今回は薪ストーブの案件ではない。工場に設置されている廃油ストーブの煙突の修理依頼が入った。煙突が腐食して穴が開いてしまって、排気漏れしているということだった。
石油系の燃料を燃やすと、硫黄系の排気ガスが出るので、普通の鉄の煙突では腐食してしまう。多分、この現場の煙突は普通の鉄を使っていると思われる。
ステンレスならば何でも良いというわけでもない。ステンレスも様々な組成がある。磁石がくっついてしまい耐食性や強度が低めなSUS430、磁石がくっつかないステンレスでも、SUS304、SUS316Lと耐腐食性に優れた物がある。
SUS316L → 海水など塩分に強い
この廃油ストーブが寒くなって稼働する前の「なるはや」修理を希望されていたけど、直径が230ミリの煙突でかなり特殊だ。薪ストーブ用の煙突を単純に流用できず、規格物のスパイラルダクトも25mm刻みの直径なので、200, 225, 250の既製品を選んでも接続できそうになく、かなり難儀しそうな感じだった。
とりあえず以下のような対応で、来春以降に依頼があれば着手するかもしれない。
先日は現場確認の同行ありがとうございました。
現場で採寸させていただ煙突直径が230でしたが、規格物の汎用のスパイラルダクトですと、225のため合わない可能性が高いです。
煙突の場合は直径が数ミリの違いでも合わないことが多く、ましてスパイラルダクトの場合はハゼ折りの突起部分が相当あるので、現物合わせが必要です。
メンテナンスも考慮して、蓋のついている既製品の200の直径の煙突を利用するのが現実的なので、それに適合するアダプターの特注制作が必要です。
検討の結果、当店でお受けする場合は、奇跡的にうまくいく場合でも、実作業で4日間の現場訪問が必要だと思われます。
特注部品の作成のため、現物を回収してから実際の交換作業に入るのに2-3か月の期間も必要です。
そのため、今シーズンの冬場に行うのは得策ではないように思います。今シーズンは腐食した穴はアルミテープなどで応急処置しておいて乗り切って、修理は暖房使わないオフシーズンの春の期間で行うのが良いかと思います。
【事前作業】
1.屋内側の煙突からつながっている腐食しているフランジを切断して回収
2.回収したフランジから現物合わせで既製品の煙突と接続できるフランジを特注制作
3.室内側の煙突を取り外して回収、廃油ストーブ口元の寸法に合わせた煙突アダプターを特注制作
【交換作業1日目】
4.足場架設
【交換作業2日目】
5.屋外側の既存煙突を取り外し(ユニック、クレーン必要)
6.「2」で制作した特注フランジを屋外側から貫通部分に挿入
7.「4」で取り外した既存煙突をフランジに接続
8.「5」で取り外した既存煙突を固定
9.室内側の煙突を既製品を使って接続
【作業3日目】
10.足場解体
上記作業は、取り外した既存煙突を元の場所に無事に取り付けできたらという前提になります。
実際の作業においては、その通りに行かない場合が多いです。
A.固定位置の下地が腐っていて、再取り付け困難というリスクが高いと思います。
B.既存煙突撤去の際に、煙突同士が腐食および固着していて破損するリスクも想定されます。
その場合は、今回の見積もり金額の他に、固定下地作成の工事や、屋外側も既製品の煙突を使用せざるを得ないなど、追加の費用が発生する可能性が高いです。
「何の問題なく上手くいったら・・・」という超楽観的な仮定での最安値の見積もりでも以下のようになります。
【作業に必要な人工や資材】
ユニック5万
足場20万
4人工日当 @2×4=8万
4人分 交通費宿泊費8万
諸経費4万
——————————-
45万
【煙突部材】
室内側のみ40万円+アダプター、フランジ制作10万=50万
【施工代金】
20万
合計115万
実際には、上記A.Bのリスクも想定して、屋外側の煙突部材追加、下地作成工事なども追加発生するという前提で、最大でトータル200万円程度になることもあり得ると考えています。
そこまでに金額をかけてでも許容していただき、修理するかをまず確認をお願いします。
(最大でそこまでかかる場合もあるという承認と事前に115万円の入金がないと、着手できません)
※廃油ストーブの製造メーカーがまだ残っていれば、特注品ではなく、そのメーカー専用の煙突を使って、もっと安く修理できるかもしません
※御社が工務店さんなので、ユニック、足場、人工、大工工事など、人工、資材、職人を提供いただければ、上記の45万円は不要です
かわはら薪ストーブ本舗
川原 和博
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