何故、薪ストーブのガラスが煤けるのか?

あちこちの薪ストーブ関連のブログを眺めていると、薪ストーブのガラスが黒く煤けている写真をよく見かけるが、こういう場合には正常な燃焼状態ではないということだ。

薪ストーブが本来の能力で使われている場合にはガラスが煤けることはない。「クリーンバーン、エアカーテン、触媒がついてないから」などという言い訳も通用しない。全く付加機能のないシンプルな形状のホームセンターで売っている中国製の3万円の薪ストーブでも上手に焚けばガラスは煤けることはないのだ。写真のように透明な水槽の中で揺れる黄金の水草のような炎、オーロラのような炎が楽しめる。

ガラスが煤ける理由は「温度が低過ぎ」ということに集約される

いくつか原因が考えられるが、まずはバイメタルのバネ式の温度計の指針の表示にビビってしまって温度を上げられないケースが多いのかもしれない。この温度計は精度が今ひとつで50-100℃程度くらいの誤差があることもざらだし、経年劣化もあるので、本当に表示されている温度が正確かどうかということを見極める必要がある。それからこれを天板や煙突付近につけているために、最も温度の高い部分のみ見ていて薪ストーブ全体が平均的にどのくらいの温度になっているのか認識できていないのだと思う。この場合は非接触でリアルタイムで各部の温度計測ができる放射温度計というものを入手して、チェックしてみると良いと思う。天板や煙突付け根付近の最も温度が高い部分だけでなく、側面や下の方の温度がどうなっているのかを含めてチェックしてみよう。平均的に250℃程度になっていればガラスが煤けることはないはずだ。

薪の投入量が少なすぎたり空気を極端に絞って燻らせているケースも多いと思う。温度がきちんと上がるまでは変に薪をケチったりせずに投入していき、空気を絞らずにガンガン焚いていこう。そうして温度をしっかりと上げてやれば、その後に巡航燃焼状態で空気を絞って少ない薪で燃費の良い状態で使うことができるし、ガラスも煤けないはずだ。薪ストーブが正常に燃焼している時は「温かくない」ということはありえないわけで、もし温かくない場合には正常ではないと認識しよう。

使っているうちに暑くなってきて、エアコンのようにコントロールしようとして空気を絞って燻らせたり、極端に薪を少なくして温度が下がっているケースもあるのかもしれない。薪ストーブは空気調整や薪の量で多少の温度コントロールはできるが、電気ストーブやエアコン、石油ファンヒーター等のような微調整、微弱燃焼はできない。微弱暖房したい場合には、薪を燻らせない範囲で適度に燃やしきって、その残りの熾き火で畜熱した分で暖房するという考え方に切り替えた方が良いと思う。もし暑くなりすぎた場合には真冬でもTシャツ一枚で過ごそう。それでも暑い場合は部屋の窓を開けて温度調整してやり、薪そのものの燃焼を極端に制限しない方が良いと思う。

薪もケチっていないし、空気も絞っていないのに「全然燃えない」「煙だらけ」「煤がつく」という場合には薪の乾燥不足が原因だ。水分が多量に含まれているために燃焼する前に蒸発して気化熱で周囲の熱を奪ってしまい温度が上がらないのだ。こういう場合に炉内の音をチェックするとシューとかいう蒸発音が聞こえたり、木口から泡や水が噴出したりしているはずだ。火を燃やそうとしている時に水をかける人はいないと思うが、乾燥していない薪を投入するということはそれと同じことをしているわけだ。

乾燥不足の薪の場合はどうしようもない。とりあえずその薪の使用は中止して、日当たりと風通しの良いところに保管しておき、来シーズン使うと割り切った方が良い。いくら薪ストーブの火力で、乾燥していない薪を乾そうとしても表面だけで繊維の奥まできちんと乾燥することはない。今シーズンは、本当に乾燥している即戦力の薪を、なんらかのルートで購入することを検討した方が良いと思う。

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