煙道火災を起こす人の特徴

私は薪ストーブ店をやっているので、これまで、何度か他社施工の物件が実際に煙道火災を起こした現場を見に行く機会があった。

数年に一度くらいのペースで他社施工で煙道火災を起こした物件の復旧工事の見積もりの依頼が入るのだ。

そうして実際に何度か火災現場目撃してきて、該当のユーザーとも直接会って、だいたいの傾向が解るようになってきた。
これらの複数の案件の全てに共通していて、一つとして例外はない。

1.初心者ではなく10年近く使用している
2.煙突掃除は下からブラシで突くだけ(なのでトップは煤だらけ)
3.最初のうちは毎年煙突掃除をやっていたのかもしれないけど、煤が少ないという判断で数年サボった
4.復旧工事は見積もりをあちこちから取って安いところで行うので、私のところは見積もりだけで実際の工事にはならない

これらについて解説しよう。
初心者のうちは、毎年きちんと煙突掃除をやっていたのかもしれないけど、だんだん慣れてきて横着になってきて、回収する煤の量が少ないと「数年に一回で良い」と考えるようになってくるのだろう。

トップを外すという正しい煙突掃除のやり方を知らないので、回収できてるのは煙突内部の煤だけで、トップ部分に溜まっていき地雷のようになっているタールの存在を知らないまま数年経過する。

何かの弾みで煙突内部の煤に引火すると、煙突内部の上昇気流で激しく煤が燃えて火炎放射器状態に煙突トップから炎が噴き出し、トップに付着したタールが燃え尽きるまでは鎮火しない。
そのため小屋裏部分の木部が熱に耐えきれずに屋根部分が燃えて住宅火災に発展する。

実際に火災になってからの復旧工事の際にも、各社から見積もりを取って安いところで施工するというやり方をするので、ショボい部材を使われてしまったり、火災や地震に対して強い施工とはならない。
下手をすると命を失うほどの事故が起きた後にもローコストを志向して方針を改めないところが、ある意味凄いし、不思議だ。

火災保険が適用されるので、それほど自己負担があるわけでないにも関わらずだ。

新規の設置工事の時にも、同様のやり方をしたと思われる。
正しい取り扱い説明をしたり、メンテナスをする信頼できる薪ストーブ店とのつきあいもしてなかったのだろう。

その結果として起きた煙道火災だ。薪ストーブ店が悪いのか、顧客が悪いのか、卵かニワトリかという問題になってしまうけど、結局は「安かろう悪かろう」「安物買いの銭失い」という言葉が示す通りなのだと思う。

そういうわけで、今後は煙道火災後の復旧工事の見積もり依頼がきても、まともには取り合わないようにしようと思う。(行くだけ無駄な動きになる可能性が高い)
■実際に煙道火災になって、最近見積もりに行った現場■

GWから梅雨入り前が煙突掃除のベストシーズンだ。 シーズン入り直前にやる人もいるけど、同じ手間をかけてメンテするなら、錆びや腐食の防止のた...

■以下は煙道火災になる直前の現場■
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角トップの蓋を開けた瞬間に色んなことが解る

・鳥が入り放題の構造
・風除け板も省略
・ストームカラーで雨仕舞の角トップ上下の縁が切れてない

→安物の角トップを使用している
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煙突内部は煤というよりタールで引火寸前
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角トップ内部は数センチの厚みでタールが付着していて「石炭」状になって、いつ火災になってもおかしくない状態
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普通はワイヤーブラシや皮すきで楽勝で取れるけど、ここまでくると全く歯が立たずにバールとハンマーを使用して撤去した
ハードな作業で写真撮っている余裕なし!ガンガンバールをハンマーで叩いて石炭を削り取っていく度に飛び散るので、カメラを出せる状況ではなかったのだ。
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巨大ビニール袋で、どっさりバケツ一杯分の煤やタールを回収
今回は煙道火災直前に煙突掃除の依頼があったから、食い止められたけど、やらずに来シーズンこのまま焚いていたら、多分火災になっていただろう。

快適な薪ストーブライフを送るには「毎年の煙突掃除」が必要です。 掃除をしないと煙道火災のリスクがあります 使用…

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