「薪ストーブをこれから導入してみよう」と思っている人は、まずは情報収集から入るのが一般的だと思う。実際の薪ストーブユーザー宅を訪問して自分の目で見て話しを聞くことができれば理想的だけど、導入前だとなかなか身近にそういう人や場所がないものだ。そんな時に、インターネットでちょっとググってみればいくらでもこの手の情報は集められる時代となった。
検索すると膨大な量の結果が返ってくるので、何が正しくて何が間違っているのかというのを判断するのはなかなか難しい。これは薪ストーブに関してだけではなく、他の全てのことに共通して言えることであろう。検索エンジンで返ってくる結果はSEOで巨額の費用をかけている大手販売業者のものが上位になるのは言うまでもない。上位にくるサイトをチェックしてみると、たいていは以下のように書いてある。
・薪ストーブを施工すると一式で100万円コース
・薪として杉や松の針葉樹は焚いてはいけない
・触媒やクリーンバーンの高性能な薪ストーブなら煙や臭いは出ない
・ホームセンターで売っている安物だと煙や臭いが出るし耐久性がない
・薪として杉や松の針葉樹は焚いてはいけない
・触媒やクリーンバーンの高性能な薪ストーブなら煙や臭いは出ない
・ホームセンターで売っている安物だと煙や臭いが出るし耐久性がない
これらは果たして本当のことだろうか?
100万円という金額にビビって導入を断念した人も多いと思うが、DIYで設置すれば数十万円で十分に実現可能だし、時計型の薪ストーブを使えば数万円でも実現可能だ。杉や松だってしっかり乾燥させれば立派な薪になる。「広葉樹ぢゃないから焚けない、使えない」というのは間違えだ。樹種ではなく乾燥度合いや使い方の問題なのだ。触媒やクリーンハーンだって焚きつけの時には煙や臭いが出るので下手に焚けば近所迷惑になる。ホームセンターで売っている薪ストーブの耐久性もブリキの薄板製のものから、ステンレス製の薄板製、鋼板製、鋳物と各種あってそれぞれの寿命が違うので全て2-3年で穴が開くというわけでもないのだ。
こういう本当の情報は大手業者のサイトには一切書かれていない。購入を考えている人が、もしDIYをしてしまったら一工事あたり得られるであろう売り上げの100万円を逃すことになってしまう。貴重なビジネスチャンスを失うことになるからだ。ちなみに私はある大手薪ストーブ販売店が運営しているサイトの掲示板に「DIYでもきちんと安全に施工しすれば中国製の鋳物の薪ストーブでも全く問題ない」という趣旨で書き込んだら、書き込みを削除された上に、プロバイダーのIPアドレスでアクセス制限を喰らってそれ以降、書き込みできなくなってしまった。大手業者が、なるべくDIYさせないようにという意図で情報操作していることがはっきりと感じ取られた。
次に個人の薪ストーブのサイトやブログについて思うことを述べてみる。大手業者の受け売りで「針葉樹だから焚いちゃいけない」とかは論外なので、ここでは触れない。大手業者が販売目的でサイトを運営していることに対して個人の薪ストーブユーザーのサイトやブログ運営の目的は何なのだろう?
冬の薪ストーブの稼動時期に更新が多く、春夏秋の冬を待つ季節にはあまり更新されないことは季節商品の宿命なのである意味仕方ないことかもしれない。しかし、最初の数年だけは冬の間だけでも更新されていても、ここ数年間は冬場も含めて全く更新されていないサイトもけっこう数多く見受けられる。そこから考察してみたい。
薪ストーブの導入直後は情報収集やユーザー同士の交流のためにサイトやブログをやりはじめたのだろう。もしかしたら、大枚はたいて購入した薪ストーブを自慢したいという動機もあったのかもしれない。そして何年か経って、ある程度生活の一部になって情報交換の必要がなくなったら飽きてしまって更新しなくなったケースが多いのだと思う。更新されずに放置されたままのサイトやブログほど悲しく虚しいものはない。
あるいは「触媒機やクリーンバーンならば煙や臭いが出ない」という販売店の言葉を真に受けて導入したあとで、近所から煙や煤のクレームがついて使用を断念したということも考えられる。薪ストーブユーザーが運営しているサイトやブログにはたいてい自慢の薪ストーブの写真を掲載されている。それらをよく観察するとけっこうガラスが煤けているものが多い。それも一つや二つではなく、かなりの確率でガラスが煤けている。乾燥した薪を高温で焚けば、このようにガラスが煤けることがないのだ。写真から、しっかりと乾燥した薪を十分に用意できずに、チビチビと小さな火で燻らせながら焚いていることが推測できる。そういう焚き方をしていたら煙や煤や臭いを盛大に出して近所迷惑になっていることも十分に考えられる。