薪ストーブの熱から、木造の建物の構造を守るための炉壁だけど、既存の石膏ボードの内装壁面に直接タイルやレンガを張り付けている施工例をたまに見かける。「不燃材を張り付ければ燃えない」と甘く考えているのかもしれない。しかし、くっつけてしまうとタイルやレンガの熱が、そのまま石膏ボードに伝わり、石膏ボードの内側の間柱、柱まで伝わり、低温炭化の原因となる。ノウハウや知識のない工務店に任せると、こういうことになるケースがある。
熱を炉壁の裏側に伝えないためには25ミリ以上の空気層を確保することが基本となる。この空気層が断熱材代わりになって、熱を既存の内装壁面に伝えない。写真だとパっと見たらタイルをそのまま既存の内装壁面に張り付けているみたいに見えるかもしれないけれども、私がコンサルした現場は必ず、このように空気層を確保している。
この施工例のように、炉壁の下端、上端にスリットを設けて空気を対流させるような設計だと、遮熱効が効果的だけど一長一短だ。スリットを設けると埃がたまって掃除が面倒になるデメリットもある。スリットを設けずに木枠などで完全に淵をふさいでしまえば、埃がたまらず、掃除は楽だけど、遮熱性は劣る。というものの、塞いでしまっても空気層を確保していれば、概ね問題ない。薪ストーブの機種にもよるので、総合的に判断する必要がある。このように炉台、炉壁は現場ごと、機種ごとにカスタマイズした個別の設計(※)になっていて一概に言えない。
※極端な場合はメーカーの方で「炉壁なしでもOK」という機種もある
私がコンサルして設計した、千葉県印西市の喫茶店「木だち」の炉壁
パッと見はタイルをそのまま既存の内装壁面張り付けているように見えるかもしれないけど・・・
ケイカルで下地を作って、30ミリの空気層を確保して上端から空気が抜ける構造
炉壁の天端の処理
炉壁の下端もスリットを入れて空気を取り込んで対流を積極的に発生させる設計
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