそれに合わせた治具を作成して扉の水平を保って、ボルトを締めつけた。

自分の手も足もフルに使って、さらにお客様にも別方向から押して圧力をかけてもらっての位置決め、固定の作業だったので、作業時は写真を撮っている余裕など全くなかった。

スパナでハンドルの軸を抑えながら、炉内の金具を回す

ハンドルの締め付け金具の位置も回転させて扉の固定位置変更

調整した後に、お札をガスケットに挟んでチェックして、問題なさそうだったので、火を入れてみた。しかし、火を入れてみると、まだ扉の右側のヒンジの当たり付近から微妙に空気の漏れがある感じだった。まだ、薪ストーブの温度は上がってない状況だったので、その状態でボルトを緩めて、正面から隙間のある場所に思いっきり圧力をかけて再度ボルトを締めつけた。

これにより、隙間も解消して、問題なく燃えるようになった。

無事に揺らぎのある炎が復活!

その後、お客様には夕方まで焚いてもらって、様子を見てもらった。新品の時同様に燃えるようになって、薪が燃え尽きてからも熾火がだいぶ長持ちするようになったという報告をいただいて、無事に解決した。

補足しておくが、ガスケットロープのヘタリを、ヒンジやドアハンドルで調整可能な設計、構造ゆえの出来事だけど、今回紹介した事例はそれほど頻繁に発生しているわけではなく、かなりのレアケースだ。ヘラルドシリーズを、私もそれなりの台数設置してきたけど、私のお客様では1件だけだ。それほど心配することはない。

頻発しているようだったら問題視して、そのストーブは売らない
多分、メーカーでの組み立て時のボルトの締め付け不足など単純な理由だと思われる。仮締めした段階でランチに行ってしまって、戻ってきたら忘れていたとか、別の作業員が入って、完了しているかと思って次の工程に流してしまったなどだろう。

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