薪プロセッサーが稼働すると、薪がベルトコンベヤーからどんどん流れ落ちて、見る見るうちに山積みになる。パッと見ると大したことないように見えるけど、わずかな稼働時間で、すぐに数立米になる。
自分の身長より高い山はけっこう威圧感がある
効率的に薪プロセッサーに原木を投入できる状況での、一回一日の作業で処理できる量は、約25トン(50立米)だ。1時間フル稼働したら4t(8立米)程度、そして一日の稼働時間が約6時間だとすると、概ね25t(50立米)近く薪の山ができることになる。
生産能力が半端でないので、これを甘くみてはいけない。これだけの量の薪を、作業後にどのように分配、処理するかのハンドリングを慎重に考えておく必要がある。下手に取ると崩れる危険もあるし、自分の背丈よりもはるかに高く積みあがった薪の山には、そもそも近くに近づくのも怖いくらいだ。昔、子供の頃に砂場で山を作って、棒を立てて、砂を取っていき、棒が倒れたら負けみたいな遊びをしたけど、それを彷彿させるものがある。薪を下の方から回収していって、薪の山が崩れたら負けみたいな感じだ。
そうならないための一つの方法としては、あらかじめベルトコンベヤーの出口にウッドバッグを置いておいて、1立米ごとにユニックで吊って他の場所へ移動する作戦がある。もう一つのやり方として、参加者が持ち帰るためのトラックの荷台に直接落としていって、満載になったら次の車に入れ替えるなどの流れを作っておくのが合理的だ。このように薪の山ができない工夫をすると、薪作りの後の無駄な動きが少なくなる。
ただし、この方法にも大きな盲点がある。それはプロセッサーから出てきた薪には、木屑、表皮などもけっこう混じっているのだ。薪を持ち帰った後に、薪棚に積むと、下の写真のような感じになる。つまりプロセッサーから出てきた薪をウッドバッグに直接落とすのは、あくまで一時的に他の場所に移動して、その後に薪棚に積むときに木屑を分離するという作業を同時に行うという意味で、残った木屑の処理も要件等事項だ。
ついでに言えば、プロセッサーから出てきた薪をウッドバッグで回収して、そのまま乾かすというのは安易な考えだ。大量の木屑がくっついているので、まともに乾燥しないし、虫の増殖の原因になる。乾燥工程に入るその前に(普通の感覚の人であれば)必ず一度、木屑と薪を分離するという工程が必要になる。
積む時にプロセッサーから薪と一緒に出てきた表皮や木くずがブルーシートの上に散る
表皮や木くずは、無視できる量ではない
薪と一緒にくっついてくる木くずや表皮の他にも、作業後のプロセッサー周辺に、大量のチェーンソー屑が山積する問題もある。
作業後の薪プロセッサーから出たチェーンソー屑をブロアーで清掃
プロセッサーから薪と一緒に出てきた木屑や表皮、そしてチェーンソー屑の量は、処理した原木の10パーセントを目途に考えておく必要がある。冒頭では原木の量=薪の量みたいな書き方をしたけど、それはプロセッサーの一日あたりの処理能力に焦点を当てた説明だ。正確には50立米の原木を処理したら、厳密には5立米程度の木屑(チップ)と45立米の薪が発生する。この廃棄物の量も無視できない。いずれ土に還るからと、現場に放置して良いのか、回収する必要があるのか、作業後の現場をどの程度綺麗にするのかも含めて、打ち合わせや検討が必要になる。
なお、この木屑の発生は、薪プロセッサーに限っておきる問題ではない。生産量に比例している。チェーンソーや斧、薪割り機でも同じ割合で出ているのだけど、一日あたりの薪の生産量が少ないのと、玉切り&薪割りを別の現場でやることが多いなどで、ちょっとづつ時間的にも場所的にも分散して発生ているので、なんとかなってしまっているだけだ。一日で何十トンも玉切り&薪割りを一気に短期間で一箇所で行うので、木屑もびっくりするような量に見えてしまうだけだ。(物理現象で同じ作業をしているわけだから極端に木屑の量の差はないし、普通の薪割り機でやるように砕けるような割れ方をしないだけ、むしろトータルで言えば薪プロセッサーの木屑の発生量の方が少ないくらいだ)
コメント
薪作りの時に出る木屑は以外と大変なものですよね。チェンソー屑は伐採現場で出ることが多いので、現場にそのままという場合が多いですが、薪割の時の時に出る表皮や木屑は、専用コンテナに入れて、焚きつけ用として活用しています。
クボタさま:
薪割りの木屑は回収して乾燥させると、とても良い焚きつけになりますよね。
プロセッサーの場合は一回稼動させると、ものすごい量が発生しますので、焚きつけどころか、そのまま生木を燃やせるブロアー付きの薪ボイラーに投入して、お湯の熱源にしたくなります。