「憧れ」だけで薪ストーブを終わらせるの?

薪ストーブのユーザーのブログに「薪ストーブは憧れです」というコメントがついているのをよく見かける。社交辞令でそういうコメントをつけているのか、本気なのか判らない。さらに突っ込んでそういうコメントを追っていくと「薪ストーブを使ってみたいけど値段が高いので手が出ない」みたいな流れになっていることも見受けられる。薪ストーブ屋さんで欧米製の薪ストーブを見積もりしたことのある人ならば知っていると思うが、薪ストーブの本体と煙突、設置工事のトータルでだいたい100万円コースが一般的なので無理もないだろう。

しかし、薪ストーブを使うためには必ず100万円の予算が必要なのだろうか?世の中には40万円する欧米製の高級薪ストーブ以外に、その10分の1の4万円ほど、あるいは100分の1の値段の4千円程度の価格帯の薪ストーブが存在しているのをご存知だろうか?

4万円の薪ストーブは40万円の薪ストーブの10分の1しか温かくないとか寿命が10分の1なのだろうか?そして4千円の薪ストーブは40万円の薪ストーブの100分の1しか温かくないし、100分の1しか寿命がないのだろうか?一部の薪ストーブ屋さんやユーザーは本気でそう信じているようだが、実際にはそんなことはないのは冷静に考えてみれば解るだろう。金属製の箱の中で薪を燃やすという基本構造が一緒なのだから、発生する熱量は燃焼するの薪の重量で決まってくるという物理現象からはどの薪ストーブも逃げられないのだ。あまり使っている本人たちは大きな声を上げてないが、安い薪ストーブでも5年、10年、15年と使っているユーザーも現実に存在するのだ。耐久性について具体的な例を挙げると「1年で穴が開く使い捨て」と馬鹿にされているステンレス薄板製の時計型、卵型の薪ストーブでさえ5-6年は余裕で使えているのだ。
中古薪ストーブの再利用
中古薪ストーブの再利用 煙突の設置

自動車の選択を例にすると解りやすいかもしれない。1000万円の欧米製の高級輸入車でなくても200万円の国産車でも、100万円の軽自動車でも、高速道路を法定速度で走るのに何ら不自由がないことは理解できるだろう。「俺はベンツじゃないとヤだ!」とか「あたしはプジョーじゃないと嫌っ!」というこだわりのある人は自分の好みの車種を選択をするだろうけど、多くの人は国産車や軽自動車を選択するだろう。自動車だとそういう合理的な選択をする人が、薪ストーブに関しては欧米製の高級薪ストーブしか視野に入ってないというのが不思議だ。

もし予算だけがネックで薪ストーブを諦めている人は、とりあえず4千円の薪ストーブを買い求めて、実際に使ってみてはどうだろうか?実際には煙突とか、炉台の準備などもあるからトータルで1-2万円程度はかかるだろうけど、その気になれば石油ファンヒーターやエアコンより安い値段で薪ストーブ使えるのだ。本格的に設置しないで窓枠から煙突を抜いて冬の間だけ簡易設置するという使い方も合理的だ。それで「薪集めは大変なのか?あるいは楽しいのか?自分でできるのか?」というような薪ストーブのライフスタイルを実体験してみると良いと思う。この4千円の薪ストーブは上から見た時に振り子時計のような形状に見えることから「時計型薪ストーブ」と呼ばれている。楕円形の「卵型薪ストーブ」というのも派生モデルとして存在する。これらは値段が安いからといって決して馬鹿にできない超高性能モデルだ。特に立ち上がり時の温まりの早さはステンレス薄板製のために、鋳物製とは比較にならない。石油ファンヒーター並みにすぐに温かくなる。蓋を取り外して煮炊きに活用することもでき実用性も高い。夏場は部屋から撤去しキャンプや庭などで使うこともできて機動性も高いのでかなりオススメだ。

4万円の薪ストーブは我が家でも使っているが、煙突と炉台などを含めたトータルの設置コストが10万円程度だろう。実用性や耐久性に関して全く問題ないことは、このブログの記事を読んでくれている人ならばご理解いただけるであろう。近くのホームセンターを覗いてみよう。意外と幅広いラインナップで薪ストーブが取り揃えられている店もある。私の住んでいる関東地方だとジョイフル本田がオススメだ。
ジョイフル本田の薪ストーブ売り場の感想ブログ

つまり1-2万円程度、あるいは10万円程度の予算で薪ストーブが実現できるという現実もあるわけだ。これらの薪ストーブでも暖房、調理などの基本的な機能や性能に関しては特に問題はない。それどころか直火調理できるという点や、速やかな立ち上がりなどという点ではむしろ優れている面もある。

それならば「トータルの予算が100万円の欧米製の高級薪ストーブの存在価値はどこにあるのか?」という疑問が残るので、それは明日の記事で考察してみよう。




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