雨漏れが怖いからと、屋根を外壁から横引きして、少しだけ屋外に煙突を立ち上げるパターンを良く見かける。この煙突ルートだと、十分なドラフトが得られずに、薪ストーブの燃焼状態が悪くなる。燃え方は今一つで、煙が室内側に逆流したり、煤がすぐに詰まって煙突頻度が上がったりと、使い勝手が極めて悪い。
室内から真っすぐ上に煙突を立ち上げて、屋根から抜くのが理想だ。
屋根材によって施工方法や難易度はかなり違うけど、古い日本瓦の場合は比較的簡単だ。野地板の上の桟木(さんぎ)=瓦桟(かわらざん)に瓦が引っかかって乗っているだけなので、瓦を持ち上げれば簡単に外れる。全く瓦が動かない場合には釘で固定されているので、上の方の一枚の瓦を犠牲にして割れば、その下の瓦の被さって見えなかった部分の釘が見えるので、バールで釘を抜けば簡単に外れる。瓦を数枚割ったところで、フラッシングの中心部分の位置の瓦は不要なので、問題ない。ホンマ製作所でもフラッシングや煙突部材が市販されているので、DIYでもその気になれば自分で部材を購入して、施工できると思う。その際の参考にして欲しい。
今回は古民家だったので、瓦は釘で固定されてなくて持ち上げるだけで簡単に撤去できて、楽勝だった。瓦の撤去後に桟木が残るが、フラッシングを被せる時に干渉しないように、フラッシングの寸法に合わせて切断してからバールで桟木を撤去する。その際、なるべく桟木を折ったりしないように慎重に作業する。後で瓦を戻す時に一部、フラッシングの上にコーキングなどで貼り付けて再利用するので、捨てないように保管しておく。
桟木を撤去して野地板がフラットになったら、煙突貫通部分の野地板を開口する。開口位置については、室内側から煙突芯の位置に、ドリルで孔を開けておいて、ドリルの刃を野地板に残して刺しておくと、瓦を撤去した時にすぐに見つけられる。(ドリル孔だけだと極めて見つけにくい)
煙突を取り付けた後に、瓦を戻す際に、そのままの形だとフラッシングの立ち上がり部分と干渉するところも出てくるので、サンダーに石を切る刃を取り付けて干渉しないように切断する。また瓦を単純にフラッシングの上に置いただけだと安定しないので、必要に応じてフラッシングの上に先ほど保管しておいた桟木を適当な長さに切って瓦の下の所定の位置にコーキングで貼り付ける。
フラッシングの上にさらに鉛シートの中心部分をくりぬいて被せて、水下方向の瓦の上に被せて、ゴムハンマーで瓦の形状に合わせて叩いて仕上げる。水上側は鉛シートは上の瓦の内側に入れて、棟側の瓦から流れてきた雨水が鉛シートの上を流れるようにする。
最後にフラッシングの上側と左右方向の瓦の末端部分の隙間の処理だ。風が吹かない雨の時には上から下へ水が流れるだけなので雨水の流れは単純で読みやすいけど、現実の風雨の際には雨水は下から上に吹き上げたり、左右方向にも流れるので、瓦の末端部分の隙間をふさいで防水処理する。基本は漆喰で埋めてしまうのが正攻法(棟部分はそうなっている)だけど、余った鉛シートや、トタン板などを加工しても良い。今回は鉛シートで処理した。
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