薪ストーブや暖炉を使う場合には煙突掃除は毎年のお決まりの行事だ。これがスムーズにできるかどうかは、薪の搬入動線とともに極めて重要な問題だ。トップにアクセスしやすいことがポイントだ。下からブラシでつついただけでは、いずれトップは詰まってしまってスムーズは排煙をしなくなるからだ。
普通はハシゴをかけて屋根に上がるけど、屋根が高かったり、ハシゴをかけにくい構造だったりすることもある。そういう時には天窓から屋根に上れるように設計するというもの一つの方法だ。その天窓から煙突のトップが室内側から見えたら、煙の様子がリアルタイムに確認できて面白い。天窓にしなくても、家そのものにハシゴのような金具をくっつけてしまう方法もある。
台風が通りすぎた翌日には淡路島も見えた
神戸に行った際に、淡路島に向かう橋の本州側の公園で面白い歴史的建造物を見かけた。遠くから見ると暖炉の煙突が搭の淵にあって「どうやって煙突掃除するの?」って感じだけど、近づいて良く観察すると、煙突掃除しやすい工夫がされていることが判る。煙突がチムニースタイルになっていることから、身体をチムニーの構造で支えることができること、そしてチムニーの部分だけ屋根の勾配や緩くなっていて作業しやすくなっていることで、安全対策ができている。さらに建物の裏側(海側)に回って驚いたことは、最上階の窓のところから、煙突のところまでハシゴで上がれるように建物と一体化した金具が埋め込まれていることだ。
けっこう最近では「どうやって煙突掃除するの?」っていう薪ストーブの設置が多い。飾りではなく日常的に暖炉や薪ストーブを使っていた昔の人は、煙突掃除まで考えた設計をしていたことが、解って感心した。ただ取り付ければそれで良いというものではないので、暖炉や薪ストーブについて理解している設計者に依頼するか、そういう設計者はあまり多くはないから、施主自らが設計者を指導するくらいでないと、快適な薪ストーブや暖炉の家は難しいだろう。