外気導入についての考察

最近の住宅は計画換気が導入されていて、台所の換気扇とは別の換気扇で室内の空気を入れ替える設計になっていることが多い。気密性が以前の家よりも向上しているので、機械的に空気を流してやらないと家の中の汚れた空気を処理できないのだ。

こういう最近の家に薪ストーブを導入する際には、薪ストーブ専用に燃焼用の空気を取り入れる必要がある。これを外気導入と呼ぶ。

薪ストーブの機種によってはオプションで外気導入アダプターというものを取り付けて、アルミフレキのダクトで直接外気を薪ストーブの空気流入口に導いてやることもできる。しかし、アダプターを使って直接接続しなくても問題はない。薪ストーブの背面の炉壁のなるべく近くの位置に直径150ミリのシャッター開閉式のガラリ(レジスター)を設定してやる。背面が外壁に接してない場合には、炉台に設定して床下から取る。

アルミフレキを使えば、室内が計画換気の換気扇によって負圧になっていてもOKなんて思っている人もいるかもしれないけど、大間違いだ。これはよくある誤解だ。室内が屋外に比べて負圧になっていれば、アルミフレキを使おうが、ガラリを使おうが、焚きつけ時に室内側に煙が漏れてくる。煙突から、薪ストーブの扉を介して換気扇に向かっての空気の流れが発生していることには変わりない。

室内が負圧の場合は24時間換気や台所の換気扇を一時的に止めて、薪ストーブ近くの窓を開いて、室内の気圧と、屋外の気圧を同じにしてやらないと根本的な対策にならない。物理現象なので、アルミフレキで接続したら解消するというような魔法は効かない。負圧を解消させてから焚きつけして、きちんと排煙が煙突に抜けていくようになる。順調に燃焼していき炉内温度が上がれば、その後は煙突内にドラフト(上昇気流)が発生してくれるので、換気扇を動作させても、ドラフトの方が負圧より強くなってくるので、問題がなくなる。

またアルミフレキを使わないと、室内が寒くなるというのも誤りだ。薪ストーブの背面や底面に設定したガラリ(レジスター)から、薪ストーブの空気取り入れ口に向かって短距離で空気が流れるだけなので、室内の人がいるところに冷気が流れるということはあり得ない。

計画換気の空気取り入れ口が、薪ストーブ専用の外気導入の開口面積よりもはるかに多く、なおかつ数も大量に高気密高断熱の住宅には存在していて、そこから24時間換気の換気扇に向かって、複数の経路で空気が流れているのが現実だ。薪ストーブ専用の外気導入が薪ストーブに直接接続されていようと、直接ではなく間接的に導入しようと違いはない。一部だけでなく家全体をトータルで考えないと頓珍漢なことになる。

これだけ書いても、さらに質問のコメントをいただいたので、繰り返しになるが、補足しておくと、外気導入する場合は「直接接続」であろうと「間接接続」であろうと、薪ストーブ燃焼用の空気を供給して隙間風を防ぐという効果に全く変わりない。

薪ストーブのなるべく近く、かつ低い位置に設定

直径150ミリのシャッターで開閉式のガラリ(レジスター)

美観と機能性のバランスを考えて、こちらの間接接続の方法を推奨している。

床下からアルミフレキ100φで直接外気導入を接続するプラン

個人的にはアルミフレキを使うと、炉台がすっきり見えないし、長年使っているとアルミフレキの上に埃が積もって見苦しくなるし、掃除もしにくいので、ガラリ(レジスター)を使う方が好きだ。また、設置場所を外壁面にすることができず床下からの外気導入の場合はアルミフレキを薪ストーブ背面から床下へ入れるスペースを確保する必要があるので、薪ストーブを、250ミリ以上そうでない場合よりも前面に出す必要があり、室内のスペースが狭くなるというデメリットもある。

それでも「アルミフレキで直接接続したい」というこだわりのある人は、指定していただければそのように対応している。施主さんの意向に応じて柔軟に考えている。

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コメント

  1. うさぎ より:

    一応気になりますのは、やはり空気の流れ(流体力学専門家ではありませんが)は専門家でも微妙。つまり薪ストーブへガラリから(特に梅雨や寒い日の雨湿度)空気が掃除機のように完全には吸いこまれないかも!?

    【疑問点】アルミフレキを使わないと、室内が寒くなるというのも誤りだ。薪ストーブの背面や底面に設定したガラリ(レジスター)から、薪ストーブの空気取り入れ口に向かって短距離で空気が流れるだけなので、室内の人がいるところに冷気が流れるということはあり得ない。

    • かわはら より:

      うさぎさま;

      これまで数えきれないほどこのやり方で施工してきましたが、何ら問題はありません。経験則です。

  2. うさぎ より:

    ほぼ【8割方】の空気は薪ストーブに吸いこまれるんでしょうが完全にあり得ないかが疑問点でした。

    補足でした。(笑)

    • かわはら より:

      うさぎさま:

      計画換気で薪ストーブの外気導入以外から、はるかに大きな開口面積で大量の外気が室内に入りまくっているわけですから、薪ストーブ専用の外気導入が薪ストーブに吸い込まれるのが、8割方だろが10割だろうと、大差ないという現実を知って欲しいです。

  3. まき より:

    質問させて下さい。
    薪ストーブを焚くとストーブ正面奥にある北側の部屋の冷たい空気を引っ張ってきてストーブ正面に居ても背中や足元がとても寒くてたまりません。
    吹き抜けがあり二階はちゃんと暖かいので一応はたけていると思います。
    ストーブに必要な空気を可能なだけ外気から取り入れ足元の冷気を無くしたいのですがガラリと外気導入ダクトだと違いがありますか?
    長くなりましたがよろしくお願い致します。

    • かわはら より:

      まきさま;

      もう一度しっかりと本文を読んでいただくと答えは書いてあると思うのですが・・・。

      違いはありません。

  4. まき より:

    お返事ありがとうございます!
    ストーブ横の窓を開けても奥の部屋から冷気を引っ張るのでダクトのがストーブの必要としている空気をより供給出来るのではと思いました。
    とにかくなんとかしたくて申し訳ありませんがプロに意見をと思いコメントを書かせてもらいました。

    • かわはら より:

      まきさま;

      ストーブのなるべく近くかつ、低い位置に外気導入のガラリを設定すると良いです。

      もちろんアルミフレキで直接接続してもOKです。

      どちらでも、同じように冷気が部屋の中を流れるのを防止する効果があると思います。