薪ストーブのある家だと大空間の吹き抜けを設定してしまいがちだけど、下手にやると二階ばかりが暑くなって、一階は期待していたほど暖かくならないということになる。上手に建物全体を対流させる空気の流れを考えた設計が重要だ。
必ずしも吹き抜けにしなくても、一階と二階の貫通部分の化粧板にスリットを設けて暖気を上げてやることで、二階の部屋もスムーズに温められる。建物のこの貫通部分と反対側を階段にして通気できるように設計すれば対流が生まれて、一階と二階の温度差が少なくなり、家全体が良い感じで温められるようになる。
かわはら薪ストーブ本舗のオリジナルのスリット付きの化粧板を使用した。ステンレス製の無塗装の厚手のもので、スリットは子供が指を挟んでしまわないような「遊具の安全基準」を満たした幅で設計してある。よくある既製品の黒塗装の鉄板のものだと「黒に白い埃が目立ち、掃除して拭き取ると筋が目立つ」「経年劣化いずれ塗装が剥げて錆びる」「薄くて踏んだ時にちょっと不安」と色々と納得いかない点があるので、長期的な視点で考えたものにした。
二階リビング
サーキュレーターで暖気の循環を加速する
煙突貫通部分から暖気が上がってくる
貫通部分の下側(一階天井)にも同じ化粧板を取り付けるかどうか悩んだ。一応、準備はしていったので、お客様の強い希望があれば取り付けたけど、小さな子供がいるので、ミニカーとか玩具を落として回収できなくなることが容易に想像できたこと、スリット内部の埃を掃除できなくなることなども考慮して、つけない方がメリットが大きいと判断して、今回の現場では、敢えて二階床部分のみに取り付けた。
火が入ってない時には、こういう遊びになるくらいなので・・・